アマルガム(フルメタル・パニック!)とは、賀東招二氏のライトノベル「フルメタル・パニック!」、及びそれを原作とするアニメシリーズに登場する架空の組織である。この組織名は水銀と他の金属との合金の総称に由来している。
概要
世界中の戦争や紛争の影で暗躍しており、作中の第五次中東戦争、中華南北戦争、ソ連内戦等は、全てアマルガムが裏で糸を引いていたと言われる。第一の目的は「ウィスパード」と呼ばれる特殊な能力を持った人間の確保であり、世界各地からウィスパードと思しき人物を拉致し、薬物投与等の非人道的な手段を用いてブラック・テクノロジーを得ている。第二の目的は最新兵器の研究開発とその実戦テストであり、その為にテロや地域紛争を仕組む。各国の政府や軍部にはアマルガムの構成員やそのシンパが数多く浸透しており、米国やソ連等の超大国でさえその例外ではなく、世界の軍事バランスや資源バランスを裏から操っている。
物語序盤の段階ではその実態の大部分が謎に包まれていたが、中盤以降にその存在が明らかとなりミスリル最大の敵となる。普通、この手の作品は世界征服を企てる敵組織の野望を挫くというパターンが定番だが、このアマルガムは物語が始まった時点で「既に世界征服を終えている」という異色の存在である。
組織構成
ミスリルを初めとするピラミッド型の組織と異なり、クモの巣型の非常に複雑な指揮系統を持つ。組織の意向はそれぞれ同等の権力を持つ「幹部」達の協議を経て決定されるが、それらを統べる「黒幕」に位置する者を定めないという、ある意味「民主的な」組織形態をとっている。幹部はネットで言う所の「ノード」の様なものであり、組織内の有力者に欠損が生じても、直ぐに新たな適任者がその穴を埋める為、組織全体への損害は微々たるものにしかならず、ピラミッド型の組織と比べ圧倒的に強靱で壊れ難い。
活動拠点は少なくともブカレスト、トリポリ、コルシカ、クリミア、スリランカ、イエメンが確認されているが、ミスリルの基地の様な永久築城ではなく、必要とあればいつでも撤収し、またいつでも設営出来る流動的な基地であり、司令部的な組織は分散されている。
幹部達はそれぞれ「ミスタAg(シルバー)」や「ミスタFe(アイアン)」といった様に、「ミスタ○○(元素記号)」というコードネームを持つ。しかし実際の所、緩やかな網の目状の合議制の組織が、ここまで組織としての主体を維持する事は不可能であり、決して自分の姿は見せず、意志も示さず、ただ幹部達に議論の場を提供し、裏で「調整」だけを行い、様々な「元素(幹部)」を結合させ「水銀合金(アマルガム)」たらしめている「ミスタHg(マーキュリー)」の存在が示唆されている。
また、このクモの巣型の組織は、意志決定に幹部達の意見の擦り合わせが必要な為、重大な議案の処理が遅いという欠点が有る。加えて、こうしたクモの巣型の組織が抱える弱点は、生物学的・情報工学的に見ても明らかであり、ミスリル側は「幹部級の構成員を内通者として協力させれば、ウイルスの様に内部から殆ど死んだも同然の状態まで無力化する事は出来る」と見ている。
装備と技術力
世界各地から拉致したウィスパードの他、幹部の一人にもウィスパードであるレナード・テスタロッサがおり、その技術力はただでさえ「世界の十年先を行く装備を持つ」と評されるミスリルより更に一歩先んじている。ミスリルでさえラムダ・ドライバ搭載型ASはARX-7 アーバレスト一機のみしか保有していないのに対し、アマルガムは既にPlan1056 コダールやPlan1501 ベヘモス等のラムダ・ドライバ搭載機を量産化しており、幾度と無くミスリルを窮地に陥れた。更に、資金力や情報力の面でも少なくともミスリルと同等かそれ以上であり、ミスリルの実態や内情も発足当初から把握していた節すら有る。
当初はミスリルの存在を大して重視しておらず、必要な時に適度な形で枝葉を切り取る方針だったが、長編七巻「つづくオン・マイ・オウン」にて、ミスリルの西太平洋戦隊が予想外の奇襲作戦で組織の重要情報を奪ったのを機に、それまで単なる「懸案事項」に過ぎなかったミスリルを「敵」に格上げし、全世界規模で総攻撃を行いほぼ完全に組織としてのミスリルを壊滅させた。
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