概要
本名はドナルド・フォントルロイ・ダック。デビュー作は「かしこいメンドリ」というシリー・シンフォニーの作品だった。
青いセーラー帽に青いセーラー服を着ている。下は履いてないのにも関わらず、何故か服が脱げるといつも下を隠す癖がある。
性格はあまり気の長い方ではなく、よくグワッグワッと言っている。とてつもなく短気なばっかりにいろいろと大きな損をしているが、それでも懲りずに短気を起こす。そのため短気を矯正しようとするエピソードもある。
甲高く、そして言葉が時折理解出来ない独特の声でしゃべり、それがコンプレックスとしてはっきり描かれた「ドナルド夢の声」という短編が制作されている。日本版のDVDでは「キャラクターの演出上、聞き取りづらい声となっております、ご了承ください」という注意書きまでされている。
ヒーロー化の進んだミッキーマウスは、世間から「子供にとって模範的なキャラクター像になること」を求められた。すると作品は小奇麗にはなるが、刺激性に薄れてしまう。そこで代わって登場したのがドナルドダックである。彼は善から悪までこなす三枚目なスターとして活躍。デビューからそう間を置かず、観客から爆発的な支持を受けた。第二次世界大戦中に製作されたプロパガンダアニメは全てドナルドが主役になっており、ミッキーマウスには出来ない汚れ役を見事に演じきった。その影響で一時的にミッキーマウスより出演作が多くなった事も。1943年1月1日に公開された戦意高揚アニメ「総統の顔」は第15回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞し、ドナルド初の誉れとなった。
よって、ドナルドは必ずしも品行方正というわけではない。コインに糸をつけてキセル同然のことをやらかしたり、人の物を盗んだり、小動物を意図してイジメたりと、ヒールな面も大変よく見られる。というか最後まで聖人君子を貫くエピソードはほとんどない。
ただ、そういった人間のような俗っぽさが人気を博してか、子供だけではなく大人からの支持も多く受けている。
このためドナルドダック短編の後期作品は、グーフィーの路線に似た風刺的なエピソードが目立った。
何故か悪役と絡むと天然っぷりを発揮して、ドナルドを罠にはめようとする相手がドナルドの強運っぷりに振り回されてしまうことがやたらとある。
だが短編作品では基本的に物や自分より弱そうな相手に痛めつけられることが大半。その辺についではドナルド虐待シリーズも参考にされたし。
こうした人気から、コミックでは家系図が用意されたことすらある、しかもかなり本格的だったりする。
ヒューイ・デューイ・ルーイという甥っ子やスクルージ・マクダックなど、血縁関係のキャラもたくさん登場し、それらも人気を得ている。彼等もまたヒールな一面を持つキャラである。
その人気から、ドナルドダックの短編作品はなんとあのミッキーマウスを上回る数が制作されている。
つまりディズニーキャラクターの短編シリーズの中ではもっとも多く作品が存在するわけであって、白黒の時代から活躍しているミッキーマウスすら越えるだけ作られたというのは快挙といえよう。
裏を返せば、どんなことをしても「ドナルドだから仕方ない」と思えてしまうこのアヒルのイジりやすさが、ディズニーのスタッフによく愛されていたのかもしれない。
ウォルト・ディズニーは、ドナルドのことをクラーク・ゲーブル(1930年代に活躍した大スターの映画俳優)に匹敵する存在だとし、ゲーブルという愛称で呼んでいたらしい。
声優
彼の声に似ていることから、ヘリウムを吸って高い声が出ることを「ドナルドダック現象」という。
極めて特徴的な声を原語版で演じていたのは、初代(短編アニメーション期)がクラレンス・ナッシュ、2代目(ハウスオブマウスなどの80年代以降の作品)がディズニーのアニメーターでもあるトニー・アンセルモ。なお、トニーは正式に死の間際のクラレンスから後任を頼まれた人物だったりする。
なお、両者とも地声ではなく作り声である。クラレンス曰く「頬に空気を貯めこんでアヒルの気持ちになって話すと出来る」らしい。なお、クラレンスがドナルドの声の出し方を解説する映像は、山寺宏一によって吹き替えられたこともある。
吹き替え声優
日本語吹き替えでは主にバンダイ・ポニー版の関時男、そして現在普及しているブエナビスタ版のあの有名な山ちゃんこと山寺宏一の2人である。細かくあげるとまだまだたくさん担当した人物はいるが、ひとまずニコニコ動画で見られるのはこの2名が主流である。
前述の関時男はいわゆる20代ホイホイ(あるいは80年代生まれ)世代の担当声優。ただしこれ以外の声優活動はほとんど行っておらず、他に有名なのは不思議の国のアリスのチェシャ猫くらいである。原語版とは似ても似つかないガーガー声だが、アドリブを多く混ぜた親しみやすい個性で演じているのが特徴で、「トサカに来た!(頭に来たという意)」は関時男版における独自の口癖である。また、ころころと一人称が変わるのも特徴で、あまりにも腹にすえかねた際は「俺様」という一人称を使っている。
版権がブエナビスタに移行した現在、定着しているのは山寺宏一である。山寺版のすごい所は、原語版を演じた故クラレンス・ナッシュの声の調子を忠実に再現していることである。そのためクラレンス同様「時には何を言っているかわからなくなる」というドナルドの個性もしっかり吹き替えているのである。「ドナルド夢の声」で、セールスに出かけた先の客から「何を言っているかわからない」と言われるシーンはこちらのほうがしっくりくるだろう。
2010年となった現在では、おおよそ30年前に収録された関時男吹き替え版はほとんどその姿を消している。当時はVHSが普及していたためビデオ劣化が激しく、持っていても現在は見られないということも多い。LDも発売されていたが、発掘されるのは稀である。ニコニコ動画で稀に見かける関時男版は、現在となってはそれなりに貴重な映像と言える。
一方、山寺宏一版も全てのエピソードが網羅されたものは少ない(クロニクルシリーズと称してエピソード集は発売されているが、現在は廃盤)ものの、DVDの普及によりその声は聴きやすく、アクションRPGキングダムハーツでも使われているため、その声を聞く機会は多い。
関連動画
関連項目
- 7
- 0pt