ボンクラーズとは、伊藤英紀氏が製作したコンピュータ将棋プログラム。
現在は「Puella α」と改名している。
概要
保木邦仁氏が製作した革新的将棋プログラム「Bonanza」の公開されたソースコードを参考にして作られた、コンピュータ将棋界ではBonanzaチルドレンとも呼ばれる将棋プログラムのうちの1つである。特徴としてはクラスタ並列化したことが最も強さに寄与しているとのこと。(Bonanzaを使用する前は「A級リーグ指し手1号」というFPGAを使用した将棋専用ハードウェアだった)
第21回世界コンピュータ将棋選手権優勝の他に、日本将棋連盟が運営しているネット将棋サイト「将棋倶楽部24」で連勝を重ね、R3300超えという前人未到の高レートを記録している(ただし将棋倶楽部24での対局は持ち時間の少ない早指し戦であることや、いくら指しても疲れないというコンピュータの特性が有利に働いているといえる)。2007年に渡辺明竜王と対局したBonanzaの当時のレートがR2800前後ということなので、格段に強くなっていることが伺える。
2012年1月14日に行われた第1回電王戦で米長邦雄永世棋聖と対局し勝利を収める。
2012年4月28,29日に行われたニコニコ超会議2012の囲碁将棋ブースに設置され、来場者は先着順で挑戦できた。
賞歴
- 第20回世界コンピュータ将棋選手権 4位
- 第21回世界コンピュータ将棋選手権 優勝
- 第1回電王戦(vs米長邦雄永世棋聖) 勝利
- 第22回コンピュータ将棋選手権 準優勝
- 第2回電王戦第4局(vs塚田泰明九段戦) 引き分け(持将棋)
第1回電王戦
第21回世界コンピュータ将棋選手権の優勝プログラムということで、第1回電王戦のコンピュータ代表として米長邦雄永世棋聖と戦った。ボンクラーズは当日のマシン構成では1秒間に1800万手読むという。
後手の米長永世棋聖は初手6二玉というプレマッチでも見せた前例の少ない局面から入玉を狙う作戦を採り、中盤まではうまく指し回したが、一瞬できた隙をボンクラーズが見逃さずに攻めたて、ボンクラーズの勝利となった。
名前の由来と関連エピソード
ボンクラーズという名前の由来については作者である伊藤氏は「Bonanzaをクラスタ並列化したからボナンザクラスタ、それを縮めてボンクラーズ」と各所のインタビューに答えている。が、ボンクラーズといえば漫画「あずまんが大王」に登場する3人が有名であり、そちらが元だという話も伝えられる。実際のところ、どうなのだろうか。
名前からは「もしや、あのお三方の合議システム!?」とか思われた方もいらっしゃるでしょうか。豆ちしきー うちらの名前は、ボナンザクラスタ、からとってるんやでー
このように、初めて名称を明かした時点からあずまんが大王のほうのボンクラーズメンバーの1人である春日歩の口調で説明している。つまり、伊藤氏は最初からあずまんが大王のことも知っているし、ボナンザクラスタからとっていることも説明しているわけで、ダブルミーニングと見るのがよさそうだ。電王戦での対局の件は「あずまんが大王」作者のあずまきよひこ氏にも伝わり、Twitter上で反応している。
ちなみにボンクラーズの前は「A級リーグ指し手1号」という名称で第18回,第19回世界コンピュータ将棋選手権に参戦している。現在でも伊藤氏の製作者ブログはこの名称のままである。
ボンクラーズ名義で参戦したのは第20回,第21回世界コンピュータ将棋選手権ということになる。
他者と成果を競うような製作物に一見弱そうだったりかっこわるい名前を付けるというのは比較的よくあることなのだが、電王戦でプロ棋士と戦うことが決まった際には真剣勝負なのにふざけている印象があるということで伊藤氏側から名称変更を申し出たが、米長永世棋聖側から変えなくていいと返答し、そのままでの対局となった。
2012年開催の第22回世界コンピュータ将棋選手権ではボンクラーズではなく、「Puella α」という名称で参戦している。Puellaはラテン語で少女を意味し、αは指し手の探索技法名から採ったようだ。「魔法少女まどか☆マギカ」の英名「Puella Magi Madoka Magica」にもかけている。
関連動画
関連生放送
関連チャンネル
関連項目
関連リンク
- A級リーグ指し手1号(開発者ブログ)
資料館にて、「Puella α のソース」「塚田九段の対ボンクラーズ練習棋譜」が公開されている。
- 3
- 0pt