マカイビーディーヴァ(Makybe Diva)とは、1999年生まれのオーストラリアの元競走馬である。牝・鹿毛。
メルボルンカップ3連覇を達成したオセアニアが誇る長距離女王。
概要
父Desert King、母Tugela、母父Rivermanという血統。豪州ではなく英国産である。父はアイルランド二冠を制した*デインヒルの代表産駒の1頭。母は2戦未勝利の米国産馬、母父はプール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー)馬で、特に母父として好成績を残した名種牡馬である。
一度は当歳セリに出品されたが買い手が付かず、1歳8月まで結局買い手が付かなかったために、生産者がそのまま馬主として走らせることになった。
馬名は造語。水産会社の社長だった馬主が5人の女性社員に馬名をつけてくれるよう頼んだところ、5人の名前の頭2文字ずつを取ったこの名前になったらしい。
2001/02~02/03シーズン
オセアニアの2歳シーズンも終わりに迫った02年7月にデビュー。1200m戦で4着に敗れる。しかし翌月、3歳となる02/03シーズンに入ってからは、距離を延長しながらマイナーな競馬場で5連勝。初の重賞出走となったGⅡクイーンエリザベスSもハナ差で勝利を収める。
しかし休養を挟んだ翌年4月はマイル前後のハンデキャップ競走を2戦して掲示板外に惨敗。このまま休養に入り、あんまりいいところなく3歳シーズンまでを終える。
03/04シーズン
8月に復帰するが初戦は58.5kgを背負わされ4着。その後距離を1600m→2000m→2400mと延長しながら重賞で3連続4着。しかし1着馬との差はそれほど大きくなかったし、3戦目はコーフィールドカップ(GⅠ)で勝ち馬と1馬身差だからまずまずの結果ではあった。
次走はオーストラリア最大の競走メルボルンカップ。流石に今までとは格の違うメンバーが揃ったが、ハンデ戦のメルボルンカップで51kgとそんなに斤量が重くなく(最軽量が49kgなので特別軽くもないが)、距離が伸びてよさそうだった本馬はドイツでGⅠを連勝してきたMamoolに次ぐ2番人気に支持される。
レースでは中団後方を追走、直線から馬群を割るように突き抜けて快勝。史上14頭目の牝馬による優勝を果たす。意外と多い? と思われるかもしれないが、この時点でメルボルンカップは143回も行われている国民的レース(開催日はメルボルン地区の祝日になっているくらい)なのでやっぱり珍しい。
一呼吸置き、翌2004年は2月から間隔を詰めて使われ5連敗を喫するが、シーズン最終戦となった3200mのGⅠシドニーCはきっちり勝利。同一シーズンにメルボルンCとこのレースを勝ったのは37年ぶり史上4頭目で、メルボルンCの1年後に創設されたということを考えると非常に珍しい。
この年は長距離GⅠ2勝を挙げ、勝ち星はこの2勝ながら最優秀長距離馬のタイトルを手にする。
04/05シーズン
休養明けの5歳シーズンはいつも通り1400mから始動し、また開幕4連敗を喫するが、メルボルンC前哨戦のGⅠコーフィールドCは2着と好走する。なお、今まで管理していたデビッド・ホール調教師が香港に移籍するため、コーフィールドCの終了後に本馬はオーストラリアのトップトレーナーであるリー・フリードマン師の元に転厩した。
大本番メルボルンカップ、本馬の斤量は前年+4.5kgの55.5kgに増える。それでも断然の1番人気。ライバルとして愛セントレジャー4連覇を達成した欧州屈指の長距離馬Vinnie Roeが出走しており、一騎打ちとの公算が大きかった。
今度は中団からレースを進め、直線ではインを突いて進出。追いすがってきたVinnie Roeもあっさりと振り切り、前年と同じ1馬身1/4差で完勝。29年ぶり史上5頭目、牝馬としては初のメルボルンカップ連覇を果たす。
翌年も2月の1400m戦から始動し2連敗するが、2000mのGⅠオーストラリアンCはなんと豪州レコードの1分58秒73で勝利し、長距離だけではない成長ぶりを見せる。続くGⅠザBMWも完勝。陣営はシドニーCではなく日本、天皇賞(春)への参戦を決める。ちなみに天皇賞(春)への外国馬の参戦は史上初である。
前哨戦としてなんと中山競馬場のOPエイプリルS(2000m)を選択。斤量59kg背負ってまで出るレースか……? 案の定断然人気を裏切り7着に敗戦する。
本番の天皇賞(春)は本命馬が不在で、前走惨敗した本馬も長距離適性が評価されたかリンカーンやヒシミラクルとともに上位に押し出され、2番人気になる。しかし直線でさっぱり伸び切れず7着。陣営は前年制したメルボルンカップより12秒も速い勝ち時計3分16秒5という高速馬場を敗因に挙げたが、その前の年のメルボルンCは3分19秒台で勝ってるし、それだけが敗因ではないような……。
この年も11戦3勝と勝率は高くなかったが大レースを3勝したこともあり年度代表馬を受賞する。最優秀長距離馬、最優秀牝馬は当然受賞。
05/06シーズン
休養明けの6歳シーズンも1400m戦で始動。はいはい調整調整……とか思ってたら直線すごい末脚でなんと勝利してしまう。続くマイルGⅡは2着となるが2000mのGⅡも勝ち切り、大目標となるメルボルンCの前哨戦として、コーフィールドCではなく豪州の中距離王決定戦コックスプレートを選択。10ハロン戦ではあったが今の実力ならと1番人気に支持され、先行有利なムーニーバレー競馬場で後方から外をぶん回し直線入り口で先頭に立ち押し切る……というヤバすぎる競馬で圧勝。堂々とメルボルンカップに歩を進める。
3度目の出走となったメルボルンカップで本馬に課された斤量はトップハンデの58kg。大レースでも大半がハンデキャップレースのオーストラリアだが、長距離戦のメルボルンカップは特にハンデ差の影響が大きく、当時トップハンデ馬は30年も勝利から遠ざかっていた。したがって実力馬でも人気にならないことがままあるのだが、本馬は段違いの実力を評価され、4.4倍ながら1番人気の支持を受ける。
スタートから中団のインといういつも通りの位置を確保。3コーナーから徐々にポジションを詰め、直線は期待通り馬場の中ほどを突き抜け、3年連続となる1馬身1/4差で完勝。145回の歴史の中で初となる同レース3連覇を達成。同時にSunlineが持っていた当時の獲得賞金の豪州記録を塗り替え、伝説的名馬の称号を確固たるものとした。
ちなみにオーストラリアにおける牝馬のセックスアローワンスは2.5kgであるので本馬の斤量は牡馬の60.5kg相当になるが、60kg相当以上を背負って勝利したのは1969年のRain Lover(当時はヤード・ポンド法使用のため133ポンド≒60.3kg)以来36年ぶりであった。当然牝馬では初である。
同馬はシーズン半ばながらこのレースを最後に引退。5戦4勝と自身最高の安定感を見せ、文句なしの年度代表馬・最優秀長距離馬・最優秀中距離馬を受賞した。ほぼ同時に同国の競馬殿堂入りを果たしている。また、本馬を記念して2007年にGⅡクレイグリーSがマカイビーディーヴァSと改称され、2013年にGⅠ昇格を果たしている。しかしなぜかマイル戦……。いまいち噛み合ってない。
通算34戦15勝(うち日本で2戦0勝)。
繁殖馬としては実績を残せておらず、ブラックキャビア、ウィンクスなどの超名牝の登場でなんとなく存在感が薄くなってしまった感もあるマカイビーディーヴァ。しかし、ただでさえ牝馬には過酷な長距離戦で群を抜いた実績を残した本馬の偉大さが褪せることはない。
血統表
*デザートキング Desert King 1994 鹿毛 |
*デインヒル Danehill 1986 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
Pas de Nom | |||
Razyana | His Majesty | ||
Spring Adieu | |||
Sabaah 1988 栗毛 |
Nureyev | Northern Dancer | |
Special | |||
Dish Dash | Bustino | ||
Loose Cover | |||
Tugela 1995 黒鹿毛 FNo.9-f |
Riverman 1969 鹿毛 |
Never Bend | Nasrullah |
Lalun | |||
River Lady | Prince John | ||
Nile Lily | |||
*ランブシュカ Rambushka 1984 栗毛 |
Roberto | Hail to Reason | |
Bramalea | |||
*カツラII Katsura |
Northern Dancer | ||
Noble Fancy |
クロス:Northern Dancer 4×4×4(18.75%)、Natalma 5×5×5×5(12.5%)
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関連項目
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