デインヒル(Danehill)とは、1986年生まれのアメリカ生産・
イギリス調教の競走馬・種牡馬である。
通算9戦4勝[4-1-2-2]
主な勝ち鞍
1989年:スプリントカップ(G1)、コークアンドオラリーステークス(G3)
概要
父Danzig、母Razyana、母父His Majestyという米国産馬。Northern Dancerの母Natalmaの3×3という大胆な牝馬クロスを持っている。というのもDanzigはND産駒なので父父母がNatalma、そしてRazyanaの祖母、つまりこの馬の3代母もNatalmaであるので、デインヒルは祖父と同じ牝系に属するのである。
現役時代
アメリカのジュドモンテファームで生産、サウジアラビアのアブドゥラー王子が購入し、イギリス・ニューマーケットに厩舎を構えるベテラン調教師のジェレミー・ツリー師に預けられた。
馬名はイギリス・サセックス州の村の名前から付けられた。
1988年7月のニューマーケットの未勝利戦でデビュー。だがここは短頭差の2着に敗れた。2戦目の未勝利戦では1馬身半差で勝利した。
9月のサラマンドル賞(ロンシャン・芝1400m・G1)に遠征したが、ここでは8着と惨敗してしまう。
立て直しのためこの年はここで終了した。
3歳時は4月のニューマーケットでのヨーロピアンフリーH(ニューマーケット・芝7F)から始動、2馬身差で快勝した。
5月の2000ギニーステークス(ニューマーケット・芝8F・G1)では3着に敗れ、翌月のアイリッシュ2000ギニー(カラ・芝8F・G1)では4着と勝ちきれないレースが続いた。
以降はスプリント路線に進みコーク&オラリーS(アスコット・芝6F・G3)ではレコードで優勝した。
ジュライカップ(ニューマーケット・芝6F・G1)では3着に敗れたあと、スプリントカップ(ヘイドック・芝6F・G1)では2馬身差で勝利しついにG1の座を手にした。
マイルから短距離で通算9戦4勝。この勝利の後に脚部不安で引退した。能力自体は高かったが、どうも気性が荒過ぎたようである。
種牡馬として
3歳で引退後は愛国のクールモアスタッドと豪州のアローフィールドスタッドが共同で購入し、両国を行き来するシャトル種牡馬となった。今でこそフジキセキのように北半球と南半球を行き来する種牡馬も割と見かけるが、当時はまだ珍しい存在だった。両国間の移動は飛行機で40時間という長旅だったが、デインヒルは飛行機の中では非常に落ち着いていたらしい。競馬でもそれだけ落ち着ければGⅠのもう一つも取れたろうに。
それはともかく、デインヒルは両国で種牡馬として大成功。史上最多となる349頭のステークスウイナーを送り出した。産駒の勝ち上がり率も76.9%と極めて優秀で、シャトル種牡馬の先駆けとなった功績も含め「最も成功した種牡馬」ともいわれる。2003年に牧場で転倒した際に骨折し、17歳で死亡してしまったが、死後の2005年に絶対王者Sadler's Wellsから英愛リーディングサイアーを奪取。3年間その座を守った。フランスでも2回、オーストラリアではなんと9回もリーディングサイアーに輝いている。日本にも1996年に1年だけリースされ、フサイチソニックやブレイクタイムなどの重賞馬が出たほか、外国産馬としてファインモーションが活躍した。
デインヒル自身は短距離馬だったが、子孫たちは距離に関係なく活躍。Westernerのような長距離馬も産駒にはいるし、どっちかと言うとマイルからクラシックディスタンスで活躍する馬が多かった。むしろ短距離馬が少ないくらいで、デインヒル自身も本領はもっと長い距離だったんではなかろうかという気さえする。父Danzigの産駒の多くが切れ味勝負だったのに対し、デインヒルの産駒は持続力が武器の先行馬が多かったのも特徴。ただしダートはダメっぽい。
後継種牡馬も続々と誕生しており、Flying Spur、Redoute's Choice、Fastnet Rockはそれぞれ豪州でリーディングサイアーを獲得。特にRedoute's Choiceは一時種付け料が日本円換算3000万円を超えるほどの活躍を見せた。欧州でもDanehill Dancerが英愛リーディング、Dansiliが仏リーディングに輝くなど、結構な勢いで世界を席巻している。孫以降の世代で日本でも知られたところだと社台に輸入された*ハービンジャー(父Dansili)、凱旋門賞でディープインパクトを破ったRail Link(父Dansili)、天皇賞(春)にも出走した豪州の女傑Makybe Diva(父*デザートキング)などがデインヒルの系統である。
また、母の父としても世界中でG1を勝ちまくり、特に父Galileoの産駒は2010年代の欧州競馬を支配したといっていいほどの活躍を見せた。
世界中に広まったデインヒルの血脈。Sadler's Wellsと並ぶND系の中枢として今後も発展しそうである。
血統表
Danzig 1977 鹿毛 |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic | Nearco |
Lady Angela | |||
Natalma | Native Dancer | ||
Almahmoud | |||
Pas de Nom 1968 黒鹿毛 |
Admiral's Voyage | Crafty Admiral | |
Olympia Lou | |||
Petitioner | Petition | ||
Steady Aim | |||
Razyana 1981 鹿毛 FNo.2-d |
His Majesty 1968 鹿毛 |
Ribot | Tenerani |
Romanella | |||
Flower Bowl | Alibhai | ||
Flower Bed | |||
Spring Adieu 1974 鹿毛 |
Buckpasser | Tom Fool | |
Busanda | |||
Natalma | Native Dancer | ||
Almahmoud |
クロス:Natalma 3×3(25%)、Hyperion 5×5(6.25%)
全妹Harpiaの孫に2023年のフェブラリーステークス(GⅠ)を制したレモンポップがいる。
関連動画
なかった。産駒たちの活躍は調べてください。
関連項目
*デインヒル 1986
|Flying Spur 1992
||Casino Prince 2003
|||All Too Hard 2009
||||Wellington 2016
|Danehill Dancer 1993
||Choisir 1999
|||Starspangledbanner 2006
||||California Spangle 2018
||||State of Rest 2018
|||Olympic Glory 2010
||||*グランドグローリー 2016
|*デザートキング 1994
||Makybe Diva 1999
|Fairy King Prawn 1995
|Dansili 1996
||Rail Link 2003
||*ハービンジャー 2006
|||ディアドラ 2014
|||ペルシアンナイト 2014
|||モズカッチャン 2014
|||ブラストワンピース 2015
|||ノームコア 2015
|||ニシノデイジー 2016
|||ナミュール 2019
|||ファントムシーフ 2020
|||チェルヴィニア 2021
|||アルマヴェローチェ 2022
||Flintshire 2010
|Redoute's Choice 1996
||*スニッツェル 2002
|||Shamus Award 2010
||||Incentivise 2016
|||Shinzo 2020
||Scissor Kick 2011
|*ファインモーション 1999
|*ロックオブジブラルタル 1999
|Exceed and Excel 2000
||Excelebration 2008
||Helmet 2008
|||*サンダースノー 2014
||||レライタム 2021
||||ヴァンディヴェール 2022
||Outstrip 2011
|||Gold Trip 2017
|Kodiac 2001
||Ardad 2014
|||Perfect Power 2019
|Dylan Thomas 2003
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