北風が勇者バイキングをつくった(It is the great north winds that made the Vikings.)とは、北国ノルウェー(スカンジナビア)の諺である。
概要
「北極海の厳しい北風は、気骨あるしたたかなバイキングを生んだ」というエピソードから、「厳しい環境にいる方が人は強くなる」「日々鍛えられる環境はその者を逞しく成長させる」「厳しい条件は知恵次第でチャンスにもなり得る」という意味を含む。
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part1ファントムブラッドでは、主人公ジョナサン・ジョースターに波紋呼吸法を教えた師匠、ウィル・A・ツェペリが戦いの思考として教えたことわざとして知られる。
本編では、修行のまとめとしてトンネルの隠し通路奥に逃げ込んで追撃を誘っている吸血屍生人ジャック・ザ・リパーをひとりで倒しに行かせる際に、ワインを注いだグラスを持たせて自分がワインをこぼさずに戦ったのと同じく、一滴もこぼさず奴を倒してこいという試練を与えた。
ツェペリはこれまでの優しく教えてきた態度から一変、ワインを一滴たりともこぼしてきたら、たとえ敵を倒してきたとしてもジョナサンの事を見捨てると言う。さすがに正気とも言えないこの試練に、同行していたロバート・E・O・スピードワゴンはツェペリに文句を言うが、ことわざの意味を理解したジョナサンはそれを了承してジャックとの戦いに挑む。
ジョナサンを心配するスピードワゴンに、ツェペリはこの試練を与えた理由の解説として、自分が若い頃カリブ海で出会った漁師の男の話を始めた。その漁師の住む漁村の沖には村人を何人も殺した体長10メートル近くある人喰いザメが住んでおり、漁師が海に出かけた時そのサメが船を襲った。岸まで近かったが、バラバラになりかけた船体に足を挟まれて男は海中に。このままではサメにやられるか溺れるしかなく、助かるために男は銛の刃で自分の足を切断して逃れた。
足を切断する根性もすさまじいが、漁師の男はその傷口を海中に浸して自分の血で人喰いザメをおびき寄せ、目前に迫ったサメの脳天に銛を突き立てて倒したのだ。見事にピンチを勝機に変えて彼は村の英雄になったのである。それと同じようにグラスに注いだワインを厳しい試練として、これを乗り越えなければ吸血鬼の親玉ディオ・ブランドーを倒せはしないだろうという事である。
隠し通路に入ったジョナサンだが、中は迷宮になっており灯りを照らしても闇の部分ができる構造になっている。しかも持ち込んだ松明はジャックにとっての格好の的であり、奇襲にうってつけである。やむを得ず明かりを消すがジョナサンにとってもどこから来るかわからない状況に陥っていた。
ジョナサンは冷静にツェペリから教わった戦いの思考を実践する。戦いの思考その①「敵の立場で考えよ!」そして思考その②「恐怖を我が物としろ!その時呼吸はみだれない!」。ジャックは息をひそめてジョナサンとは壁を挟んだ近くに潜んでいる。それを予想しながら恐怖に臆せず波紋の呼吸を整える。
そしてその波紋エネルギーにグラスのワインは反応。「波紋探知機」としてジャックの生命の振動を見つけて、ジョナサンは壁を伝わる波紋「仙道波紋疾走」でジャックを攻撃。見事ワインをこぼすことなくジャックを倒し「北風はバイキングをつくった」のである。
出典
筆者は実際にノルウェーに行ったことがないし、ノルウェー出身の知人もいないので、実際にノルウェーで言い伝えられていることわざなのかは不明である。(情報提供求む)
「ジョジョ」の原作者、荒木飛呂彦がこのことわざをみつけたと思われる文献は「カーネギー名言集」という書籍である。この本には「北風はバイキングをつくった」のほかに「フレデリック・ラングブリッジ「不滅の詩」」「Luck(幸運)にPが加わってPLUCK(勇気)となれば鬼に金棒である」など、ジョジョ第1部の元ネタにしたと思われる名言が収録されているため、可能性は高い。(参照⇒関連リンク)
トリビア
- ジョジョファン主催の非公式運動会型オフ会イベント「ジョジョリンピック」の競技のひとつとして、この「北風が勇者バイキングをつくった」のエピソードを元ネタにした「北風はバイキングをつくった走」が行われた。これは、小さなワイングラス上の置物にコインを積み重ねて、それを倒さずにスタートからゴールまで走破するという競技である(会場を汚さないため、ワインではなくコインを積み立てている。第3部のダービー戦のグラスとコインの要素をミックスさせた)。
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