器用貧乏とは、「オールマイティ」「バランス型」「万能タイプ」といった言葉に隠された真の意味である。
概要
アニメやゲームなどでステータス・スペックが設定されたものにはスピードに優れたタイプやパワー自慢なタイプ、特殊能力を持つタイプなど、様々なタイプがある。そんな中、特にこれと言った特徴が見られないスペックに対しては「オールマイティ」「バランス型」「万能タイプ」という言葉が使われることがある。
しかし、実際は特徴がないせいで特定のステータスが突出した者に対しては押し負け、実際の所は使い勝手が悪くなってしまう事が多い。器用貧乏とは、そういう「なんでもできるが特に優れたもののない」「器用なあまり何でもできるせいで大成しない」状態を揶揄した言葉と言える。
器用貧乏という言葉がいつ生まれたかは不明だが、1914年に書かれた芥川龍之介の処女作品「老年」に器用貧乏なせいで生活に苦労している老人が登場しており、実に100年前から器用貧乏のマイナス面が描かれているということになる。
器用貧乏な例
RPGにおける勇者
RPGでは最初にパーティにいるキャラクターが主人公の勇者的ポジションである。物理攻撃力と魔法攻撃力がバランスよく成長するパターンが多く、技や呪文も同じように覚えるが、殆どはより高い戦士や魔法使い的ポジションのキャラがパーティ入りするとそちらの方が強くなるので勇者が使いづらくなってしまう。その上勇者はパーティ固定でメンバーを代えられないパターンもあり、これらの合わせ技で勇者が邪魔呼ばわりされる事もしばしば。
ポケモン
ゲームのポケモンシリーズではいわゆる「御三家」と呼ばれる物語の最初にもらえるポケモンがいわゆる器用貧乏なステータスである事が多い。これは御三家のポケモンが初心者でも育てやすいポケモンとされているためで、様々な技を覚えることでポケモンの基本を覚えられるのである。なおニコニコ市場で「器用貧乏」と検索するとカメックスの商品がなぜか一番上に来る。メガシンカまであるのに。
またポケモンの育成における基本として「育てるステータスを絞る」というものがある。この辺りは種族値だの努力値だの個体値だの知らない人からは意味不明な用語が並ぶことになるが、簡単に言えば「器用貧乏なステータスのポケモンは対戦で活躍させづらい」ということになる。尤も突出したステ―タスがあっても活躍させづらいポケモンもいるが、そこは割愛させていただく。
ヒーローの基本形態
様々な力を用いて戦うヒーローの基本形態はバランスの良い万能タイプである事が多く、状況に応じて極端な特徴づけがなされた他の派生形態に変身する。そのためか基本形態が敵に苦戦してから他の形態に変身する展開が多くなり、結果的に基本形態の弱さが浮き彫りになってしまう。
特に玩具の販売促進を兼ねた作品では「新しい玩具を宣伝したいので新しい玩具を使った新形態を活躍させる」という展開が多くなる都合上、そのしわ寄せが基本形態に来てしまう事が多い。
バランスのいい山本選手
グラップラー刃牙の最大トーナメント編に登場したバランスのいい山本選手で、売り文句は「今の自分に死角はない」「バランスのいい」などであり、また一回戦前には「完成された格闘技を見せるだけのことだ」との発言。
そう、典型的な器用貧乏なタイプだったのである。彼は一回戦であっさり敗北してしまう。
貧乏でない場合
一般にバランスタイプは特定の役割や戦術に特化できない分弱くなりがちであり、それゆえに器用貧乏と呼ばれるのであるが、そうならない場合もある。
この場合、文字通りの意味で「バランス型」と言われ、全体的に強い場合「器用万能」、あらゆる特化型に勝てるような場合「完全無欠」などと言われる。
それにしかできないことがある場合
一つ一つは専門職に劣っても、それにしかできないことがあったり、何でもできること自体が利点になる場合がある。
ファイナルファンタジーシリーズの青魔導士は敵の技をラーニングして使う魔導士である。
攻撃の黒魔導士や回復の白魔導士のように特定の役割を明確に持ってこそいないが他のジョブにはまねできない効果を多数持っているため、慣れたプレイヤーなら白魔導士や黒魔導士よりも強い場合がある。
上記の器用貧乏の例に上っている勇者も例えば超必殺技があったり、べホマズンのような全体回復が唯一使えるなどの特典があると無駄にならない。
「弱点が無い」「何でもこなせる」こと自体が長所になり得る場合
相性などの影響が大きく特化型や特化戦術を特定の手段で簡単に機能不全にできるような場合、出来ることが多いために多くの特化型を機能不全にできる一方、自分は機能不全にされても他の部分の能力を用いてプランBに切り替え、機能し続けることができる。
また、お互いの情報に相手に秘匿されている部分がある場合、特化型は見ただけで何をしたいのかが露骨に解るため対策を打ちやすいが、何でもこなせるならば逆に言うと何をしてくるか解らないということになり相手に適切な対策を打たせないことが可能となる。
チームプレイの場合、特化型が機能不全になった場合の立て直しや、相手の対策の除去などに活躍する。
上記の器用貧乏の例に上っている御三家ポケモンの場合、ゴウカザルやラグラージなどは覚える技の範囲が広く、物理でも特殊(魔法)でも戦えるため様々な戦略の型を用意することができる。これによって対戦相手のポケモンの弱いところを突いたり、こちらの行動が読みづらくなったりするため特化型のポケモン相手でもかなり戦うことができる。
本当に全能力が高い場合
主人公補正がかかってるの勇者の場合、物理能力が物理特化の戦士と同等やそれ以上でその上で魔法が使えるといったことになっている場合があり、文字通り「完全無欠」という場合もある。
対戦要素があるゲームだと嫌がられることも多い。
上記の器用貧乏の例のゲームや作品で行くとポケモンの種族値ALL120のアルセウス、グラップラー刃牙であれば主人公の父親の範馬勇次郎等がそうである。
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