概要
源平討魔伝とは、昭和61年(1986年)10月に稼動開始したアーケードゲームである。
ジャンルはアクション。開発元はナムコ。1プレイ50円~100円。
当時としては(そして、現在に至っても)珍しい純和風の世界観・グラフィック・サウンドが高い評価を受けた。
物語
西暦一一九二年、闇は来たれり。
天帝、世の乱れ大いに憂い、三途の渡守安駄婆に命じて、平家の亡者より一人の剛の者を選ぶ。
その名、景清といふ。
"ぷれいや"なる異世界の住人による布施と安駄婆の計らいにより現世に蘇った平景清。復讐の念に燃える景清を操作し、因縁の地である壇ノ浦から鎌倉を目指し、頼朝を討伐するのが本作の目的である。
登場人物
- 平景清
- 平氏一門の剛の者。壇ノ浦で源氏に敗れたが、魔族の支配せし現世を憂いた天帝により、かりそめの命を与えられ地獄から蘇る。源氏への復讐のため、悪鬼の如き形相でひたすら鎌倉を目指す。狙うは頼朝の首一つ。
- 安駄婆
- 三途の川の渡し守。天帝の命を受け、景清を地獄から呼び醒ます。「諸悪の王、頼朝を倒すには、曲玉、剣、鏡の三種の神器のほかに、正しい心が必要じゃ。ひたすら信心を忘れなさるな。よいな、信心じゃぞ----。」
ゲームシステム
基本操作は左右移動、ジャンプ、攻撃の三種類で、特定のアイテムを取得すると衝撃波や必殺旋風剣を使用できる。
ステータス
- 徳 - 得点。敵を倒したり、お地蔵様にお布施をすることで増える。
- 剣 - 攻撃力。岩や敵の武器など硬いものとぶつかると減少していく。BIGモードで剣の値が0になると剣が折れる。
- 銭 - お金。黄泉から現世に戻る場合や、米俵で体力を回復する場合に消費する。
- 命 - 体力。ロウソクで表示され、ロウソクが尽きるとゲームオーバーとなる。1本あたり10段階分の体力を示す。
アイテム
- 緑玉 - 銭が上昇する。
- 青玉 - 命を回復する。
- 米俵 - 命を回復する。ただし10銭必要。
- 茶玉 - 命の最大値を上げる。
- 紫玉 - 剣の値が上昇する。
- 刀 - 剣の値が上昇する。ただし10銭必要。
- 巻物 - 横モード及び平面モードでは衝撃波を、BIGモードでは必殺旋風剣を使えるようになる。
- ロウソク - 命を最大値まで回復し、更に最大値をロウソク一本分上昇させる。
- 八尺瓊勾玉 - 三種の神器の一つ。毒を無効化する。頼朝を倒すために必要。
- 八咫鏡 - 三種の神器の一つ。雷を無効化する。頼朝を倒すために必要。
- 草薙剣 - 三種の神器の一つ。硬いものを斬りつけても剣の値が減少しなくなる。頼朝を倒すために必要。
ゲームモード
ステージごとにゲームモードが異なっており、「横モード」「平面モード」「BIGモード」の三種類に大別される。どのモードにもゴール地点に鳥居があり、到達するとステージクリアとなる。BIGモードを除き、複数の鳥居が存在することも。
- 横モード
- 横モードはキャラクターを操作して敵を倒したり障害物を越えてゴール地点に向かう。このモードでは落とし穴が配置されており、落とし穴に落ちると「うわーーー」という情けない声を上げ黄泉の国に戻される。
- 平面モード
- 平面モードは迷路状のステージをキャラクターを操作して敵を倒したり障害物を越えてゴール地点に向かう。ステージ数自体は少ないが、最初のルート選択の地である長門や、三種の神器の配置してあるステージがあるため避けて通れない。
- BIGモード
- 横モードと同様横スクロールアクションになるが、横モードよりもキャラクターが大きく表示される。ボスキャラ戦が発生するステージのモードで、本作最大の売り。当時はこれほど大きいキャラクターが表示されるゲームは殆ど無かったため、ユーザーに大きなインパクトを与えた。
ステージ
ステージは西日本から関東甲信越地方までで40面以上あるが、ルートを選択出来るため全てのステージを攻略する必要はない。またルートにより難易度に差がある。
最初のステージは地獄で、ここを抜けると壇ノ浦のある長門に出る。長門から先は三つのルートに別れており、それぞれ山陰、山陽、九州のルートを辿る。各ステージは以下の通り。
平面モード
- 黄泉 - 落とし穴に落ちるとこのステージに強制的に移される。ハズレを引いて復帰に失敗すれば即ゲームオーバー。ちなみに、何度も黄泉に来たりプレイ時間が長くなると復帰できる確率が下がっていき、最終的には確実に失敗する(復帰確率0%)ようになる。また、一定の銭を持っていれば途中にある血の池から現世に戻ることができる。地獄の沙汰も金次第。ただし再出発は京都から(序盤は黄泉に落ちた所から)で、体力もデフォルトの5に戻る。
- 長門 - 地獄から出て最初のステージ。ここから三つのルートを選択可能。
- 京都 - 平安京エイリアンのほか「寿司姫」こと鬼姫が敵キャラで登場。再びルート選択。
- 越前 - 最奥に八咫鏡がある。また入り口から二つ目の広場に隠し出口がある。
- 武蔵 - 正解の鳥居以外はZAP。神器が揃っていないならZAPされて京都付近まで戻るべし。
横モード
- 豊後
- 讃岐
- 淡路 - ボーナスステージ。フェイントの得意な観音様が降臨。紫よこせ。
- 安芸
- 備中
- 出雲
- 因幡
- 美作 - ボーナスステージ。フェイントに定評のある観音様の後を追え。
- 播磨 - やたらアグレッシブな動きの龍が敵キャラで登場。頭を狙うのじゃ。
- 丹後
- 丹波
- 伊勢 - 八坂瓊曲玉がある。
- 志摩 - ボーナスステージ
- 佐渡 - ボーナスステージ
- 三河
- 信濃 - ボスキャラは三つ首龍。草薙剣がある。ちなみに海のように見えるのは諏訪湖である。
- 駿河 - 地面がなく、海上の浮遊石を渡って進む難易度高めのステージ。あとわずか。
だじゃれの国
BIGモード
- 豊前 - 九州ルート。ボスキャラは義経。難易度低。
- 周防 - 山陽ルート。ボスキャラは義経。難易度高。
- 石見 - 山陰ルート。ボスキャラは義経。難易度中。
- 伊予 - 四国。ボスキャラは弁慶。
- 備後 - ボスキャラは弁慶。
- 伯耆 - ボスキャラは弁慶。
- 但馬 - ボスキャラは琵琶法師。
- 備前 - ボスキャラは琵琶法師。
- 山城 - ボスキャラは義経。背景の大文字焼きが印象的なステージ。先は長い。
- 大和 - ボスキャラは義経。
- 尾張 - ボスキャラは義経。
- 甲斐 - ボスキャラは弁慶。鉄球や矢ではまりやすいため、ステージ開始時の場所で弁慶を待つのが得策。
- 若狭 - ボスキャラは義経。
- 遠江 - ボスキャラは弁慶。
- 相模 - ボスキャラは弁慶と義経。立ち並ぶ大鳥居をくぐり抜けいざ鎌倉へ赴かん。
しかし頭上から大量の毒キノコが降り、勾玉が無いと頼朝へたどり着くまでに「完」となる。 - 鎌倉 - 最終面。ボスキャラは頼朝。
エンディング
三種の神器を携え、鎌倉に鎮座する頼朝を倒すとゲームクリアとなる。
宿敵を討った景清は地に伏せ、桜の花びらと化して黄泉の国に戻る。そして富士山を背景に花びらが舞い散るシーンに移り、ゲーム史上屈指の名文がエンディングメッセージとして表示される。
トリビア
- 当時のアーケード用ゲームとしては珍しく、実写のPVが制作されている。監督は雨宮慶太。
- 開発中にスタッフが死んだと言う噂が流れた事がある。これは当時ナムコの二大プログラマだった深谷正一の逝去に対して追悼の意志をEDに反映した事からの誤解と思われる。エンディングメッセージの後に表示される「故深谷正一氏にささぐ。」という一文がそれである。
- 主人公の名前は「平影清」ではなく「平景清」。モデルは悪七兵衛景清とも言われた「藤原景清」。
- 本作のモチーフは近松門左衛門の「出世景清」。本作以後の浄瑠璃に多大な影響を与えた一作である。
- オープニングで安駄婆のいう「入道相國(にゅうどうしょうこく)」とは、平清盛のことである。
相國は、中国の漢代における宰相を指し、日本の律令制では太政大臣の唐名である。清盛が太政大臣になったことにより、相國の異名を持つこととなった。 - 平安京をイメージした京都ステージにはエイリアンが登場する。元ネタは平安京エイリアン。
- 得点がゲーム性に影響を与えない事と高得点を目指すよりも難しい事から、「いかに低い得点でクリアするか」と言うスコアアタックが行われ、ニコニコ動画にも低スコアクリア動画がUPされている。
- 開発チーム「源平プロ」が開発した次作は「超絶倫人ベラボーマン」。開発者のひとり中潟憲雄氏は後にナムコより独立し、メルダックで「暴れん坊天狗」などの開発に関わっていた。
- スコアネームは、ひらがなで入力した後に漢字変換される。文字ごとに変換される漢字は固定なので、暴走族の当て字のようになる。また「あいうえお」の「い・え」と、「やいゆえよ」の「い・え」に違う漢字が当てられていたり、濁点・半濁点をつけることも可能。(例)にこにこどうが→仁子仁子止゛宇加゛
ピコカキコ
ボーナスステージ | |
義経のテーマ | |
頼朝のテーマ |
お絵カキコ
関連動画
関連リンク
関連項目
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兄弟記事
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