ウイスキー、ウィスキーとは蒸留酒の一種である。
「洋酒」のカテゴリに位置づけられる蒸留酒の中ではブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラなどと共に特に著名なものである。
概要
大麦やトウモロコシ等の穀物類を糖化・発酵後に蒸留し、樽で熟成させて作られる。
ウイスキーの起源は、麦から作られた醸造酒であるビールであり、ビールに対して当時の錬金術の技術であった蒸留をおこなうことで蒸留酒がつくられた。
そのようにして作られた蒸留酒から酒税を取ろうとした役人の目から逃れるために蒸留酒を樽に詰めて隠しておいた。後になって隠しておいた蒸留酒を取り出してみると、熟成が進み、琥珀色に色付き、すばらしい風味の酒へと変化していた。
スコットランド(スコッチウイスキー)では上記のような逸話が伝えられているが、あくまで伝承であり、どこまで真実を語っているかは不明である。ウイスキーの発祥は15世紀のアイルランド(アイリッシュウイスキー)とされており、シェリー酒など他の酒で先駆けて樽熟成が行われていたため、スコットランドそれらも真似たというのが実際のところではないかとも言われている。
ウイスキーの語源もアイルランド語の「命の水」(イシュケ・バーハ)だと言われている。
製法
製法は原材料などによっても違いがあるが一例として書いておく。
大麦を発芽させて麦芽とし、ピート(泥炭)の煙で燻して成長を止める。麦芽の酵素によって糖化させてから濾過して麦汁を生成。それを蒸留器で蒸留して無色透明の蒸留液とする。これをオーク等の樽に詰めて熟成させることで風味が付き、琥珀色の原酒となる。
一般に売られているモルト・ウイスキーはこの原酒に加水したもので、ブレンデッド・ウイスキーは複数の原酒を混合・加水して作られる。
分類(スコッチ基準)
ウイスキーの種類を大別すると以下のようになる。なおイギリスの法定によるスコッチウイスキー準拠。
アメリカンウイスキーなど他国のウイスキーはこの限りではない。
日本のジャパニーズウイスキーはスコッチフォロワーなので基本的にスコッチのルールに則っているが、安価な製品は醸造アルコールを混ぜたものなどもある。
原料による分類
蒸留所単位による分類
- シングル ~ ウイスキー
- シングルモルトウイスキー、シングルグレーンウイスキーなど。
- 単独の蒸留所のみで製造するウイスキー。その蒸留所の個性が分かりやすく、コアなファンに人気。
2020年現在シングルモルトの世界的大ブームが続いている。 - 最近ではモルト、グレーンの両方を単独で製造できる蒸留所もあり、シングルブレンデッドウイスキーという珍しい物製品も登場しつつある。
- 勘違いされやすいが、シングルモルトであってもその蒸留所の様々な条件の原酒をブレンドしている。
熟成年数も実はバラバラである事がほとんど。統一されたヴィンテージが主流のワインとは大きく違う点であり、ウイスキーにおいては例えば「~12年」という製品を同じ樽に戻して更に6年熟成させても「~18年」と同じ味にはならない。「~12年」「~18年」はそれぞれ専用のブレンドで製造されているのが基本。
度数による分類
生産地
ウイスキーの生産地として有名なのは、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダの4国である。
日本のウイスキーも国際的知名度は高まっており、また近年ではインド、オーストラリア、台湾のウイスキーが注目されつつある。
スコットランド産のスコッチ・ウイスキーと、アメリカ産のバーボン・ウイスキーが特にメジャー。バーボンは比較的グレーンが多く使われる傾向にあり、コーンやライ麦をメインにしたものもある。
日本の国産ウイスキーはハイボールや水割り用の大衆酒としても親しまれてきたが、近年では各種のシングルモルトウイスキーが国際的にも高い評価を得ている(ジャパニーズ・ウイスキー)。
ウイスキーの生産地別分類
- スコットランド(スコッチ・ウイスキー)
- 原料となる麦芽(モルト)の乾燥過程でピートと呼ばれる泥炭を利用する場合が多く、そのスモーキーフレーバーが特徴となっている。だが現在では全く泥炭を使用しないノンピートも多い。
- 産地に基づいて分類されており、ハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラ、キャンベルタウンの5種類にアイランズを加えた分類が一般的である。アイランズを除き、地方によりある程度共通した特徴を持つ。
- ハイランド:最も広く最も蒸留所が多い地域。特色は様々だが大雑把に言うと重厚で力強い傾向。
主な蒸留所はグレンモーレンジィ蒸留所、クライヌリッシュ蒸留所など。 - ローランド:ブレデッド用のグレーン原酒の主要産地。最近はシングルグレーンの商品化も。
主な蒸留所はロッホローモンド蒸留所など。 - スペイサイド:且つてハイランドの一部だったが独立。日本でも人気のフルーティなモノが多い。
主な蒸留所はマッカラン蒸留所、グレンフィディック蒸留所、グレンリベット蒸留所等。 - アイラ:島特有の海藻のピートを使ったものが多く、癖が強いのでカルト的人気を博している。
主な蒸留所はアードベッグ蒸留所、ラフロイグ蒸留所、ボウモア蒸留所など。 - アイランズ:分化したアイラ以外の島々。数は少なめだがそれぞれ個性豊か。
主な蒸留所はハイランドパーク蒸留所、タリスカー蒸留所、アラン蒸留所等。 - キャンベルタウン:且つて盛んだったが現在は衰退。生き残りはたった2か所。復興1か所。
スプリングバンク蒸留所、グレンスコシア蒸留所、グレンガイル蒸留所のみ。
- ハイランド:最も広く最も蒸留所が多い地域。特色は様々だが大雑把に言うと重厚で力強い傾向。
- 各蒸留所のモルトのみを用いたシングル・モルトウイスキーが活況となりつつあるが、グレーンと混和したブレンデッド・ウイスキーが今なお主流である。
- アイルランド(アイリッシュ・ウイスキー)
- アメリカ合衆国(アメリカン・ウイスキー)
- カナダ(カナディアン・ウイスキー)
- 日本(ジャパニーズ・ウイスキー)
日本の主なウイスキー製造メーカー
「ジャパニーズウイスキーの一覧」の記事も参照のこと。
酒税による分類(廃止)
日本では1953年に制定された酒税法で、アルコール度数による分類を行い、それぞれの税率を決めていた。
そのために、スコッチウイスキーや国内の本格的なウイスキーは高嶺の花となり、昭和時代の一般サラリーマンは二級の味の落ちるウイスキーくらいしか口にできなかった。
しかし1989年に等級分類が廃止されてアルコール度数に比例した税金が課せられることとなり、特級に分類されていたウイスキーは大幅に値下がりした。
さらに1997年にさらに税率が下げられ、かつて高嶺の花と言われた銘柄やシングルモルトウイスキーも手ごろな値段で買えるようになった。
飲み方
- ストレート
- 水割り
- トゥワイス・アップ(トワイス・アップ)
- オン・ザ・ロック(オーバー・アイス)
- グラスに大きめの氷を入れておき、そこにボトルから注いで飲む。
- 冷やされたウイスキーと氷の解け具合によって変わる濃度を楽しむ。
- ミスト
- ウイスキーフロート
- ハイボール
- コークハイ(コーラハイ)
- お湯割り(ホット・ウイスキー)
- ウーロン割り
- カクテル
ニコニコ大百科に記事のある銘柄
余談
- NATOフォネティックコードではアルファベットの「W」に「ウイスキー」があてられている。航空機のヘッドアップディスプレイなどに表示される、自機の姿勢や方位を示すW型のマークは「ウイスキー・マーク」とよばれる。
- 1981年、ソ連海軍バルチック艦隊に所属する一隻の613型潜水艦が、航法士官のミスにより航路を180kmも外れて航行、更に見張り担当が岩礁を油の帯と見誤り、隣国スウェーデンの軍港からわずか10kmのスウェーデン領海内で座礁するという国際問題を引き起こした。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- ウィスキー(表記揺れタグ検索用)
- 酒 / アルコール
- スコッチ・ウイスキー
- バーボン
- ジャパニーズウイスキー
- ジャパニーズウイスキーの一覧
- BAR
- 酒のうまくなる曲
- バーボンハウス
- ウイスキーが、お好きでしょ
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