税金の無駄遣いとは、中央政府の支出を語る場で使われる言葉である。
後述するように中央政府の収入は税金と国債から成立しているので、税金および国債の無駄遣いと表現するのが正しい。
概要
狭義
- 政府などによる公金の支出の中で、法律・政令・予算に違反しているものや不当と認められたもの(不当事項)
- 政府などによる公金の支出の中で、関係大臣等に対して意見を表示したり処置を要求したりしたもの(意見を表示しまたは処置を要求した事項)
- 政府などによる公金の支出の中で、1.や2.の指摘を受けて当局が改善の処置をとったもの(指摘に基づき改善の処置がとられた事項)
という3つの指摘事項の俗称である[1]。よって「税金の無駄遣い」と検索をすると会計検査院のニュースが並ぶ。
広義
そこから転じて、中央政府の支出の実態に対して「不必要で非効率で不適切だ」と不満を感じたときに自身の政治的駆け引きの一環として使用する政治用語という意味もある。
財政政策の目的によって発生する
マクロ経済学の教科書で学ぶとおり、政府の財政政策には実質利子率や実質為替レートを操作する効果がある。財政政策の規模を増やして政府購入(公金の支出)を増やして積極財政にすると実質利子率が上がって実質為替レートが下がり、財政政策の規模を減らして政府購入を減らして緊縮財政にすると実質利子率が下がって実質為替レートが上がる。
政府の財政政策の目的が実質利子率を上げて実質為替レートを下げるということだけに絞られているのなら、全ての政府購入は全く無駄がないことになる。いかなる政府購入であっても実質利子率を上げて実質為替レートを下げる効果が伴っている点で共通しているからである。
政府の財政政策の目的が実質利子率を上げて実質為替レートを下げるだけに留まらず国家の発展や国民の生活の向上にも広げられているのなら、効率的な政府購入と無駄な政府購入の区別が発生し、「税金の無駄遣い」「税金と国債の無駄遣い」といった概念が発生する。
より正しい表現
税金と国債で政府予算が成り立っている
政府の予算の歳入は、租税収入と、国債を市場に売却して得られる公債金が大きな二本柱となっている[2]。
国債の発行と売却は政府にとって極めて安定した財源となっている。通貨を現金通貨の形態で保有していると金利が付かず、通貨を中央銀行預金や市中銀行預金の形態で保有していると小さい利率だけが付く。一方で通貨を支払って購入できる国債には、中央銀行預金や市中銀行預金よりも大きい利回りが付く。国債市場には銀行・保険企業などが参加しているのだが、そうした国債市場参加者に余剰資金がある場合、国債市場参加者達は余剰資金を使って自動的に国債を買うことになる。
国債市場参加者達に余剰資金が無い場合は、日銀が国債市場参加者達に対して資金供給オペレーションをして、国債市場参加者達に余剰資金を持たせてあげている。これを「政府の国債売却に伴う短期金利上昇を防ぐための資金供給オペレーション」という。
日銀には日銀法第4条を守る事が課せられていて、政府の経済政策の基本方針に整合的な金融政策を実行するように義務づけられている。政府が経済の基本方針として「政府が国債を売却しても短期金利が急上昇しないようにする」という意向を示した場合、日銀はその意向に従うしかない。
より正しい表現
ゆえに税金の無駄遣いという表現はあまり正しい表現ではない。
税金および国債の無駄遣い、官費の無駄遣い、国費の無駄遣い、政府予算の無駄遣い、公金の無駄遣い、という表現がより正しい表現の候補である。
政治連盟・研究会等
- 税金の無駄遣いを一円たりとも許さない若手の会 - 自民党の若手国会議員の研究会。2008年ごろ存在。ネット上で確認できる所属していたらしい議員は、小野次郎(代表)、林潤(代表幹事)、牧原秀樹。「国会議員の海外視察航空機座席をファーストクラスからビジネスクラスに変更すると年間約5,000万円の公費削減につながる」と提言。
関連動画
関連項目
脚注
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