『謙虚、堅実をモットーに生きております！』とは、「ひよこのケーキ」氏によるウェブ小説である。
概要
小説投稿ウェブサイト「小説家になろう」において、2013年7月から投稿されているウェブ小説。
本記事の「ストーリー」で紹介するように、「好きな漫画の世界に転生した主人公」「しかし転生したキャラクターは、横暴で庶民を見下す性格の悪役令嬢だった」「このままでは漫画で描かれた断罪と破滅が待っている、何とか回避しなくては！」といった筋書きで、いわゆる「悪役令嬢もの」である。「悪役令嬢もの」は「小説家になろう」では多数の作品が投稿されている人気ジャンルであり、本作もその中の一つ。
本作はそのストーリーの面白さから、2013年～2018年ごろにかけてかなりの人気を集めた。「小説家になろう」では様々な要因から算出されるポイントで投稿作品のランキングが行われているが、そのランキングの中でも「全期間累計」部門で、長期間2位の座を占め続けていたことからもそれがわかる。1位は男性主人公ものだったため、女性主人公ものの中では「不動の1位」的な存在であった。その後はさすがに更新停止から数年間経ってランキングの順位は下がっていったが、それでも2021年6月21日現在時点ですら23位という上位に位置している。
本作が人気作でありつづけたことから、本作に影響されたフォロワー的な「悪役令嬢もの」の作品も多く投稿されるようになったとも言われている。「悪役令嬢もの」ジャンルが隆盛を極めた要因の一つとして、重要な作品と言えるだろう。
また本作の特徴な点として、「一切の商業展開/メディアミックスが行われていない」点が指摘されることもある。「小説家になろう」でランキング上位となるような大人気となった作品は、出版社などからのオファーを受けて「書籍化」や「漫画化」がなされたり、さらには「ドラマCD化」や「アニメ化」に至ることが多い。前述のように本作は2021年6月21日現在は「小説家になろう」の累計ランキングの23位にあるが、30位以内にランクインしている他の作品は全て何らかの商業展開が行われている。しかし、本作はそういった商業展開がまったく行われていない。ファンの間では「オファーがあっても作者が何らかの理由で断っているのでは」という憶測が語られることもある。
「小説家になろう」への投稿者、特にランキング上位作品の投稿者は、「活動報告」で執筆状況や商業展開について報告したり、感想への返信などを行ったりと、読み手に対して何らかの語りかけを行う事は少なくない。だが「ひよこのケーキ」氏は一貫して、本作の目次及び本文の投稿・改訂以外に文章を全く投稿しないという、やや珍しい行動を取っている。そのため、商業展開についての上記のような憶測が合っているのかどうかについて直接同氏に聞いて確認してみる、といったようなことは難しいかと思われる。
残念ながら2017年10月20日に投稿された第299回目の投稿話を最後に、更新は長期停止されたままとなっている。ストーリーがここで大団円や一区切りが付いたというわけでもなく、本当に普通の回であるにもかかわらず突然ぷっつりと途絶えているため、ファンからは「作者の身に何かあったのでは」などと心配する声も挙がる。
ストーリー
血筋を遡れば華族に連なる名家であり、関連会社をいくつも経営している富豪でもある「吉祥院家」の当主の娘、吉祥院麗華。まだ幼い少女である彼女は、入学予定の小学校「瑞鸞学院 初等科」に見学に来た際に前世の記憶を思い出した。
彼女は、前世では普通の家に生まれた女の子であり、『君は僕のdolce（ドルチェ）』（略して君ドル）という漫画のファンだった。そしてその「君ドル」は良家の子女が通う学校「私立 瑞鸞学院 高等科」に特待生として入学したヒロインが、「皇帝」と通称される学院のヒーローと恋に落ち、周囲からの嫌がらせなどに翻弄されつつも最後には結ばれるというストーリーだった。
そして、「君ドル」にヒロインを苛め抜く主犯格として登場するのが「吉祥院麗華」であったのだ。「吉祥院麗華」は庶民を見下す性格の悪いお嬢様であり、親の力で「皇帝」との婚約にまでこぎつけるものの、最終的には「皇帝」により婚約は取り消しにされ、それまでの悪事も暴露され、吉祥院家ごと破滅させられてしまう……という役どころだった。
前世で読んだ漫画の世界に、破滅が待つ悪役として転生しているらしいことに気付いた彼女は失神するほど動揺してしまうが、前世の記憶を使って運命に立ち向かうことを決める。しかし元々ド庶民であり小心者である彼女は大きな野望を持つことはなく平穏無事な人生を求めて、敵を作らない謙虚で無害な存在として堅実に生きていこうとするのだった……。
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関連項目
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