10万人の宮崎勤とは、かつてコミックマーケットの会場で、テレビ番組のレポーターが来場者を前に「ここに10万人の宮崎勤がいます!」と発言しその模様が報道されたと云われる出来事である。
数多くの目撃証言が寄せられているが、当時の記録に乏しく明確な証拠が発見されていないため都市伝説の域を出ていない。
概要
事の発端は、1988年から1989年にかけて発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件である。
この事件の犯人として逮捕、後に死刑が確定し2008年に執行された宮崎勤元死刑囚が、コミックマーケット35にサークルとして参加していた履歴があった事から、1989年8月の逮捕直後に開催されたコミックマーケット36には、報道メディアが取材に殺到した。
事件の詳細は、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件を参照。
この事件をきっかけに、おたく、当時おたく族と呼ばれていた人々を変質者あるいは犯罪者予備軍と揶揄する認識がマスメディアにより広く報道され、おたくバッシング、その後の有害図書追放運動に発展する。
報道問題の再燃
新世紀エヴァンゲリオンの人気やテレビゲーム、PCゲームの普及を背景に、おたくから発展したオタク文化が急速に広まる2000年代に入り、2chやTwitter等のSNS上で再びこの出来事が注目されるようになった。
当時月刊少年エース増刊エース桃組で連載されていた平野耕太『進め!以下略』第16話に10万人の宮崎勤にまつわる話が掲載された。東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件発生から10年以上が経過し、オタク世代の世代交代が起こり始めている時期であり、その信憑性を含めてネット上で議論を巻き起こした。
その後、2008年6月17日に宮崎勤死刑囚の刑が執行され。マスメディアで当時のバッシング騒動を含めて大々的に報道された事から関心を集めるようになった。
東海林のり子の発言騒動
報道問題の再燃に平行して、同人用語集サイト「同人用語の基礎知識」等にTBSの番組で女性レポーターが10万人の~と発言したとされる記述が追加される。Wikipediaにもコミックマーケットのレポートに訪れた東海林のり子が発言したとされる記述が追加され、後に編集合戦となった。
1989年当時に東海林のり子が報道レポートを担当していたのはフジテレビの『おはよう!ナイスデイ』であり、TBSの報道番組には携わっていない。後に東海林本人も2017年のインタビューにて「言っていません、言うはずがありません」と明確に否定している。
数少ない関連動画
事件が発生した1989年はインターネット自体が存在せず、録画もVHSやベータが主流であったため、映像記録に乏しく、発言そのものの映像は未だに出てきていない。
しかしながら、当時マスコミがコミックマーケットを取材した可能性を示す映像は残っている。
YouTubeからの転載と思われ、大元は1992年4月1日にフジテレビ系列で放送された「スクープスペシャル・ワイドショー衝撃映像決定版!」である。
動画の概要は「1990年10月に4歳と2歳の幼女への強制わいせつで逮捕された犯人が、過去に宮崎事件でインタビューされていたビデオマニアであった、結局同じ穴の狢だったのだ」というもの。東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件ではない事に注意したい。
この時に(わいせつ事件の)犯人がインタビューを受けていた場所が、人の多さ、特徴的な窓の構造から晴海こと東京国際見本市会場・東館ではないかとの指摘がある。当時の情勢でビデオマニアが集うような大規模イベントはコミケ以外に無く、また、1989年8月から1990年10月までの間に晴海で開催されたコミケは89年夏のC36だけであり、仮に晴海であるのならば、フジテレビが取材をしていたのが明らかになり、当時の報道でこの映像を見た人々により都市伝説のトリガーになっていた可能性が考えられる。
関連リンク
関連項目
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