概要
韓国国内では大衆歌謡 (いわゆるポップス) のことを単にカヨ (歌謡) と呼んでいるが、海外でのセールスを意識する際は、韓国のものであるというアピールもあって“Korean-pop”=K-POPを自称する。
日本では主にアイドルグループをK-POPと呼称する傾向にあり、2000年前半に国内で高い人気を誇っていたBoAなどは別のくくりで扱われていることが多い。
K-POPは自国内と同等の売上を輸出によって生み出しており(2018年時点)、ドラマ・映画とともに韓国の大衆文化(韓流)の一翼を担っている。
余談として、韓国にも日本における演歌のような「民謡的な旋律を用いた、古いスタイルの歌謡曲」があり、トロット (軽快な社交ダンスの曲を表す英単語 Foxtrot の略) と呼ばれている。欧米スタイルの楽曲を自国の漢語で呼ぶのに対し自国の民謡スタイルの楽曲が外来語で呼ばれるというあべこべ現象がおきている。
変遷
2000年代末より海外への進出が活発化し、とりわけ東方神起・KARA・少女時代などのグループが精力的に活動し人気を得るようになったころから、K-POPブームが日本国内でも発生した。
2010年代に入るとSNSやYouTubeなどのデジタルメディアにいち早く対応し、インターネットを通したプロモーションによりアジアだけでなく北米・ヨーロッパ市場への展開も広がっていった。
BTS(防弾少年団)は米ビルボードHot 100の1位を獲得するなど特に大きな成功を収めたK-POPアーティストとして知られている。韓国での兵役が特例で延期されるなど、政治にも影響を与えた。
2010年代後半から2020年代にかけて、韓国人以外がメンバーに所属する多国籍グループが増加している。一例として、BLACKPINKにはタイ出身のLISAが所属している。日本人ではTWICEのミナ・サナ・モモ、LE SSERAFIMのサクラ(宮脇咲良)・カズハ、IVEのレイなどがいる。
2020年代に入ると、日本と韓国の事務所が共同プロデュースするアイドルグループが増え始めた。NiziU、JO1、INIなどのグループは、メンバーは全員日本人であるがK-POPのジャンルとされることもある。
特徴
K-POPアーティストは早くからデジタルメディアやSNSを積極的に活用している。特に、YouTubeではミュージックビデオだけでなく、ダンス練習動画や個人的なVlogも継続的に配信されている。これらは世界中のファンと直接的につながり、グローバルな人気を獲得する要因となっている。
K-POPアーティストは、デビュー前から厳格なボーカル・ダンストレーニングを受け、あらかじめプロデュースされたコンセプトとスタイルを持ってデビューする。これは、ファンがアーティストの成長を見守る日本のアイドル文化とは異なる特徴である。特に、ガールズグループは「同性にも魅力的な女性」というコンセプトにすることが多く、女性ファンの獲得に成功している。
K-POPでは特に男性アイドルグループに熱心なファンが多く、ファン同士の交流やアーティストへの組織的な支持活動が盛んである。音楽チャートへのランクインを目指して楽曲の再生やアルバム購入、SNSでの広告活動などが行われる。この点はJ-POPの特に(旧)ジャニーズファンにも見られる傾向である。
CDの販売形態について
韓国ではストリーミング配信の市場が早くに発達しており、楽曲の人気を計る指標としてはこちらが主流となっているが、CDの販売数もアーティストの人気を測る指標となっている。
ミニアルバム(EP)かアルバム、デジタルシングルでの販売形態が主流であるが、日本で言うシングルCD(2曲程度が収録されたもの)は『シングルアルバム』という名称で販売される。これは、韓国国内で物理メディアのことをアルバムと呼ぶ慣習があるためである。
歌だけでなく外見もウリにしているグループでは、写真集同然の派手なブックレットをつけたアルバムを出すことも多い。日本でもストリーミング配信の進展により、CDは音楽を聞くものからファングッズとしての意味合いが強くなっているが、韓国ではそれ以上に所有欲を満たすためのファングッズとしてデザインされている。
韓国内でのCD市場は、2010年頃には低迷しており、2011年に発売されたCDアルバムの内、売り上げが10万枚を超えているのは上位わずか13枚という状態だった。その後これらの工夫により、世界各国でCDの売上が低下するにもかかわらず、韓国では年々増加傾向にある。
また、CD売り上げにおいて現時点で世界最大規模を誇る日本の音楽市場で成功した場合にK-POPアーティストが得る利益は大きく、K-POP輸出額の1位は長らく日本が占めている。
リパッケージアルバム
韓国にはリパッケージアルバムというアルバム形態がある。
それは、既にリリースされているアルバムに対して、新曲や新MVを追加して販売する形態のことである。たとえば、少女時代の2ndアルバムは「Oh!」であるが、これのリパッケージアルバムが「Run Devil Run」に当たる。日本でも少女時代はリパッケージアルバムを発売している。
有体に言えば「焼き直し商法」であり、無論韓国内でもこの売り方に対する批判は小さくないが、人気のあるうちにアルバムを連発して利益を稼ぐ、というのが基本的なプロデュース方法として韓国では確立している。近年では、上述の通りCD市場が縮小していることから、リパッケージアルバムの発売がより早く、頻繁になる傾向にある。
活動期間(カムバックステージ、グッドバイステージ)
アーティストやアイドルは、新アルバムをリリースすると、歌番組で毎週のように歌う。
その一番最初のステージをcomeback stage(カムバックステージ)と呼び、また活動期間を終える最後のステージをGoodbye stage(グッドバイステージ)と呼ぶ。
日本では、よほど人気のあるアーティストでもない限り、新作をリリースした直後に各局の番組で1回ずつ披露し、その後それが人気を得れば改変期や年末の特番で再び披露する、という形が基本であるが、日本と比べて少数のグループを重点的に推す傾向の強い韓国ではこの方法は取られず、同じアーティストのパフォーマンスを繰り返し放送する。
また、歌番組で歌う曲を活動曲と呼ぶが、ある一定の活動期間を終えると別の曲を選び歌う。それは後続曲と呼ばれており、活動曲と比べ全く雰囲気の違う曲が選ばれるケースが多い。
活動期間は数ヶ月に及び、ニコ動にも大量のLIVE動画が投稿されている。
主な音楽番組
- Mカウントダウン(M CountDown)・・・毎週木曜(18:00~)
- ミュージックバンク(MUSIC BANK)・・・毎週金曜(18:00~)→ニコ生にて公式字幕生放送あり
- ミュージックコア(MUSIC CORE)・・・毎週土曜(16:00~)
- SBS人気歌謡(INKIGAYO)・・・毎週日曜(16:00~)
関連動画
関連チャンネル
K-POPアーティスト一覧
関連項目
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