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K2小銃とは、韓国軍において使用されている、制式主力小銃の一つである。
Wikipediaでは国によって表記が異なっており、日本版は「K2(ライフル)」という表記だが、韓国版では「K2 소총(小銃)」、中国では「K2突擊步槍(アサルトライフル)」と表記され、ほか英語では「Daewoo Precision Industries K2」もしくは「Daewoo K2」と社名+製品名のかたちで表記されている。
概要
1970年代に開発されたライフルで、手がけたのは韓国・大宇グループの企業である大宇精密工業(デーウ プレシジョンインダストリーズ)。もともとはM16A1をライセンス生産・納品していた企業であった。
当時、第二次大戦以降の韓国軍ではM16A1を主力小銃としており、大宇グループがその生産と韓国軍への納品を手がけていた。のちに後継となる自国産ライフルの開発・生産を目指した大統領によって正式な開発指示が出ると、国防科学研究所を主体として開発が始まり、大宇はM16A1の生産ノウハウを生かして「大宇 K1機関短銃」「大宇 K2小銃」を開発した。
開発は1970年代だが生産開始は1984年からである。生産当初は戦闘部隊など前線兵士に優先的に配備されていたが、90年代のころには、ほぼ全てに配備が行き渡っている。
しかし現在、K2小銃、K1機関短銃、M16などの保有している小銃が耐用年数を超えてなお使われ続けている現状が問題となっている。改良版のK2C1へと更新していく構想もあるが、韓国国防省は北朝鮮からの防衛を優先して先端兵器の開発に予算を振り分け、小銃への予算を絞る事を明言している。[1]
詳細・スペック
スペック | |
---|---|
製造 | 韓国・大宇精密工業 |
全長 | 970mm 730mm (折畳時) |
重量 | 3260 ~ 3370g (3.26kg ~ 3.37kg) |
銃身長 | 465mm |
機構 | ガスピストン方式 (ロングストローク) |
口径・弾薬 | 30発 5.56mm NATO弾 |
有効射程 | 600m (K-100) 450m ~ 460m (KM193) |
日本の豊和工業とAR-18に似た経緯を持っており、アメリカの銃器をライセンス生産していた企業が、その生産ノウハウを生かして自国産につなげた自動小銃である。
生産には大宇精密工業がM16A1のときに使った設備もそのまま流用されている。アルミニウムやプラスチックもM16と同様に多用されており、デザインや構造がほぼM16からの意匠を受け継いでいるため、M16の亜種といえる(ライセンス生産で培ったノウハウを使っているのだから当たり前だが)。
「K1機関短銃」とは異なってフルサイズとなっており、M16A1とK1で採用していたリュングマン方式から、AK-47などで採用されているガスピストン方式へと変更することで動作性と整備性を高めている。
弾薬の規格はアメリカや日本と同じくNATO規格の5.56mm弾を採用している。2013年のスーダンにおいて韓国軍が自衛隊から銃弾提供されたという報道が出たことがあったが、供給が可能だったのは、両国ともにNATO規格に対応していたためである。
また、空挺用などの区別なく全てのK2小銃が標準でストックを折りたためる形式になっているため持ち運びやすい。
なお、K1機関短銃とK2小銃はカービン型とフルサイズ型という風に解釈されることがあるが、K1機関短銃は5.56mm弾仕様とはいえM3サブマシンガンの後継であり、K2小銃はM16A1アサルトライフルの後継としてそれぞれ開発されたものである。つまりナンバリングは近いがサブマシンガンとライフルという別の用途である。
種類
種類 | 性能 |
---|---|
K2C | K2小銃のカービン型。ストックを折り畳み式から伸縮式に変更し、ピカティニーレールを採用。 |
K2C1 | K2小銃の改良版。K2Cと同様にストックを折り畳み式から伸縮式に変更、銃身まで伸びている長いピカティニーレールを採用しており、もはやK2小銃というよりM4カービンかHK416に近い。 |
AR-100 | K2小銃のセミオートマチック限定の5.56mm弾仕様。一般市場向けに作られている。 |
DR-200 | K2小銃のセミオートマチック限定 + .223レミントン弾薬仕様。一般市場向けに作られている。 |
DR-300 | K2小銃のセミオートマチック限定 + 7.62x39mm弾薬仕様。一般市場向けに作られている。 |
採用実績
並びは50音順
- イスラーム国 (ISIS / ISIL) [2]
- イラク - 特殊部隊での使用が確認されている
- インドネシア (2008、2011)
- エクアドル (2011)
- セネガル (2003)
- ナイジェリア (1983、1996、2006) - ちなみに最初の顧客でもある
- パプアニューギニア (2013)
- バングラデシュ - 海軍の特殊作戦での使用が確認されている
- ペルー - 海軍での使用が2009年に確認されている
- マラウイ (2012)
- メキシコ (2011)
余談
- なおK2小銃を生産していた大宇精密工業の大本である大宇グループだが、アジア通貨危機(1997~)で苦境に陥ったため経営再建していたときにグループ会長が資金を持ち出して高飛びしたため崩壊状態となる(グループ会長は2005年に逮捕された)。その後の整理で大宇精密工業はS&Tグループに入り、「S&T大宇」、のち「S&T Motiv」に社名変更している。
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関連項目
脚注
- *韓国軍の小銃の70%が寿命切れ、来年からの購入予算はゼロ=韓国ネット「この国の未来が心配」「敵の小銃を奪って攻撃すればいい」 (Record China 2016年4月21日(木) 5時50分)
- *イスラーム国側の写真にK2Cが写っていたことがあり、のちに韓国国防省も写っているのがK2Cである事を認めた。K2Cはイラクに納入したことがあるため、奪われて使われているものと思われる。
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