ミコヤンMiG-29(Mikoyan MiG-29, МиГ-29)とは、ソビエト連邦で開発されたジェット戦闘機である。
NATOコードネームはフルクラム(Fulcrum)、慣用的にファルクラムとも。ラースタチュカとも呼ばれているが、これは本国ロシアでの愛称ではなく日本独自の呼び名である。
概要
アメリカが開発したF-14やF-15に対抗するための戦闘機としてミグ設計局で70年代に開発が始まり、77年に初飛行、83年に運用が開始されている。
翼形状、エンジン配置など全体的な機体構成が同時期に開発されたSu-27と類似しているのは、両機種とも中央流体力学研究所(TsAGI, ツアギ)の研究を取り入れた結果だが、空軍で使用されるMiG-29は防空軍で使用されるSu-27と比べて小型でコストパフォーマンスに優れている他、機動性も優れており、局地戦闘機としての性格が強いが、小型ゆえに航続距離や武装搭載量ではSu-27に劣る。[1]
その後冷戦終了後の財政難から少数の戦闘機で広大な国土を守る必要性が生じ、空軍で航続距離の大きなSu-27が、海軍ではその発展型のSu-27Kが採用される事となってしまった。
MiG-21ほどではないにせよ、多くの国へ輸出されたが、輸出先の国でも老朽化などに伴い順次退役が進んでいる。
しかしその一方で価格の安さから、Mig-29を購入する国が存在するのも事実である。
北朝鮮もMiG-29を少数ではあるが保有し、迎撃任務に充てている。
アメリカ空軍が研究用と称して中古のMiG-29を買い取った事例もある(イランへの輸出を防ぐ、という政治的な動機もあったようだ)。
なお政局が不安定な地域に多く輸出されている為、実戦への参加経験は非常に多いが損失数も多く、この事や上記のような経緯からMiG-29=弱い戦闘機というイメージを抱かれる場合も多いが、それらの戦闘では相手に比べて支援が遥かに劣っていたケースも多いため、実際に対等な条件で戦闘を行った場合どのような結果になるかは分からない。
輸出成績がSu-27にくらべて芳しくはないのにはソ連崩壊の混乱に伴う政治的な理由もあったのではないかと推測されている。
現在も改良型の開発・売り込みは継続しており、エアショーなどでは Mig-29OVT がロシア名物の変態機動を披露し、艦載型である Mig-29K はインドへの輸出も決定している。
又、体験飛行ツアーなどに申し込めば実機への搭乗も可能であったりする。
主要諸元
関連動画
うたたPによるミクトランス「ストラトスフィア」。MiG-29のエンジン音と「ラースタチュカ」のリフレインが用いられている。
関連項目
脚注
- *ソ連には空軍の他に防空軍があり、空軍の戦術機は作戦地域内の軍事目標だけの防空を担当し、ソ連本土の防空は防空軍が担当する。両者は戦闘機に対する要求も異なる。(「ミグ戦闘機」ビル・スウィートマン 浜田一穂訳 原書房 1991 pp.13-14)
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