衛宮士郎(えみや しろう)とは、TYPE-MOON発売のPCゲーム「Fate/stay night」の主人公。
プロフィール
概要
今は亡き義父"衛宮切嗣"に頼み込んで八年前から魔術を教わり、毎日鍛錬を続けているが腕前はぶっちゃけ半人前以下。魔術師とは名ばかりの、それも見習い以下の腕前である。
養父が死んだ後も五年間独学で、毎夜死ぬ危険のある無茶な魔術の鍛錬を繰り返していたが、成果は全く出ていない。
五年間まったく進歩がない、という現状に焦りを覚えつつも、今自分にできることとして身体を鍛え、生活費を自分で賄うためにアルバイトに励んでいる。
現在は退部しているが弓道部に入ったり、友人の柳洞一成や間桐慎二と交流したり、慎二の妹で後輩の間桐桜や姉代わりの藤村大河と飯を食べたりと平和に暮らしていたが、
深夜の学校で全身青タイツの男とガン黒赤コートの戦いを目撃したこと、目撃者を消そうとする青タイツの男に殺されそうになった結果、冬木市で始まろうとしていた聖杯戦争で呼び出される七騎のサーヴァントの一騎セイバーを偶然召喚したことで否応なく「聖杯戦争」へと参加することになる。
特技はガラクタいじりと家庭料理、他家事全般。生徒会長である一成の頼みで学校の備品の修理もちょくちょく行っているため、偽校務員とか文連の修繕担当とか弓道部の掃除機とか穂群原のブラウニーなる仇名を持つ。
料理の技術に関しては本編で度々詳細に料理の様子が描写されており、リアルかつチート臭い腕前はリアル主婦・主夫プレイヤーの皆様に衝撃を与えた。聖杯戦争が始まった後も普通に毎日3食作って振舞っており、修行で半身麻痺になった時でも飯の用意は忘れなかった。
得意とするのは和食。洋食や中華も一応作れないことはないが、一番は和食。中華と洋食はあかいあくまとダイナマイトバディのお二人が得意としている。
困っている人への助けを惜しまない。一見すばらしい善人のように見える性格だが、その奉仕精神はともすれば異常な域に達しており、自らの損得や安全、命すら勘定に入れず行動を起こしてしまう。
突き詰めると「他人を救う為に自分の命を投げ打ってしまう」性格であり、自身を省みないこうした行動は時として"歪んでいる"、"歪である"と言われる。
ここから下は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 自己責任で突っ走ってください。 |
このような性格になってしまった原因は10年前に起きた"冬木大火災"に巻き込まれ唯一の生存者となり、後の養父である衛宮切嗣に命を救われた事が最大の要因である。
これに関する詳細は「Fate/stay night」ではなく、スピンアウト小説である「Fate/Zero」で詳しく描かれている。詳しくは該当項目を参照してほしい。
切嗣の臨終の際、彼の口から「正義の味方になりたかった」というかつての理想を聞き、その理想に憧れそのまま自分の理想にしてしまった士郎は、「正義の味方になり、すべての人を幸せにする」という限りなく不可能に近い夢を目指すことになってしまう。
冬木大火災で"一人だけ生き残ってしまった"ことに負い目があることも、自分の命を軽視する一因。
冬木大火災によって文字通り「士郎」という名前以外の過去を全てを燃やし尽くされ、自分というものがないその異常性から、「一生懸命人間のふりをしているロボット」「人間になろうとしているロボット」とも呼ばれる。
余談だが、「月姫」の主人公である遠野志貴とはいろんな意味で相当に相性が悪いらしい。
「月姫の主人公とは絶対に相性悪いです。ランサーとアーチャーばりに」(第一回人気投票きのこコメントより)
戦闘能力
物語冒頭の士郎は、頼みの魔術も殆ど役に立たず、木刀を持った一般人よりはマシ?といった程度の戦闘能力である。
日頃から筋トレなどを行ってはいるが、これらは「いざというときに思った通りの無茶を実現できるようにするため」であり、そもそも戦闘訓練ではない。
しかし、ルート毎に要因は異なるがそれぞれ戦闘能力を上げていき、最終ルートでは条件付きだが黒セイバー相手に勝利に近い引き分けという人間とは思えない戦果を残している。
(が、色々と代償も大きいので非常にリスキーであると言わざるを得ない)
魔術
切嗣から魔術を教わったものの、それは基礎の基礎程度であり、魔術に関する知識は浅い。
また、後述する魔術回路の適正の問題も加わり基礎的な魔術すら扱えず、二人目の師匠にあたる”赤いあくま”からは「へっぽこ」の烙印を押されている。ただし、魔術回路自体は使われていないものまで含めると27本存在しており、血を重ねて魔術回路を増やしていく魔術師の家系の生まれでもない人間にしては十分に多い。
魔術は物体に魔力を通し性質を強める「強化」、魔力で物体を作り上げる「投影」しか使えない。ただし投影に関しては作ってもすぐ消える通常の投影とは異なり、作った物質がいつまでも消えないという特異性を発揮する。この能力に関しては、圧倒的に魔術の腕前で勝るはずの遠坂凛をして殺意を抱かせた程。
彼の投影は”創造の理念を鑑定し、基本となる骨子を想定し、構成された材質を複製し、製作に及ぶ技術を模倣し、成長に至る経験に共感し、蓄積された年月を再現する”という工程を経て完成するものであり、1から10まで全て魔力で再現する通常の投影とは厳密に言えば異なるもの。投影したものが消えない理由はこの辺にあるのかもしれない。
これに関しては『Fate/EXTRA CCC』でもアーチャーの発言『投影六拍』(創造理念(どのようないとで)・基本骨子(なにをめざし)・構成材質(なにをつかい)・製作技術(なにをみがき)・成長経験(なにをおもい)・蓄積年月(なにをかさねたか)を追想(トレース)する事でより高度な複製を可能とする)という形で説明がなされている。
その特異性の理由として、彼の魔術回路が「固有結界」という自身の心象風景によって世界を侵食し、世界の法則を変える魔法に最も近い魔術を発現させるために特化したものであるためである。
前述の強化も投影も、この魔術の副産物である。
固有結界
以下核心につき反転
彼の固有結界は「無限の剣製」と呼ばれる。
その心象風景は、無数の剣が突き立つ一面の荒野。内部にはあらゆる剣の因子が充満しており、一度でも視認した剣はこの結界内にストック(解析・貯蔵)され、即時複製できるというものである。展開と維持には莫大な魔力を必要とし、投影された武具もオリジナルに比べれば性能は落ちるが、ノータイムで複数の武具を複製することができ、さらに本来の使い手には及ばないがある程度は使いこなすこともできるという、さまざまな利点を持つ。
通常の衛宮士郎の魔力量では維持はおろか展開すら不可能だが、あるルートでは他者と魔力のラインを繋ぎ魔力を借りることで使用した。
ちなみに槍や斧のような刃物であれば結界内にストックされ、防具類も一応ストックはされるが通常より魔力消費量が増える上に、瞬間的にしか効果が発揮されない。さらに機械のような近代文明の産物は投影しても中身がないガラクタにしかならないが、「hollow ataraxia」のとあるシーンを見る限りでは修行次第では投影できるようになるのかもしれない。
なお、剣であればあらゆるものが目視しただけでストックされるが、その例外となるものも存在している。具体的には『エクスカリバー』や『乖離剣エア』などの神造兵装であり、おそらく上記の"投影六拍"の情報が目視では読み取れないためストックができず、したがって完全な再現もできない。
ただし、原作のルートによっては士郎がエクスカリバーを投影したり、とある人物が「(エクスカリバーを)確実に複製してみせよう」「完全な再現は無理だが、真に迫ることは出来る」と発言していたりもするため、条件次第だが投影すること自体は不可能ではない模様。
魔術以外
セイバーの直感のような特別な才能はなく身体能力も平凡なため、剣術では一流になれないと太鼓判を押されている。そのため基本的に相手の攻撃を受け流しつつ隙を見つけて反撃するという防御主体のスタイルである。
ただ弓に関しては弓道部時代に「外れることが予めわかった上で射た」1射を除き全て的を射貫いてみせたり、超高速で動き回るバーサーカーの眼球に狙いをつけて(効かなかったとはいえ)見事命中させる腕前である。
この能力は、士郎の異常な魔術鍛錬の副産物。弓道とは自分を殺す道であり、自己を『無』にする点において、弓道と魔術は理論上似通っているためである。詳しくはUBW四日目の弓道場シーンを参照のこと。
ただしこれは、あくまで理論上の話であって、魔術師が全員毎晩三途の川を拝んで『自己を無にする』ことを身体で覚えている、などという事実はない。自殺未遂に等しい誤った鍛錬を夜毎繰り返した士郎だから辿り着いてしまった境地である。
セイバーとの契約後、人外じみた再生能力をたびたび発揮しているが、それは切嗣に命を救われた際、体内にエクスカリバーの鞘である「全て遠き理想郷(アヴァロン)」を埋め込まれたためであり、長年同化していたせいかこの鞘に関してはほぼノータイムで投影が可能である。ただし、この再生能力はセイバーと契約している間だけの効果であり、セイバーと離れると徐々に弱まり、契約を解除すれば当然のことながら効果はなくなる。また、アヴァロンの投影もできなくなる模様である。
アーチャーとの関係
遠坂凛のサーヴァントであるアーチャーとは、基本的に他人を嫌悪しない彼にとっては珍しく初対面から互いに敵意をむき出しにして接している。
以下核心につき反転
なぜそんなことになっているかというと、アーチャーの正体が世界と契約し英霊になった衛宮士郎その人であり、究極的な同属嫌悪であると同時に士郎にとって理想をなくしたアーチャーは許せるものではなく、アーチャーにとって夢物語を追っていずれ破滅する過去の自分は到底許容できるものではないからである。
同一人物であるためかアーチャーの戦闘を見たり直接剣を交えたりすることで、その技術を吸収したり、過去を垣間見たりしている。
HFルートでは失った左腕の代わりにアーチャーの腕を移植した事で、アーチャーの知る知識や技術等を無理やり体得したが、本来英霊の腕を人間に移植するなど自転車に飛行機のロケットエンジンを付けるような無謀なものであり、聖骸布で抑えているとはいえきちんと自我を保ったままでいられるのはひとえに魂の大本が同じためである。「劇毒持ちのはぐれメタル」のようなもの。
しかしその思想が相容れないとはいえ、完成され尽くした戦闘技術や魔術は士郎にとって目標となるものであり、その背中は越えるべき壁として士郎の中に存在している。
魔術属性・起源
TYPE-MOON世界においては自らの行動原理の大本になる起源と、どの魔術に向いているかという魔術属性がそれぞれの人間に設定されている。
士郎の場合は起源:剣、属性:剣と、非常に剣に特化したものとなっている。
これは衛宮切嗣に助けられたときに埋められたアヴァロンの影響である。
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関連項目
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