エガオヲミセテとは、1995年生まれの日本の元競走馬である。
悲劇の最期と、その直後の小さなドラマが有名。あとは日本で初めて「ヲ」を使った馬名をつけられた馬としても有名。小田切有一氏の代表馬の1頭。
主な勝ち鞍
1998年:阪神牝馬特別(GII)
1999年:マイラーズカップ(GII)
詳しい戦績などはWikipediaへ。基本的に旧年齢で表記する。
父サンデーサイレンス、母カーリーエンジェル、母父ジャッジアンジェルーチ。祖母はオークス馬ダイナカールで、女帝エアグルーヴを叔母に持つ良血。
97年に開業3年目の音無秀孝厩舎に入厩。この年、JRAは条件付きで馬名に「ヲ」を使用することを認めた。これに珍馬名で有名な小田切有一氏がいち早く乗り、エガオヲミセテで馬名を登録。晴れて「ヲ」を使った馬名一番乗りを果たしたのである。
デビューは3歳11月。ここでは一番人気を裏切り15着と惨敗するが、折り返しの新馬戦で初勝利を挙げる。この後はしばらく休養し、休み明け2戦目にオークストライアルのスイートピーSを勝利。オークスに挑戦するが、ここは敷居が高かったかエリモエクセルの15着に惨敗する。続くマーメイドSは古馬に混ざって3着と善戦。
秋はぶっつけ本番の秋華賞で4着に粘るがエリザベス女王杯ではメジロドーベルの8着に惨敗。しかし暮れの阪神牝馬特別では先行して強い競馬を見せ快勝。重賞初制覇を遂げる。
明けて5歳、初戦こそ大敗するが2戦目のマイラーズカップでキョウエイマーチ、ファレノプシス、マチカネフクキタルなどのGI馬を相手に勝利。しかし京王杯SC8着、安田記念も6着と結果を出せず。マーメイドSで2年連続3着となったところで休養に入る。
秋も勝ちきれない競馬が続いたが、エリザベス女王杯でメジロドーベルにコンマ2秒差の3着に好走。先行馬の中で唯一掲示板に食い込み期待を抱かせたが、この後2戦続けて大敗する。東京新聞杯で14着と敗れ、いったん放牧に出されたときに悲劇は起こる。
2000年2月10日未明、宮城県亘理郡山元町の山元トレーニングセンターの厩舎で漏電による火災が発生。発見された時点ですでに火が回っており、どうにか馬を外に逃がそうとしたスタッフの必死の努力も空しく、厩舎内にいた30頭中22頭が焼死するという悲劇となった。この火災で犠牲となった馬の中に、放牧に出たばかりのエガオヲミセテもいたのである。競走馬としても現役の真っただ中であり、また血統背景から繁殖牝馬としての将来も嘱望されていただけに、あまりにも惜しい夭逝だった。
エガオヲミセテが志半ばに旅立った直後のこと。東京競馬場のGⅢダイヤモンドステークスに、同じ音無厩舎のユーセイトップランが出走した。この馬、かつてはステイゴールドやグラスワンダーを破って重賞を勝ったこともある実績馬だったのだが、かれこれ1年以上勝利に見放され、過去7走は2桁着順。久々の長距離戦ということで若干人気を戻してはいたが、それでも7番人気と、実績とメンバーを考えれば見限られたと言っていいような人気だった。
しかし、後藤浩輝と初コンビを組んだこのレースで、ユーセイトップランは激走。それまでは直線の追い込みが持ち味だったのだが、このレースでは3コーナー手前からマクリを仕掛け4コーナーで先頭。そのまま直線をしのぎ切り快勝したのである。実に約1年半ぶりの重賞制覇。音無調教師は「エガオが後押ししてくれたのかな」と語ったという。ちなみに厩舎でエガオヲミセテとユーセイトップランは仲が良かったらしい。ユーセイトップランは天に召された妹分に勝利を捧げたかったのだろうか。
同年、山元トレセンの火災事故により有力馬を失った音無調教師のもとに、小田切は所有馬を預託した。その馬の名は「ゲンキヲダシテ」だった。
なお、2006年の高松宮記念でエガオヲミセテの全弟オレハマッテルゼが勝利。姉が届かなかったGI制覇を成し遂げ、種牡馬としてもGI馬を出す活躍を見せた。弟が自分の叶えられなかった夢を果たす姿に、天国の彼女が笑顔を見せてくれたかどうか…それは彼女自身と、彼女が天に召された5日前に生まれ、同じく若くして旅立ち、天国で姉に初顔合わせしたであろうオレハマッテルゼにしかわからない。後に登場した彼の「名馬の肖像」でもエガオヲミセテを意識したような文面となっている。
願うのは
報われることなど
数えるほどしかなくて
それでもコツコツと
走り続けるしかなくて俺の願いはたったひとつ
もっともっと君を
喜ばせることができたなら
| *サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
| Nothirdchance | |||
| Cosmah | Cosmic Bomb | ||
| Almahmoud | |||
| Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
| Pretty Ways | |||
| Mountain Flower | Montparnasse | ||
| Edelweiss | |||
| カーリーエンジェル 1990 栗毛 FNo.8-f |
*ジャッジアンジェルーチ 1983 栗毛 |
Honest Pleasure | What a Pleasure |
| Tularia | |||
| Victorian Queen | Victoria Park | ||
| Willowfield | |||
| ダイナカール 1980 鹿毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
| Lady Victoria | |||
| シャダイフェザー | *ガーサント | ||
| *パロクサイド | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
破れた夢が果たされる時
掲示板
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最終更新:2025/12/11(木) 04:00
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