キハ283系(283系気動車)とは、北海道旅客鉄道株式会社保有する特急形のディーゼル動車(気動車)である。
なお、JR北海道のHP等における部外向け標記は「283系気動車」である。
北海道旅客鉄道(JR北海道)が誇る振子式特急形気動車の第2弾。
函館方面向け特別急行列車の高速化をキハ281系で果たしたJR北海道が、釧路方面向け特別急行列車の高速化を図ろうとキハ281系を改設計、試作車は1995年に、量産車は1996年~2001年まで製造された。1997年3月に特別急行「おおぞら」の一部を置き換える形で特別急行「スーパーおおぞら」として運転を開始した。
車体はステンレス製(前頭部のみ普通鋼製)としているが、キハ281系と違い連続窓風のデザインを廃止、全体は無塗装ながら、前頭部およびドアまわりをコバルトブルー、 無塗装部分との境界は 萌黄色(明るい緑色)に塗装し、丹頂鶴をイメージした赤色のアクセントを入れている。
普通車車内は釧路湿原をイメージした落ち着いたグレー系に丹頂柄のモケットを使用し、背摺には丹頂鶴をイメージした赤色の持ち手を取り付けた座席を並べている。
一方グリーン車は、3列・電動リクライニング・電動レッグレスト(脚載せ)・電動カーテン・コンセント・オーディオetc... 一言で表せば「玉座」(のようなもの)である。「スーパーグリーンなんて最初から要らんかったんや!」と思わず関西弁でツッコミを入れたくなる装備であったが、電動カーテンはいつの間にか廃止(手動化)され、普通に「乗り心地がよいグリーン席」になってしまった。
前頭部の特徴的デザインはキハ281系をベースにリファインされ、構造も車体主要部と異なり普通鋼製で、前面を強化してある。
これは連結時に乗客の行き来を可能とする貫通構造を維持しながらも、列車が障害物に衝撃した際に乗客および乗員の安全を守るためのデザインであり、低重心化には不利な構造であるが、有名な柿沼博彦氏(JR北海道副社長・技術開発担当)の強い意志の結果、実現され、キハ281系以降に生産された同社の特急形の気動車・電車に引き継がれているもので、JR北海道特有の構造である。(789系1000番台では貫通扉が省略されているが)
…そしてその構造の正しさは、2010(平成22)年1月29日に函館本線の深川6号線踏切道において、後輩の789系1000番台電車(スーパーカムイ24号)が、最高速度付近でDQNの運転するダンプに衝撃し大破全損もする、乗員乗客から重傷者や死者を出さなかった際に実証された(詳細はJR北海道の項目を参照されたい)。この事故を受け本形式を含むほぼ全ての特急列車は前頭部への立ち入りが禁止となった。
貫通扉には窓が設けられ、下にはLED式(281系、261系の一部、および789系基本番台は幕式)の表示により列車名およびヘッドマークが表示される。
キハ283系が「スーパーおおぞら」として走行する区間は、それまでキハ281系が「スーパー北斗」として走行している区間に比べて自然条件や路盤条件が格段に過酷であり、事実、試験的にキハ281系を石勝線や根室本線で走行させたところ、急曲線区間の通過の際の軌道に与える横圧や、乗り心地の悪化などが著しく、根室本線の高速化工事を施しても営業運転には投入できないと判断された。
このため、キハ283系ではこれを克服すべく、車体を最大で6度(キハ281系では最大5度)傾斜させる制御付自然振子機構を、横圧対策としてボルスタ(枕梁)付自己操舵台車を装備、カーブを本来の制限速度(本則)より最大40km/h高速で通過することができるようになるとともに、キハ281系に比べて乗り心地も大幅に改善されている。
また加速力をキハ281系以上に向上させ、急勾配や急曲線区間の走行抵抗にも負けない出力を得るため、キハ281系に搭載されたコマツ製の350馬力ディーゼル機関(N-DMF11HZ)の出力を向上して(355馬力、N-DMF11HZA)全車に2基搭載(キハ281系については同機関に換装後、同出力で排気ガス対策を施したN-DMF11HZDに換装済)、更に変速機も変速1段直結3段式のN-DW15形から変速1段直結4段式パワーオン制御付のN-DW18形に変更し、中速域での加速力を増強するとともに進段時の変速ショックの軽減が為された。
更にキハ281系では屋根上に置かれていた機器を車体下や車体内(冷房装置は客席を削ってまで車端部機器室に置かれている)に懸架することで徹底的な低重心化を成し遂げ、走行性能に磨きを掛けて、JR北海道の「電車に負けない気動車」…否「電車に打ち勝つ気動車」となった。
なお、霧深い北海道東部を走行する事が前提のため、前照灯にHID(高圧放電灯)を装備している。(キハ281系においてもリニューアル工事を施工したものは高圧放電灯が装備された)。
更に、凍結した軌条上において130km/hからのフルブレーキングで500m以内に停止する性能を満たすため、あの苗穂工場製の特殊鋳鉄制輪子を装備している。
キハ281系との混結にも対応しており、混結時には最大傾斜角度はキハ281系に合わせて5度に制限される。
最盛期は釧路~札幌間を根室本線~石勝線~千歳線経由で結ぶ「スーパーおおぞら」に加え、帯広~札幌間を走行する「スーパーとかち」および函館~札幌間を走行する「スーパー北斗」の一部にも充当された。
グリーン車を1両含む6両編成を基本とするが、スーパーおおぞらの場合増結が常態化していることから、最大11両編成が可能である。
またスーパーおおぞらの場合は、玉座グリーン車の需要が高く満席になることが多々あり、状況によってはグリーン車を増結していることがあった。
2000年代後半からはグリーン席・普通車指定席の改座やトイレのリニューアルが始まり、今後も末永く活躍する...かと思われた。
2010年代以降メンテナンス軽視を起因とする車両トラブルが頻発し、遂に2011年5月には石勝線で脱線炎上事故を起こしてしまう。付け焼き刃的な対策として2013年11月から最高速度を110km/hまで引き下げ、車両不足から「スーパーとかち」「スーパー北斗」からの撤退も余儀なくされるが、このサービス低下は客離れを招いた。
その後もトラブルと不祥事を連発するJR北海道の信頼失墜・相次ぐ無料高速道路の整備・スピードダウン・2020年からのコロナ禍を受けたテレワークの拡大、感染防止策としての自家用車利用拡大などの結果道民の鉄道離れは決定的となり、コストダウンが急務となる中でメンテナンスに手間の掛かる本形式は厄介な存在となってしまった。
このため2020年よりキハ261系への置き換えが始まり、2022年3月ダイヤ改正をもって営業運転を終了。余剰車は順次重機の餌となり、グリーン車は全て廃車された。一方で一部車両は2023年3月18日のダイヤ改正よりキハ183系に代わって石北本線の特急「オホーツク」「大雪」に投入された。基本編成は普通車のみの3両編成まで減らされたものの、再び営業運転に返り咲く事となった。
この復帰に関して、LED方向幕や車内案内表示装置に同列車の表示が追加されたほか、一部車両の座席の交換、振り子機能封印に伴い側面の「FURICO 283」のロゴマークを、石北本線の沿線自治体をモチーフにしたイラストに変更するなどの改造が行われている。最高速度は110キロのままのため電車と同じスジを維持できず旭川~札幌間ではいくつか駅を飛ばしている模様
掲示板
24 ななしのよっしん
2022/10/02(日) 21:36:33 ID: AVMWhc5I2h
いつまでキハ283系オホーツクに乗れるかな。
今キハ261を増備しても、北海道新幹線が札幌延伸したら北斗に使っていたのが余る。
札幌延伸まで頑張ってもらって、それ以降石北本線にキハ261を投入するという感じだろうか。
あるいは新幹線関係無く増備は続けて、揃い次第置き換え、北斗の余剰は宗谷の0番代置き換えに使用という感じだろうか。
25 ななしのよっしん
2022/11/06(日) 16:12:07 ID: 2QkaPrLeh9
北斗→所定8編成+予備3編成
とかち(+札幌持ちおおぞら)→所定5編成+予備4編成
こんな状況だから北海道新幹線開業で間違いなくキハ261大量にが余るし、今は新造控えてキハ283で保たせた上で新幹線開業と同時に宗谷のキハ261-0共々置き換えかもね。
ただこの贅沢すぎる予備編成状況(中間車に至ってはさらに大量に余ってる)見ると、減便状況次第では北海道新幹線開業前にキハ261で置き換えもありそう。
26 ななしのよっしん
2022/11/12(土) 16:46:44 ID: B031h9Kive
現時点で残ってるキハ283系は先頭車11両+中間車14両と思われる。
これだけあれば旭川止まりの大雪を全部札幌発着のオホーツクにできるのでは?
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最終更新:2024/12/22(日) 18:00
最終更新:2024/12/22(日) 18:00
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