世界耐久選手権とは、FIA(国際自動車連盟)およびACO(フランス西部自動車クラブ)が2012年より主催している、ル・マン24時間レースを中心としたスポーツカーによる耐久レースの世界選手権。略称はWEC。
ACOが中心に開催していたインター・コンチネンタル・ルマン・カップ(ILMC)が発展したシリーズで、FIAが1981~1985年に主催していたグループCマシンによる世界選手権と同じシリーズ名を受け継いでいる。
6月に行われるル・マン24時間レースを中心に、世界8~9カ国で6時間のクラス混走の耐久レースが開催される。
規約の詳細はWECの公式サイトや技術規則を参照することをお勧めする。また、ここに記載した内容は2022年現在の物である。
ドライバーは2~3名の交代制。ドライバーは実績によってプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4つの資格に分けられ、クラスによって参戦の縛りがある。また車両は大別してLMP(ル・マンプロトタイプ)とLMGTE(ル・マンGTエンデュランス)の2種類である。
マシンの規定や搭乗ドライバーによって、クラスは次の4つに分かれる。
タイヤは全クラスマルチメイクで、ミシュランとダンロップが参入している。6時間レースでは4セット+2本を使用できる。
ポイントは全戦有効。ル・マン24時間のポイントは二倍となっており、WECにエントリーしていないチームを除いた上で順位を付けて計算が行われる。またLMP1のドライバーズポイントのみ、総合順位を持って争われる(マニュファクチャラーズポイントはクラス別で計算)。
チームはWECにフルエントリーすることで、自動的にル・マン24時間への参戦権も得る。
2012年は昨年のル・マン24時間レースを制したアウディと、新規参入するトヨタが参戦。初年度からアウディR18のクリーンディーゼルエンジンと、トヨタTS030のガソリンハイブリッドエンジンという2つのエコエンジンという対立構造になった。 一方で昨年までアウディと熾烈な争いを繰り広げたプジョーは、開幕直前の土壇場で参戦を取りやめた。
2012,2013年はともにアウディがWECシリーズとル・マンを制したが、トヨタも2012年に3勝、2013年に2勝する好成績を収めた。トヨタはTS030をモーター2つによって全輪で回生・力行を行う四輪駆動にする予定だったが、直前にモーターは1つという通達が来たため、急遽後輪のみの回生・力行(つまり後輪駆動)にしての参戦だった。
2014年からはル・マン24時間レース最多勝記録を持つポルシェがLMP1-Hに参戦。トヨタのガソリンエンジン、アウディのディーゼル、ポルシェのガソリンターボで三国時代を築いた。開発競争のレベルも非常に高く、トヨタのTS040はエンジンで520馬力、回生システムで480馬力で合計1000馬力という怪力マシンだった。
日本人ドライバーも多く参戦しており、ル・マン24時間のみのケースを除くと中嶋一貴(LMH・LMP1)、小林可夢偉(LMH・LMP1・LMGTE-Pro)、平川亮(LMH)、佐藤琢磨(LMP1)、松田次生(LMP2)、井原慶子(LMP2)、中野信治(LMP2)、山下健太(LMP2)、澤圭太(LMGTE-Am)、山岸大(LMGTE-Am)、国本雄資(LMP1)がスポットやフルで参戦したことがある。
総合優勝は中嶋が2012,2013年富士と2017年シルバーストン、可夢偉が2016年富士で達成している。またクラス優勝は中野信治が2012年富士、松田次生が2014年のCOTA、澤圭太が2017年のシルバーストンで記録。井原はWECでは欧州人含め初の女性ドライバーとなり、2014年にはアジア人女性としてル・マン24時間レース初完走を果たした。また同年富士では女性で初めてWECでクラス3位表彰台に上がっている。
2015年には日産参戦でWECはF1以上に自由な開発競争の場として注目が高まっていくかに思われたが、日産はワークスとも思えぬ醜態を晒して一戦で撤退、翌年アウディもディーゼルの排ガス不正問題の煽りで撤退。ポルシェもフォーミュラEへの参戦に伴い2017年シーズンを持って撤退し、2018年時点のLMP1-Hはトヨタのみになっている。しかし性能調整の甲斐あってか、2018年はプライベーターが5チーム8台(2チームが1台体制)参加し、また2度のF1チャンピオンに輝いた経歴を持つフェルナンド・アロンソがトヨタからF1と掛け持ちで参戦するなど、話題性は確保しているものと思われる。(アロンソ参戦に際してF1アメリカGPと日程が被っていたWEC富士ラウンドの日程が前倒しになったが、これにより他のドライバーが煽りを食らっているが…)
一方LMGTE-Proクラスは2012年から参戦のフェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンに加えて2016年にフォード、2018年にBMWの参戦が決定するなど隆盛の兆しを見せている。
2021年からはLMP1に代わる最上位クラス「ル・マン・ハイパーカー」(LMH)を導入した。
2023年からIMSAにて「ル・マン・デイトナ・h」(LMDh)を導入。これに伴いLMH車両のIMSA参戦とLMDh車両のWEC参戦が可能になる。
LMGTEに関しては2022年をもってプロクラスを終了、2023年をもってアマクラスを終了し、2024年からGT3に移行する。
同様の車両規格を用いるシリーズに、ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)、AsLMS(アジアン・ル・マン・シリーズ)、USCC(ユナイテッド・スポーツカー・チャンピオンシップ)がある。ただし全てのクラスがWECと同じではなく、LMP2やLMGTEより安価なLMP3やGT3マシンのクラスがある。またELMSからはGT3ル・マンカップ、AsLMSからはアジアン・ル・マンスプリントカップのような派生カテゴリも続々誕生している。
アメリカのIMSAが主催するUSCCは、ALMSとグランダム・シリーズが合併して2014年に誕生したシリーズ。2016年に米国の自動車アクセサリーメーカーをタイトルスポンサーに迎え「ウェザーテック・スポーツカー選手権」と改称し、現在に至る。デイトナ24時間レースやセブリング12時間といった伝統のレースを擁しており、参戦台数の規模はWECを凌ぐ。出自的にもELMSやAsLMSとは大きく異なっており、WECに迫る格を持ったシリーズと言える。
2017年からはACOの提携により、LMP2のシャーシにメーカーが市販車の意匠を取り入れた空力パーツと、市販車のエンジンを搭載できるDPi(デイトナプロト・インターナショナル)という新規格が誕生した。これによりUSCCはDPiで日産、マツダ、加えてGT3でアキュラとレクサスが参戦することになり、欧州からもWEC、インディカー、フォーミュラEのドライバーも多数参戦したことでにわかに注目が高まった。このためJスポーツではデイトナ24時間を日本語実況付きで生中継した。
Rd | Date | Circuit | Time |
---|---|---|---|
- | 03/13-14 | セブリンク(米国)(中止) | ※テスト |
- | 03/19 | 1,000マイル | |
- | 03/30-31 | ポルティマオ(ポルトガル)(6月に延期) | ※テスト |
- | 04/04 | 8時間 | |
- | 04/26-27 | スパ・フランコルシャン(ベルギー) | ※テスト |
1 | 05/01 | 6時間 | |
- | 06/12-13 | ル・マン24時間レース(8月に延期) | |
2 | 06/13 | ポルティマオ(ポルトガル) | 8時間 |
3 | 07/18 | モンツァ(イタリア) | 6時間 |
4 | 08/21-22 | ル・マン24時間レース | |
- | 09/26 | 富士スピードウェイ(日本)(中止) | 6時間 |
5 | 10/30 | バーレーン | 6時間 |
6 | 11/20 11/6 | バーレーン | 8時間 |
掲示板
62 ななしのよっしん
2021/04/27(火) 02:50:01 ID: w1Krg/3Jrt
テスト一日目で言うのも早計かもしれんけど、LMHの調整これでよかったと思ってるのかFIAは。
遅くしたLMP2にも食われてんじゃねぇか。
63 ななしのよっしん
2021/04/28(水) 01:11:36 ID: w1Krg/3Jrt
結局プロローグの全体テストはLMP2
もし本戦でこの勢力図が変動しなかったらLMDh(LMP2がベースになる)にしないとこうなるというプジョー・フェラーリへの恫喝の材料にトヨタとアルピーヌを利用したのかと疑われても文句は言えんぞ。
どうせ単に調整がガバガバなだけなんだろうが。
64 ななしのよっしん
2022/03/19(土) 09:57:52 ID: w1Krg/3Jrt
三連レスになってしまって失礼
ロペスのクソみたいな凡ミスが主原因とはいえ、ついに過剰なBOPが大クラッシュを誘発させたかと頭を抱えてる。
海外の人も何人か「今回のBOPはおかしい」と言ってるし、昨年に至ってはアルバカーキにも言われてたのにこのザマ。
昨年トヨタに全勝されたからって自棄になってない?
そんな中でも8号車は結果的には2位でよくやった方だよ。
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最終更新:2023/05/31(水) 10:00
最終更新:2023/05/31(水) 10:00
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