巨神兵(きょしんへい)とは、スタジオジブリの宮崎駿監督の映画作品『風の谷のナウシカ』、および宮崎駿の同名原作漫画に登場する架空の巨人型人工生命体である。
なお、以降の記述は、映画版と明記してある記述以外は基本的に原作版に基づいた記述である。
伝承にある最終戦争「火の七日間」において世界を焼き尽くした巨人型人工生命体。全ては既に化石化していると考えられていたが、ペジテ市の地下にて一体の骨格が発見された。映画版では一種の繭の状態で発見され、ある程度まで成長している。完全な人工生命体というわけではなく、超硬質セラミック製の内部骨格をもつサイボーグである。
「謎の黒い箱」の中の「秘石」を操作することで、骨格に心臓や筋肉が形成され成長を開始する。この「秘石」は巨神兵の成長や制御のキーのような役割を持っており、ペジテ市の生き残りであるアスベルが持ちだした秘石は最終的にナウシカの手に渡ることになる。
歯の部分には「東亜工廠」と読める商標ラベルがあり、恐らく旧世界の巨大産業文明である前文明の日系企業によって開発されたものと考えられる。(工廠という名称から企業ではなく国や軍直属の機関という可能性もある。)
なお、実際には巨神兵は兵器ではなく、前文明が自分達では最早手に負えなくなった紛争を解決するために作り出した調停者、裁定者である。
映画版巨神兵の原画は庵野秀明が担当しており、『ふしぎの海のナディア』に登場する最初の地球人アダムや『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するエヴァ及び使途等の巨人がこれに似ているのは、少なからず巨神兵の影響を受けたためと考えられる。
この映画版のクライマックスにおける巨神兵と王蟲の群れとの戦闘における、クシャナの「薙ぎ払え!」に続く一連のセリフや巨神兵のプロトンビームによる圧倒的な破壊力の場面は、シナリオ(演出)、作画、演技のいずれも印象的で様々な媒体や作品でパロディにされている。
ペジテ市の地下で巨神兵の生きた繭が発見され、それを知ったトルメキア軍がペジテを占領、繭を奪取した。しかし本国へ輸送している途中に重量過多により輸送艦が風の谷付近に墜落、クシャナ率いるトルメキア軍部隊は風の谷をも占領し、風の谷にて復活させようと目論む。
物語終盤、ペジテ残党の手によって引き起こされた王蟲の大海嘯を撃退するべく、まだ肉体形成が不十分な状態で戦闘に駆り出された。全身を崩壊させながら発射された陽子砲は、一発目は王蟲を「薙ぎ払え!」するに相応しい威力を発揮したものの、二発目ではすでに瀕死のためほとんど効果を発揮せず、巨神兵は骨を残し、完全に腐り落ちて死んだ。
映画版での巨神兵は、物語のキャラクターというよりは、単なる生体兵器・ストーリー上の大道具といった扱いであった。しかし、クロトワが腐りゆく巨神兵の第一印象を表現した「腐ってやがる。早すぎたんだ」といったセリフや、クシャナの薙ぎ払え!とともに放たれた砲撃が一瞬薙いだあと、凄まじい爆発をおこすシーンなど、印象に残るラスト一歩手前の盛り上がりを演出した。
蘇生させられた巨神兵は秘石を持っていたナウシカを「親」だと認識する。赤ん坊のように善悪の判断はつかず、すぐ暴れ出していたが、ナウシカによって「オーマ」と名付けられると急速に知能を発達させナウシカに従うようになった。「オーマ」はエフタル(風の谷のルーツである古王国)の言葉で「無垢」という意味を持つ。
ナウシカを母として慕い、しばらく行動を共にする内にナウシカもオーマを自身の息子として接するようになった。最終的に大ダメージを受けながらもシュワの墓所の主を破壊し、最期はナウシカに看取られながら命を落とす。
映画版のものとは異なり兵器には本来不要なはずの知性を持っており、自らを「調停者」と名乗ったことから、かつて環境汚染や人口増加で崩壊寸前だった文明の調停者として造られたことが伺える。
上記の能力を含め、全身の力をつかうたびに周囲に「毒」を撒き散らす。放射線かそれに類する有害物質であり、これによってナウシカは苦しみ、キツネリスのテトは命を落としてしまう。
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最終更新:2024/12/04(水) 03:00
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