幌加内町(ほろかないちょう)とは、北海道の上川地方にある町である。雨竜郡に属する。
概要
上川地方北西部に位置する、南北に長い町域を持つ町である。周囲を山に囲まれており、可住地面積は広くない。
町名は、アイヌ語で「逆戻りする川」を意味する言葉“horka-nay(ホロカナイ)”が由来。この「逆戻りする川」とは、町の南部を流れる幌加内川を指したものとされている。
元々は、南に隣接する深川市と同じ空知支庁に属していた。だが、旭川市・名寄市など上川地方とのつながりが深かったことから、2010年に北海道の支庁が振興局に再編された際に、上川総合振興局の管轄に変更となった。
町内の主な地名
- 幌加内(ほろかない)
- 位置的には町の南方にある。幌加内町役場や公民館など、町の主要施設が集まる中枢。町内唯一のスーパー・Aコープがあるので日用品の買い物はできるが、コンビニはセブンイレブンやローソンはもちろんのこと、セイコーマートすら存在しない。また町内のガソリンスタンドはこの幌加内地区にある出光昭和シェルと、すぐ南の平和地区にあるホクレンしかないので、車で幌加内町内を縦断する場合は残り燃料に気を付けよう。
かつてJR深名線の幌加内駅があった。現在その跡地には、線路と駅名標が残されている。
- 朱鞠内(しゅまりない)
- 町の北方、朱鞠内湖の南西あたりの地域。幌加内町役場朱鞠内支所がある。
こちらもかつてJR深名線の朱鞠内駅があり、廃止後の跡地に線路と駅名標が残されている。
地名の由来は諸説あるが、アイヌ語で「キツネ・川」を意味する“sumari-nay(スマリナイ)”とする説が有力。
- 母子里(もしり)
- 町の北方、朱鞠内湖の北東あたりの地域。後述の最低気温を記録したのはこの地域で、それを記念した母子里クリスタルパークという公園がある。
地名の由来はアイヌ語で「島がある川」を意味する“mosir-un-nay(モシリウンナイ)”からとされる。命名当時、付近に川中島があったためこう呼ばれるようになったそうだが、現在それらしき島を見ることはできない。
- 政和(せいわ)
- 幌加内地区と朱鞠内地区の中間あたりにある。せいわ温泉ルオントや、道の駅がある。なお、地名はアイヌ語由来ではない。
幌加内の日本一
実はこの幌加内、良いところも悪いところも含め、複数の日本一を有する町である。
- 最低気温日本一
- 幌加内町の属する上川地方一帯は、十勝・陸別町などと並び冬の寒さが厳しいことで知られる。気象庁の公式記録では、1902年に旭川で観測された-41.0℃が日本の最寒記録とされているが、その76年後となる1978年2月17日、非公式ながらこれを下回る-41.2℃という記録を幌加内町母子里地区で観測しており、日本最寒記録の町としてアピールしている。隣の美深町は-41.5℃を記録したと言っていますが。
この最低気温を記録した2月17日は「天使の囁き記念日」として、日本記念日協会に認定されている。冬の厳寒は現在も変わらず、時折朱鞠内地区などの様子がニュースで流れることがあるほど。
寒さだけでなく積雪量も凄まじく、1982年3月10日には朱鞠内地区で最深積雪311cm、2018年2月25日には幌加内地区で最新積雪324cmを観測している。特に幌加内地区で観測した324cmは、気象庁の公式記録では北海道での観測史上1位の値である。
- ソバの作付面積日本一
- 北海道は生産量・作付面積ともに日本一のソバ処で、旭川・江丹別や深川、新得、音威子府などが著名な産地だが、なかでも幌加内は作付面積が3,520haであり市町村単位で日本一である。
幌加内が日本一のソバ処に成長するきっかけとなったのは、1970年代の米の減反政策。米の代替作物としてソバを植えてみたところ、寒暖差の大きさなど気候条件がソバ産地として適していることもあって大ハマりしたのだとか。
- 町内の平坦な地形の大部分はソバ畑として利用されており、夏になればソバの花が咲き一面純白の世界が広がる絶景が見られる。町としてもこれを観光資源として利用しない手はなく、ビュースポットを設置したりしている。
- 日本最大の人造湖「朱鞠内湖」
- 朱鞠内湖は雨竜川の水を雨竜第一ダムが堰き止めた結果できた人造湖で、湛水面積は2,373ha。これは人造湖としては日本一の広さである。ちなみに総貯水容量日本一は岐阜県にある徳山湖である。
複雑な形状の湖岸線を描いており、湖畔にはキャンプ場などのレジャースポットがある。冬には結氷した湖でのワカサギ釣りも楽しめる。
- 日本の町における人口密度ワースト1
- 幌加内町は町域面積が約767.04km2(日本の町では上から19番目)と広い割には人口が約1,400人ほどしかおらず、人口密度が非常に低い。推計人口を発表していない福島県双葉郡楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町・浪江町を除いた日本のすべての町の中で人口密度が最も低く、1.83人/km2しかない(2020年4月1日時点)。
- 日本一地価の安い住宅地
- 2005年時点で日本一地価の安い住宅地が、朱鞠内地区にあった。平米単価は驚きの800円。
交通
道路
高速道路は通っていない。最寄りの高速道路ICは場所にもよるが、南部なら深川留萌自動車道の沼田ICや秩父別IC、中部なら道央自動車道の士別剣淵IC、北部なら名寄美深道路の名寄ICなど。
鉄道・バス
町内に鉄道はない。かつて深川市と名寄市とを結ぶJR深名線が幌加内町を経由していたが、1995年9月4日廃止。その後ほぼ同様の経路をジェイ・アール北海道バスによる路線バスが引き継いでいる。
深名線廃止後もいくつかの遺構が残されている他、幌加内地区にある幌加内交流プラザ内にはJR深名線資料室が設けられており、当時使用されていた駅名標や時刻表、運賃表など貴重な品々が展示されている。
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関連項目