青林堂とは、日本の出版社である。正式名称は「株式会社青林堂」。
貸本漫画が衰退期に差し掛かっていた1962年、活躍の場を奪われつつある貸本漫画家たちに自由な発表の場を与えたいと考えた漫画編集者・長井勝一によって設立された。当初は貸本漫画や白土三平の単行本を出版していたが、白土が大作「カムイ伝」を執筆することになったため、連載先として「月刊漫画ガロ」(ガロ)を創刊する。
ガロは無名の新人漫画家の作品や前衛的で難解な作品であっても積極的に掲載する独特の編集方針で話題を集め、水木しげるを筆頭に池上遼一・内田春菊・蛭子能収・久住昌之・つげ義春・みうらじゅん・ねこぢる・福満しげゆきなど、多数の異才・鬼才を発掘し、世に送り出した伝説の漫画雑誌として知られるようになった。
尤もこうした編集方針が災いしてか経営状態は次第に悪化。1990年にソフトメーカー「ツァイト」の関連会社となったのを機に編集・営業分離など社内体制を構築し、『月刊漫画ガロ』の誌面をサブカル路線に方向転換し、業績改善に成功する。
しかし創業者の長井の死去後、デジタル推進派と守旧派(反山中体制派)で社内対立が激化しており、1997年の「デジタルガロ」失敗とWindows95以後のアメリカとのソフト開発競争に負けていたツァイトの業績悪化による社長の山中潤の体調悪化と外部の人材を引き入れたことが引き金となり、編集部の原稿持ち去り事件&一斉退職に加えマスコミへの声明発表による風評被害などお家騒動による編集陣・執筆陣の喪失で致命的なダメージを受け、ガロも休刊に追い込まれた。なお、その当時の青林堂自体の経営は良好でありツァイトと資本も切り離されていたことから倒産する状態ではなかったとされる。
その後は編集長を外部から招聘しガロ復刊を目指したが休刊前より書籍・雑誌取次会社との取引条件が厳しくなったことで、数号刊行した後に失敗に終わる。ねこぢるのソフト化など青林堂と縁があった大和堂の経営者だった蟹江幹彦が青林堂を買収し、2012年に再度のガロ復刊を果たすが途中で長井社長時代からガロに携わっていた元副編集長の白取千夏雄を編集から排除したことで、長井カラーは消えたことになる。
2014年に刊行されたガロ50周年記念誌にも歴代のガロ編集者が誰も執筆していないことから頓珍漢な内容も含まれてしまっているという。
また過去の名作漫画のオンデマンド出版を始めたものの、こちらも00年代半ばには新作の供給が途絶えた。2009年から定期刊行を始めたアダルト漫画雑誌「ぷるるんMAX」も2011年3月に休刊となり、漫画界の第一線から完全に姿を消すことになった。
2010年代半ばに入ってからは隔月誌「ジャパニズム」を始め右派の書籍を相次いで出版している。
お家騒動時に青林堂を離れた編集者らが設立した「青林工藝舎」が、ガロのカラーを引き継いだ漫画雑誌「アックス」を隔月で刊行しており、ガロ時代の青林堂の気風を現在に伝えている。
なお、青林堂は「ヘイト出版社」の一つとして一部の団体から目の敵にされている。
2021年5月現在は、「ジャパニズム」も休刊し、刊行書籍が右派系書籍からスピリチュアル系中心となっている。
関連項目(ガロ時代) |
関連項目(ガロ休刊以後) |
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最終更新:2025/12/10(水) 22:00
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