アブクマポーロとは、日本の元競走馬・種牡馬である。
南関東のエースとして岩手のメイセイオペラや中央のバトルライン、エムアイブランらと対峙し激戦を繰り広げた。
父はマチカネフクキタルやディアドクターを輩出したクリスタルグリッターズ、母はバンシユーウエー、母の父ペールという血統。
父はともかく、母は地味そのもの。なんせ母の父は人気のパーソロンの代用として輸入された全弟、母系も遡っても地味といいところはあんまりない。
そんな馬でも活躍するんだから競馬は面白いのであるが。
デビューは遅れに遅れ、1995年の5月になった。遅れに遅れたと言ったとおり、彼の同期である馬はジェニュインやマヤノトップガンであり、
彼らがすでに活躍している頃にようやくデビューとなったのである。とりあえずデビュー戦を圧勝。その後は掲示板は外さない程度に勝ち負けを繰り返し、4歳(以下、旧馬齢表記)時は10月までに8戦して3勝。
その後ゆっくり休養となり、5歳の6月に復帰し復帰戦を快勝すると当時開業したばかりの出川厩舎へ転厩。これが、彼の伝説の始まりとなる。
転厩後勝利を重ね始め、年をまたいで5連勝。重賞の大井記念も軽量ながら勝ち切り6連勝。帝王賞へ向かうが、
当時の南関東のエース格コンサートボーイとの叩き合いにクビ差敗れて連勝は止まった。しかし中央勢は負かしており、新たな大物と話題になった。
その後一戦挟んで中央のオールカマーに臨むがメジロドーベルに敗れ8着、しかしその次走でコンサートボーイ相手に圧勝。
中央再挑戦として中京のダート重賞東海ウインターステークスに参戦。追い込む形になったがここも勝利。
意気揚々と東京大賞典に臨むが当時はまだ距離が2800mとステイヤーが強いレースであり、中央のトーヨーシアトル、キョウトシチーに敗れ3着。
しかしながら翌年はもう止まらない。川崎記念・ダイオライト記念・マイルグランプリ・かしわ記念を圧勝。
帝王賞でも川崎記念の借りを返すべく岩手からやってきたメイセイオペラ、北関東のブライアンズロマン、中央のバトルラインらを打ち破り王座に君臨。
秋もNTV盃を圧勝すると一路岩手のマイルチャンピオンシップ南部杯へ向かうが、地元のエースとしてメイセイオペラもプライドをかけて挑みかかり、その前に3着に敗れる。
一説によると北へ向かった馬運車とオーロパークの広々とした風景を見て放牧と勘違いしたため気が抜けていたとも言われるが定かではない。
しかし大井に帰るとグランドチャンピオンを圧勝。2000mに短縮された東京大賞典でもメイセイオペラやコンサートボーイを問題にせず。
もはや凄まじいの一語である。ホクトベガの後に絶対王者はなかなか生まれなかったが、彼がその座に就いたと皆が思った。
8歳になっても進化は止まらず川崎記念を圧勝。ちなみにライバルのメイセイオペラはここではなく、
得意条件のマイルのGⅠフェブラリーステークスへ向かい地方馬のまま中央GⅠを制覇する大快挙を成し遂げたが
川崎記念選ばないとはメイセイオペラは逃げ出したな!という声も一部であったとか。逆にアブクマがメイセイや中央競馬に怖気付いたという声もあった。
なんにせよ、この二頭がダート戦線の絶対エースであり、当時中央勢はいいとこ添え物にしかなれない空気だったのである。
ドバイワールドカップに行ってくれ!という声も聞こえ始めたが、当時は地方馬にドバイへ行くための蓄積もないし無茶な話であった。ホクトベガの死も影を落としてたし。
そして予定通りダイオライト記念へ向かい快勝。メイセイオペラらとの名勝負数え歌が期待されたが…厩舎で脚を引っ掛けて捻挫。放牧となってしまう。
これで何かが切れてしまったのか、帰厩するが復帰は出来ず引退。種牡馬入りした。
しかしながら種牡馬としては失敗で、現在は乗馬クラブで乗馬として、GⅠ馬の背中を素人に伝える余生を送っている。
通算32戦23勝。当時としてはかなり高齢ではあったが、年をとっても衰えるどころか強くなり続けていた印象すらあったので、早い引退であると言いたくなってしまう。もったいない。
交流元年、地方から殴りこんでインパクトを与えたのはライデンリーダーであったが、その後ホクトベガを筆頭とした連中による10倍返しが行われ
やっぱり地方はダメなのか…と思わせた中の彼やメイセイオペラの台頭であった。これは地方のホースマンに夢を与えたことであろう。
…例えそれが、うたかたの夢だったとしても。アブクマが去りメイセイが衰えると中央勢が再び優越し、彼らが築いた優勢はあっけなく消えた。
クロフネやトゥザヴィクトリー、アグネスデジタルらのオールラウンダーの活躍でダートの価値が上がりつつあり、
地方競馬自体が苦境で金をかけられない昨今は、地方勢は再び苦しくなりつつある。
しかしそんな中でも、南関東からは中央馬に負けない大将の系譜は今でも続いており、アジュディミツオーやフリオーソが
カネヒキリやヴァーミリアン、サクセスブロッケン!!!!!!やスマートファルコン師匠、トランセンドらと激戦を繰り広げた。
彼の魂みたいなものは、まだしぶとく息づいているのである。
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最終更新:2024/05/03(金) 13:00
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