西鉄バスグループとは、西日本鉄道グループが運営しているバスグループの総称である。
ここでは、「西鉄」のワードが入ったグループバス会社のみ取り扱う。
概要
西日本鉄道は自動車営業本部(とグループ企業)によりバス事業も行なっており、福岡県内のほぼ全域および佐賀県東部にバス路線網を展開している。保有台数は約2800台(グループ会社含め)と日本一の保有台数を誇る。また、嘗ては傘下に日産ディーゼル工業株式会社(現:UDトラックス株式会社)を統一した西日本車体工業を擁していた(詳細は後述)。
ノンステップバスが殆どない事でも有名(その保有率は2013年3月時点で2.5%。一応西工で作っていた時代には数台ノンステップバスがあったが、車高を下げる機構でコストが掛かりすぎるので導入していなかった)であったが、国・福岡市と西鉄の費用分担で順次ノンステップバスを導入する方針を打ち出し、2020年3月現在までにグループ全体で500台以上が導入された。
路線バスと言えば白い車体に赤いライン「赤バス」が特徴的であったが、2008年以降の新車に採用された新塗装「SMART LOOP」に順次塗り替えられている。また、行先表示のLED化がほぼ完了している。
西鉄バスといえば、台数にモノを言わせたバスラッシュである。特に福岡天神・博多駅周辺は西鉄の路線バスが溢れ返っており(因みにこのエリアだけで1日9000便)、福岡の代名詞として有名である。勿論これに伴う渋滞も日常茶飯事、休日ともなれば延着もお約束なので注意が必要。PayPayドームでホークスの試合がある場合や、マリンメッセ福岡でコンサートがある際などには直行バスも運行されている(特にPayPayドームで試合が行われる日には10~20台以上の臨時バスが集結する凄まじい光景を目にする事ができる)。
また、福岡市街では福岡都市高速を経由する一般路線バスが多数運行されており、博多駅〜九州大学伊都キャンパスの路線[K]に至っては一部の系統が1区間だけだが西九州自動車道(福岡前原道路)を走行する。もちろん、60km/h[1]で走っているとはいえETCがついている以外は普通の路線バスなので、座席にシートベルトなどは取り付けられておらず、お客さんが多いときは立っての乗車も可能となっている。よそから福岡に来た人にとってはなんともスリリングなバスだが、地元っ子にとってはコレが常識である。
1999年より主要ターミナルを軸として100円バスエリアが設定され、福岡天神・博多駅・キャナルシティ博多・中洲などを経由するキャナルシティラインをはじめ、複数の100円エリアが設定され運行されていた。なおキャナルシティラインは2018年春まで100円循環バスとして運行されていたが、乗務員不足解消のため運行区間が短縮された(これと同時に赤間などに向かう深夜バスも廃止された)。なお、2021年から収支改善のために100円運賃は150円に値上げされた。
高速バスも西鉄天神バスセンターを中心にかなりの数の便を運行しており、こちらは主に西工と三菱車両が多い(最近は日野セレガの導入も進めている)。東京(新宿)-北九州・福岡間を結ぶ夜行バス「はかた号」を運行している事で有名である。なお、観光バス事業も行なっている。
2000年に起きたネオむぎ茶事件とも呼ばれる西鉄バスジャック事件の一件で、上部に黒い車両番号がペイントされるようになった。
2016年8月ごろから「Fukuoka BRT」と名乗る都心循環BRTが運行されている。連節バス13台(スカニア/ボルグレンOPTIMUS7台、メルセデス・ベンツ シターロG6台)を導入し運行中。ちなみに営業所発着の送り込み便では、他でもなかなか見ない連接バスで都市高速道路を経由する便がある。他にも、北九州地区で「Kitakyushu BRT」としてシターロGを10台、福岡空港国内線・国際線連絡バスでは、混雑の解消のためにシターロGを5台導入し、運行している。
...しかし、採算が見合わない路線も多く抱えていて、決して収支状況がいいとは言えない。西鉄のバス部門は1988年からずっと赤字を垂れ流しており、バス部門の赤字を鉄道部門の黒字で穴埋めすることによってどうにか「運輸部門全体は黒字」となっているのが現状である。モータリゼーション化による利用者減、原油価格上昇などが更に追い打ちをかけ、2010年代から大赤字路線の廃止・減便、運転士採用の停止、営業所の再編などを行い、経営の合理化を行うようになっている。また、2019年末から大流行している新型コロナウイルス感染症の影響でバス部門の利用者減少は更に深刻化し、2021年7月には収支改善のために「福岡都心100円エリア」「駅から・駅まで100円バス」の150円への値上げ、一部定期券の価格改定・販売終了などのサービスの改廃を行った。
グループバス会社
現存
- 西日本鉄道自動車事業本部(福岡県福岡市中央区天神1丁目)
- 西鉄観光バス株式会社(福岡県福岡市博多区石城町)
- 西鉄バス北九州株式会社(福岡県北九州市小倉北区砂津1丁目)
- 西鉄バス筑豊株式会社(福岡県飯塚市片島2丁目)
- 西鉄バス宗像株式会社(福岡県宗像市陵厳寺4丁目)
- 西鉄バス二日市株式会社(福岡県大野城市大字牛頸)
- 西鉄バス久留米株式会社(福岡県久留米市御井町)
- 西鉄バス大牟田株式会社(福岡県大牟田市白金町)
- 西鉄バス佐賀株式会社(佐賀県佐賀市駅前中央三丁目)
消滅
- 大阪西鉄観光バス株式会社(大阪府大阪市平野区平野西6-5-34)
1960年に東洋観光バスとして創業。1966年に西鉄が買収し、西鉄バスグループの事実上の「大阪支社」として存在していたが、不景気に伴うリストラ政策に伴い身売り対象となった。2001年に京都府福知山市の「前田観光」が買収。そして本拠地を大阪府東大阪市に移転し、大阪バスとして現存している。 - 西鉄高速バス株式会社(福岡県福岡市中央区那の津3丁目)
2000年に分社化。主に九州内の高速バスを担当していたが、19年に福岡支社が西鉄本体に、北九州支社が西鉄バス北九州に編入した。
営業所一覧
※自動車事業本部・西鉄バス北九州では「自動車営業所」の表記をするが、その他は「支社」表記となる。大半は第二自動車営業所として西鉄本体からの車両も在籍する。基本的に所属記号で判別可。括弧内の文字は車両に4桁の車両番号とともに表示される所属記号。
自動車事業本部
- (博)博多自動車営業所(福岡市博多区博多駅前1-20-26)
- (愛)愛宕浜自動車営業所(福岡市西区愛宕浜3-5027)
- (吉塚)吉塚自動車営業所(福岡市東区馬出1-30-1)
- (も)百道浜自動車営業所(福岡市早良区百道浜2-3-33)
- (壱)壱岐自動車営業所(福岡市西区野方1-22-14)
- (武)金武自動車営業所(福岡市西区室見が丘1-39-1)
- (早)早良自動車営業所(福岡市早良区東入部2-1-5)
- (片)片江自動車営業所(福岡市城南区片江2-9-48)
- (桧)桧原自動車営業所(福岡市南区桧原4-8-1)
- (柏)柏原自動車営業所(福岡市南区柏原6-478)
- (那)那珂川自動車営業所(那珂川市道善5-36)
- (ア)アイランドシティ自動車営業所(福岡市東区香椎照葉5-1-9) ※新宮・香椎浜を統合して2019年3月16日開業。
- (土)土井自動車営業所(福岡市東区多々良1-53-1)
- (宇)宇美自動車営業所(糟屋郡宇美町宇美6-7-1)
- (竹)竹下自動車営業所(福岡市博多区那珂6-20-40) ※2020年3月21日移転開設予定。旧・雑餉隈自動車営業所。
- (空)福岡空港自動車営業所(福岡市博多区上臼井) ※空港内ランプバス専用。所属車両は白ナンバー。
- (高)福岡高速自動車営業所(福岡市中央区那の津3-8-15) ※旧・西鉄高速バス福岡支社。
西鉄バス北九州
- (小)小倉自動車営業所(北九州市小倉北区砂津1-1-2)
- (北高)北九州高速自動車営業所(小倉自動車営業所に同じ) ※旧・西鉄高速バス北九州支社。
- (弥)弥生が丘自動車営業所(北九州市小倉南区貫弥生が丘1-11-1)
- (戸)戸畑自動車営業所(北九州市戸畑区川代2-1-46)
- (幡)八幡自動車営業所(北九州市八幡西区穴生4-11-1)
- (門)門司自動車営業所(北九州市門司区鳴竹2-17-5)
- (恒)恒見自動車営業所(北九州市門司区吉志3-5-1)
- (青)青葉自動車営業所(北九州市小倉北区青葉1-2-32)
- (谷)中谷自動車営業所(北九州市小倉南区高津尾523-1)
- (香月)香月自動車営業所(北九州市八幡西区香月西3-10-1)
- (行)行橋自動車営業所(行橋市中央1-12-41) ※サイトによっては「行橋車庫」表記になっている。
その他第二自動車営業所
- (赤)赤間第二自動車営業所(宗像市陵厳寺4-7-1):西鉄バス宗像
- (飯)飯塚第二自動車営業所(飯塚市片島2-19-1):西鉄バス筑豊・本社
- (田)田川第二自動車営業所(田川市弓削田秋丸233-3):西鉄バス筑豊・田川支社
- (直)直方第二自動車営業所(直方市頓野繩手下3891-1):西鉄バス筑豊・直方支社
- (篠)篠栗第二自動車営業所(糟屋郡篠栗町篠栗庄田3942-1):西鉄バス筑豊・篠栗車庫
- (月)月の浦第二自動車営業所(大野城市牛頸2473-12):西鉄バス二日市・本社
- (原)原第二自動車営業所(筑紫野市原836-1):西鉄バス二日市・原支社 ※「はる」と読む。
- (甘)甘木第二自動車営業所(朝倉市菩提寺540-1):西鉄バス二日市・甘木支社
- (御)御井町第二自動車営業所(久留米市御井町2291-1):西鉄バス久留米・御井町支社
- (京)京町第二自動車営業所(久留米市荘島町315):西鉄バス久留米・京町支社
- (川)大川第二自動車営業所(大川市向島出来島2136-1):西鉄バス久留米・大川支社
- (八)八女第二自動車営業所(八女市馬場川原出345-2):西鉄バス久留米・八女支社
- (吉)吉井第二自動車営業所(うきは市吉井町板橋33):西鉄バス久留米・吉井支社
- (筑)筑後第二自動車営業所(筑後市尾島船小屋191):西鉄バス久留米・筑後車庫
- (牟)大牟田第二自動車営業所(大牟田市白金町63):西鉄バス大牟田
- (佐)佐賀第二自動車営業所(佐賀市駅前中央3-3-10):西鉄バス佐賀・本社
- (鳥)鳥栖第二自動車営業所(鳥栖市元町川原1303-1):西鉄バス佐賀・鳥栖支社
ここでは取り扱わないが、一応西鉄グループのバス会社
- 日田バス株式会社(大分県日田市本町) ※西鉄バス日田第二自動車営業所・杷木第二自動車営業所の担当路線も受託。
- 九州急行バス株式会社(福岡県福岡市博多区博多駅南4丁目)
- 亀の井バス株式会社(大分県別府市大字鶴見) ※西鉄バス亀の井第二自動車営業所の担当ダイヤも受託。
高速バス・空港連絡バス・特急バス・急行バス
※2019年4月現在。【】内に特に記載のないものは西鉄バスグループ単独運行。※の路線には愛称がない。路線名の前に記載されているカッコ内の表示は運行営業所の略称。
福岡県内・下関
- (博・北高)天神・福岡空港-北九州線
- (行)※福岡天神-苅田・行橋
- (直)※福岡天神-直方
- (高・門)ふくふく号 福岡天神-下関【サンデン交通バスと共同運行】
- (北高)福北リムジンバス 福岡天神-博多駅-北九州空港
- (京)※福岡空港-久留米
- (牟)※福岡空港-大牟田・荒尾(三井グリーンランド)
- (牟)※福岡空港-柳川・大牟田
- (小・八・弥)北九州空港エアポートバス
- (赤)赤間急行
- (博・飯・田)筑豊特急
- (直)※特急 小倉(砂津)-直方
- (田)※急行 博多駅-福岡空港-飯塚-田川(後藤寺)
- (直)※急行 黒崎-直方
九州内
- (博・佐)わかくす号 福岡天神-佐賀
- (佐)※福岡空港-佐賀
- (博)※福岡天神・キャナルシティ博多・博多駅-佐賀空港
- (博)※福岡天神-鳥栖プレミアム・アウトレット
- 九州号 博多駅・福岡天神-長崎(一部系統は福岡空港経由)【基本は九州急行バスだが、臨時便に限り長崎県営バスを加えた3社局で運行担当】
- (高・博)させぼ号 博多駅・福岡天神-佐世保・佐々(一部系統は福岡空港経由)【西肥バスと共同運行】
- (高)※博多駅・福岡天神・福岡空港-ハウステンボス【西肥バスと共同運行】
- (博)島原号 博多駅・福岡天神-島原【島鉄バスと共同運行】
- (高)ひのくに号 【九州産交バスと共同運行】
- (高)ASOエクスプレス【九州産交バスと共同運行】 福岡天神・博多駅・福岡空港-阿蘇
- (高・亀)とよのくに号 【大分バス・大分交通・亀の井バスと共同運行】
- (小)ゆのくに号 小倉(砂津)-大分
- (高)ゆふいん号 福岡天神・博多駅・福岡空港-湯布院【亀の井バス・日田バスと共同運行】
- (日)ひた号 博多駅・福岡天神-日田【日田バスと共同運行】
- (高・博)スーパーフェニックス号・フェニックス号 福岡天神・博多駅-宮崎【JR九州バス・九州産交バス・宮崎交通と共同運行】
- (博)ごかせ号 福岡天神・博多駅・福岡空港-高千穂・延岡【宮崎交通と共同運行】
- (高)※夜行 福岡天神・博多駅-延岡・宮崎(上り便は福岡空港経由)【宮崎交通と共同運行】
- (高・博)桜島号 博多駅・福岡天神-鹿児島【JR九州バス・鹿児島交通グループ・南国交通と共同運行】
福岡〜本州方面
全路線博多自動車営業所が運行。
西鉄は運行支援のみを担当する路線
- 出島号 小倉(砂津)-長崎【長崎県営バスが運行】
- ※福岡天神・博多駅・福岡空港-黒川温泉【九州産交バス・日田バスが運行】
- 大山号 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-米子・鳥取【日本交通・日ノ丸自動車が運行】
- 道後エクスプレスふくおか号 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-道後温泉・松山【伊予鉄道・伊予鉄南予バスが運行】
- さぬきエクスプレス福岡号 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-丸亀・高松【四国高速バスが運行】
- ペガサス号 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-倉敷・岡山【両備バス・下津井電鉄バスと共同運行】
かつて運行していた路線
- ※小倉(砂津)-三萩野-引野口-久留米
- 出雲路号 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-松江・出雲【中国JRバス・一畑バスと共同運行】[2]
- Lions Express 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-横浜・東京(池袋)・大宮【西武観光バスと共同運行】
- はりまや号 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-高知【高知県交通・土佐電気鉄道(どちらも現とさでん交通)と共同運行】
- 博多・フジヤマExpress 福岡天神・博多駅・小倉(砂津)-静岡・富士急ハイランド・河口湖【富士急山梨バスと共同運行】
- ぎんなん号 新門司港・小倉(砂津)-熊本【九州産交バスと共同運行、後に九州産交バス単独運行】
など
西日本車体工業
詳しくは当該記事を参照されたし。
関連項目
外部リンク
脚注
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