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アニサキスとは、寄生虫である。
曖昧さ回避
概要
回虫目アニサキス科に属する寄生虫で、海水魚および甲殻類、海生軟体動物の複数の生物種を乗り換えながら成長し、最終宿主となるクジラやアザラシといった海獣の内臓に寄生し成虫になり産卵、産卵された卵は寄生主の排泄物と共に海中に放出され、卵はプランクトンを主食とするオキアミ等の甲殻類に捕食され孵化し循環する。
日本国内では寿司・刺身など魚類の生食による食中毒が度々発生している。
語感が独特なせいか「アニキサス」と間違えて呼ばれることも多く、病院などのサイトにすらこの誤字が複数見受けられるが、「アニサキス」が正しいので注意。兄貴が刺すのではない。
症状
何らかの原因で人間の体内に入り込んだ場合、以下のような症状に見舞われる。
- 急性アニサキス症
人間に寄生すると胃や腸の粘膜に喰らい付き、食後数時間で激しい腹痛と嘔吐を与える。
アニサキスは人間には寄生しないため成虫にならず数日から10日前後で餓死し排出される。ただその間は寄生が続き激痛を与え続ける、時に腹膜炎や腸閉塞を引き起こし重篤化する。 - 即時型アレルギー症
人間に寄生するとアニサキスが持つたんぱく抗原によりアナフィラキシー症状を引き起こす。症状は食後数時間以内に蕁麻疹を起こす、重篤化した場合は呼吸不全や意識消失により死に至るケースもある。
即時型アレルギー症を一度引き起こした場合、死んだアニサキスを摂取してもアレルギー症状が起こる。
治療法
治療法は内視鏡による摘出が一般的だが、寄生箇所によってはプラジカンテルとアミドトリゾ酸の併用による内科治療も試みられる。重篤化の場合は開腹手術による摘出が必要となる。
特効薬はまだ開発されていない。ネット上では正露丸などのクレオソート製剤の服用により症状が緩和したとされる報告が多数上がっているが正式な薬効としては認められておらず、また即時型アレルギー症に対しての効能は無い。
予防法
加熱
身体がタンパク質で出来ている生物の常として、加熱すればアニサキスは死ぬ。
厚生労働省の指針では、60℃以上で1分、70℃以上では瞬時に死ぬため、しっかり加熱しよう。
ただし一度アニサキスアレルギー症を引き起こした方で、アレルギーの原因となったたんぱく抗原が加熱変性を起こさない種類であった場合、加熱してもアレルギーを引き起こす。
冷凍
厚生労働省の指針により-20℃以下で24時間以上冷凍すればアニサキスは死ぬ。
ただし一度アニサキスアレルギー症を引き起こした方は冷凍してもアレルギーを引き起こす。
確実ではないがリスクを下げる方法
どうしても純生の状態で美味しく食べたい時は、確実ではないが以下の方法で除去する。
ただし雄山は認めてくれない。
- しっかり目視する
アニサキスは絶対にいるものだと思い、しっかり目視してアニサキスの除去に務めよう。
アニサキスに反応するブラックライトを使用するのも効果的である。
- 薄切りにする
包丁で薄切りにする事でアニサキスの体に傷を与えて死なせる。また目視による発見もしやすくなる。
間違った対処法
以下のような行為はアニサキス対策としては効果が無い。
- 酢で締める
アニサキスはクジラの胃酸の中でも生きられる耐酸性の強い寄生虫である。酢程度ではどうにもならない。
〆鯖を作る時は冷凍も一緒にしよう。
- 塩で締める
- ワサビたっぷり
ワサビには抗菌作用があるが、アニサキスは細菌ではなく寄生虫である。
- しっかり噛む
そもそも他の生物にガッツリ食べられて循環する生態であり、噛む程度では傷を与えられない。
前述の通り包丁などの鋭い刃物で傷つけるのは比較的有効となる。
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関連項目
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