『スター・ウォーズ ハイ・リパブリック イントゥ・ザ・ダーク』(Star Wars The High Republic: Into the Dark)とは、『スター・ウォーズ』サーガの小説である。
「カノン」作品群に属する。単巻。著者はクラウディア・グレイ。
なお、当記事における人名・役職名など固有名詞の日本語表記は、原則的に本書邦訳に基づく。
概要
映画本編たるスカイウォーカー・サーガから200年を遡り、銀河共和国とジェダイ騎士団の黄金期を描くメディアミックス・プロジェクト「ハイ・リパブリック」の一環をなすヤングアダルト小説。「ハイ・リパブリック」第一期にあたる“フェーズ1「ジェダイの光」”のウェーブ1(第一波)を構成する。
時系列上では同じくフェーズ1・ウェーブ1にあたる大人向け小説『ジェダイの光』とほぼ同期し、学究肌の若きパダワン、リース・サイラスの冒険、そして銀河に広がろうとする闇との遭遇を描く。
著者はカノン小説『ブラッドライン』や『The Lost Stars』のクラウディア・グレイで、原著は2021年刊行。邦訳は2023年3月、Gakkenより四六判上下巻構成での刊行となった。訳は稲村広香、表紙・キャラクター紹介などのイラストは5ヘルスによる。
ストーリー
ときは銀河共和国の繁栄華やかなりし時代。開拓の進む辺境に共和国が建設した巨大な宇宙ステーション、<スターライト・ビーコン>の稼働が迫るなか、書物と歴史を好む若きジェダイ・パダワン、リース・サイラスは、不本意にも師ジョラ・マリから<ビーコン>への派遣任務を告げられる。
先に<ビーコン>へ発った師を追い、リースは同様に辺境へ向かうジェダイの仲間とともに、少女アフィー・ホロウが副操縦士を務める古い輸送船〈船〉に乗り込んだ。しかしハイパースペースを航行中、突如として〈船〉は宇宙船の無数の破片に遭遇し、リアル・スペースへの緊急再突入を余儀なくされる。それは、後にハイパースペース大災害と呼ばれる歴史的惨事の一端だった。
辿り着いた先はいずことも知れぬ星系。同じように流れ着いた何隻もの宇宙船とともに、〈船〉は当座の避難所として、打ち捨てられた古い宇宙ステーションに接続する。だが古代の戦士族アマクシンの遺跡らしいステーションの奥底からは、渦巻く暗黒面の力が感じられた……。
銀河共和国とジェダイ騎士団
惑星コルサントを中心とする銀河共和国は、後にハイ・リパブリック時代と呼ばれる黄金期のなかにある。急速に広がりつつある銀河の辺境“開拓の地”にはいまだ共和国に加わらない独立独歩の惑星も多いが、共和国は銀河のコアと辺境とのハイパースペース移動を容易にする大宇宙の灯台、輝ける<スターライト・ビーコン>を建造し、共和国に加わり続ける新たな宙域を結束させようとしている。
ジェダイ騎士団は、全銀河の平和と正義の守護者として奉仕するフォースの使い手たちである。共和国に協力する彼らジェダイもやはり黄金期にあり、銀河の平和に明確に挑戦するような者たちを除けば、共和国の市民で彼らを英雄的存在とみなさない者はほとんどいない。彼らは全銀河で人々の平和と安寧のために活躍しているが、フォースの神秘を解き明かそうとする思索者という性質もいまだ色濃い。
スカイウォーカー・サーガより200年前の時期ではあるが、すでに長老として幼いジェダイ訓練生の教育にあたっているヨーダをはじめ、ヤドル、ヤレアル・プーフなどといった銀河共和国末期まで活躍するジェダイの姿も垣間見える。
登場人物
ジェダイ騎士団
- リース・サイラス Reath Silas
- 人間・男性。焦げ茶色の髪を持つ17歳の若きパダワン。本作の主人公。
惜しまぬ努力で才能を凌駕する秀才だが、学究肌で野外活動を好まず、物語や歴史に没頭しがちな読書家。文明の中心コルサントから遠く離れる<ビーコン>への任務には気乗りできずにいる。 - ジョラ・マリ Jora Malli
- トグルータ・女性。ジェダイ・マスター。リースの師。
リースの性質を理解し高く評価しつつも、ジェダイ聖堂を離れる<ビーコン>への任務は彼のために重要だと考えている。辺境行きを渋る弟子に意味深な問いを残し、彼に時間を与えて先に旅立つ。 - デズ・ライダン Dez Rydan
- 人間・男性。ジェダイ・ナイト。ジョラのかつての弟子で、弟弟子リースとも親しい。
ハンサムで文武に長ける、優秀で積極的なジェダイ騎士で、リースとは正反対に活発で冒険を好む気質。騎士となってからは辺境で活躍し、若いパダワンから人気がある。 - コーマック・ヴァイタス Cohmac Vitus
- 人間・男性。ジェダイ・ナイト。平均的な身長の割に圧倒的な存在感がある。
学者と名高く、民俗学をはじめ各方面に通じた、理性と論理を重んじる神秘主義者。フォースの技に熟達している。常に落ち着いているが、パダワン時代のある出来事が心のなかにわだかまっている。 - オーラ・ジャレニ Orla Jareni
- アンバラン・女性。全般角ばった印象の強いジェダイ・ナイト。コーマックとは旧友。
ジェダイ評議会の指示を受けず単独で活動してフォースのより深い理解へと至る存在である“ウェイシーカー”を志す、クールだがユニークな人物。ダブル・ブレードのライトセーバーを扱う。
〈船〉
- アフィー・ホロウ Affie Hollow
- 人間・女性。パイン・ギルドに所属する輸送船〈船〉の副操縦士。
勝気で機転の効く、日焼けした肌の少女。宇宙航行を学ぶなかで〈船〉を気に入り、その副操縦士を務める。ギルド所属の操縦士だった両親が事故死して以来、ギルドの長スカヴァーを母と慕っている。 - レオックス・ギャシー Leox Gyasi
- 人間・男性。〈船〉の機長である若い宇宙船乗り。船を「船(ヴェスル)」と名付けた当人。
格好はいい加減で脱法的なスパイスをキメているが、腕は確か。奇矯な第一印象からは意外なほど思慮と落ち着きがあり、神秘的な物事も理解する。まだ若いアフィーを尊重しながら見守っている。 - ジオード Geode
- ヴィンティアン・男性。〈船〉の航海士。(どこか印象的な)岩そのものな見た目の種族の出。
どうやら意思疎通は可能らしいが、風貌は口どころか顔の場所すらわからない。むろん表情も読み取れない謎の航海士だが、頼りになる存在。なお「ジオード」は呼び名で、本名は発音不可能。
“開拓の地”の人々
- スカヴァー・バイン Scover Byne
- ビヴォール・女性。バイン・ギルドを指揮する管理者であり、アフィーの養母。
開拓の地に勢力を広げる輸送ギルドのトップであり、アフィーを将来の後継者として目を掛けている。ビヴォールの性質上、冷静さを崩すことはめったになく、淡々としてはいるが物腰は穏やか。 - ナン Nan
- 人間・女性。継ぎ接ぎの宇宙船でステーションに辿り着いた、青い筋の入った黒髪を持つ少女。
純朴げで好奇心と活気に富み、存在しか知らなかったジェダイに強い興味を抱きリースと親しくなる。両親をなくしており、保護者であるザブラクのヘイグと共に旅している。
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関連項目
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