フィリップ島とは、オーストラリア南東の大都市メルボルンの郊外にある小さな島である。
フェアリーペンギンのペンギンパレードや、10月に開催されるMotoGPで有名。
フィリップ島の位置と地形
オーストラリア南東の大都市メルボルンの市街地から直線距離で80km離れたところに位置する。
東京駅と千葉県館山市(房総半島の先端)の直線距離が77kmなので、それと同じぐらい。
フィリップ島はこぢんまりとした島で、縦13km・横20kmの四角形に収まる。
フィリップ島の北海岸はCowesという地名で住宅地が並んでいるが、南海岸には住宅がほとんど無い。
バス海峡から吹き付ける強風で雲が運ばれやすく、天候が変わりやすい。
フィリップ島からバス海峡をはさみ、南へ240km離れた場所にタスマニア島が浮かんでいる。
ペンギンパレード
フィリップ島にはフェアリーペンギンが生息しており、夜になるとサマーランド湾の巣に帰ってくる。
群れをなして行進する姿が究極に可愛らしく、多くの観光客を集めている。
観光客が座るためのスタンドまで完備している。
Youtubeで「Phillip Island Penguin Parade」で検索すると動画がヒットする。動画1、動画2
日が暮れてからフェアリーペンギンが来るのを待つ。
風が強いので体感温度もグッと下がる。フェアリーペンギンを待つときも寒くてしょうがない。
真夏でも防寒具をしっかり持ち込む必要がある。
あまりに寒いので観覧スタンドの下を掘りこみ、ガラス張りの「地下観覧席」を作った。定員70名。
これなら寒くない。また、フェアリーペンギンの目線で眺めることができる。
フェアリーペンギンは体長30cm程度で小さいのでカモメなどの天敵が多い。
砂浜の近くに天敵がいないのを確認してから、彼らなりに猛ダッシュして巣に帰る。
フェアリーペンギンは鳴くことがあり、たまに聞くことが出来る。
Seal Rocksのアザラシ
フィリップ島の西端から2km離れたSeal Rocksという小さな島には、アザラシ(seal)が生息している。
アザラシが大量にいる。 1万~2万頭生息していると解説されている。
フィリップ島北部の街CowesからSeal Rocks向けのクルーズ船が出ている。
フィリップ島最西端のノビーズ岬にガラス張りの建物があり、
そこから双眼鏡で眺めるとアザラシが見える。この画像の左にガラス張りの建物が見える。
コアラ
コアラ保護センターではコアラが野生に近い形で保護されている。
コアラを間近で目撃できる。コアラは夜行性なので昼は木の上で爆睡していることが多い。
たまに目を覚まして、ユーカリの葉をもぐもぐ食べている。
あまり数が多くない。「頑張って探したけど10匹程度しか見つかりませんでした」という感想もある。
カンガルーとエミュー
ワイルドライフパークには、雑多な動物がいる。
特に目立つのがカンガルー(ワラビー、ワラルー)で、池で水をごくごく飲んでいる。
カンガルー、ワラビー、ワラルーはほぼ同一の種で、同じように見える。
また、エミューもいる。
カンガルーやエミューに観光客が餌をあげることは許可されている。
カモメ
フィリップ島にはカモメが生息していて、真っ白いカモメたちが大量に飛来してくる。
フィリップ島南岸のフィリップアイランドサーキットで行われるレース中にもお構いなしにやってきて、
走行中の車両やライダーに衝突することがある。
2015年のMotoGP決勝中にはバードストライクが発生し、マシンの先端部分にヒビが入った。
2010年にはライダーのヘルメットの横をかすめている。
走行中にカモメが当たったライダーは、メチャクチャ怖いと語っている。
ピラミッドロック
フィリップ島は火山性の玄武岩が多く、海岸の岩が黒っぽい。
特に南海岸には黒い岩が多く見られる。このページの左の写真欄をクリックすると、黒い岩が見える。
この場所は特に「Forests Caves(森林のような洞窟)」と名付けられ、黒い岩でできた洞窟が並ぶ。
この動画でも南岸の岩石群が解説されている。右下をクリックすると英語字幕が出る。
こうした黒い玄武岩の中でひときわ目立つのが、この位置にあるピラミッドロックである。
波で浸食されて偶然ピラミッドの形になったのでこの名が付いた。
南海岸の砂浜でサーフィン
フィリップ島の南海岸には岩石だけでなく砂浜もある。
南のバス海峡からフィリップ島へ吹き付ける風は非常に強いので、波も白くて大きい。
このため、サーフィンをするのに最適の砂浜になっている。
特に人気があるのがスミスズ・ビーチで、夏はなかなかの人出になる。
チャーチル島で19世紀の農場暮らしを体験
フィリップ島の東には、チャーチル島という小さな島があり、フィリップ島と橋でつながっている。
ここには「Heritage Farm(伝統的な農場)」があり、19世紀の農場を再現している。
牛や羊が放し飼いされている。羊の毛が生えそろったら羊毛を刈る体験をさせてもらえる。
牛の蹄鉄をわざわざ手作りすることや、牛の乳搾りも体験できる。
昔は長いムチで牛や羊を追って管理していた。そのムチ捌きも見学できる。
漁村サン・レモでペリカンの餌付け
フィリップ島最東端の対岸にある村はサン・レモという。
この村は昔サメ漁で栄えたところで、現在でも漁業を行っている。
San Remo Fisherman's Co-opというFacebookのページがあり、漁村であることがわかる。
ここでは毎日11時30分頃にペリカンの餌付けを行っている。
その時刻になるとペリカンがやってきて、漁村の人たちが上手に魚を与えて餌付けする。
ペリカンは結構荒っぽいので、観光客が餌付けすることはできない。
フィリップ島から少し離れているのでちょっとツアーに組み込みづらい。
そのため日本人旅行者の体験記がやや少ない。
しかしながら観光客は結構多くやってきていて、毎日人だかりができる。
Youtubeで「San Remo pelican」と検索すると動画がヒットする。動画1、動画2
二輪レースの聖地 フィリップアイランドサーキット
フィリップ島南海岸にはフィリップアイランドサーキットがあり、
二輪レースの最高峰であるMotoGPが毎年10月に開催される。
大勢の観客が押し寄せて、大きな盛り上がりを見せる。
詳しくは、フィリップアイランドサーキットの記事を参照してください。
フィリップ島の豆知識
フィリップ島とオーストラリア大陸を結ぶ橋はたった1ヶ所しかない。
橋が開通したのは1969年で、そのときの橋は貧弱だったので6トン以下の車しか通れなかった。
6トンのバスというとかなり小さい。
日本の修学旅行で使うような50人ぐらい乗れる観光バスは10トン。
10トンバスは通れないのでフィリップ島の前で客を降ろしていた。
現在はコンクリート製のガッチリした橋が架かっているので大型バスも通ることができる。
フィリップ島北部の街Cowesは単なる田舎町ではなく、メルボルンの富裕層の別荘地である。
夏の休暇の頃には富裕層が長期滞在する。このため腕のよいレストランもいくつかある。
フィリップ島最東端の対岸にある街はサン・レモという。
イタリア風の名前だが、イタリア西部の海沿いの街サン・レモから名前を拝借した。
ペンギンパレード見学の際には写真撮影が禁止されている。
ついうっかりフラッシュを焚いて撮影する者が一定の割合で発生するからである。
フラッシュを焚くとフェアリーペンギンがビックリして胃袋に溜め込んだ餌を吐いてしまい、
巣で待っているヒナのフェアリーペンギンが飢えてしまう。
また、フェアリーペンギンの目にも悪影響があり、下手すると失明しかねない。
このため多くの係員が厳しく監視している。
観光客たちには、事前に職員たちが安全な方法で撮影しておいた写真が販売される。
フィリップ島のあるヴィクトリア州において、コアラを抱くことは州の法律で禁止されている。
コアラは気の弱い生物なので人に抱かれるだけでストレスを溜めてしまう。
シドニーのあるニューサウスウェールズ州でも禁止されている。
解禁されているのはアデレードのある南オーストラリア州、パースのある西オーストラリア州、
ブリズベンのあるクイーンズランド州の3つだけ。
日本人が行きやすいクイーンズランド州では「コアラを抱いて良いのは1日30分まで」と制限されている。
関連項目
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