ミスカトニック大学(Miskatonic University)とは、H.P.ラヴクラフトの作品に登場する架空の大学である。
その後ラヴクラフトの作品から派生した「クトゥルフ神話」体系に共通して登場、あたかも実在する学術機関であるかのように扱われる事も多い。
概要
所在地はアメリカ、マサチューセッツ州アーカム。名の由来はアーカムを東西に流れるミスカトニック川から。
考古学、人類学、歴史学、文学などにおいて高い教育水準で知られており、図書館は40万冊以上の蔵書を収蔵。多くの稀覯書・魔道書が含まれ、世界でも5冊しか存在しない『ネクロノミコン』ラテン語版の完全版も含まれている。
また医学部や自然科学分野に対しても積極的な姿勢で、常に新しい風を取り入れている。
モデルはロードアイランド州プロヴィデンス市のブラウン大学。アイビー・リーグ(名門私立大学の連盟)に所属するエリート校である。
クトゥルフ神話TRPGのサプリメント「ミスカトニック大学」には成立年代や沿革、校内見取り図や関連人物を網羅しており、巻末には卒業証書まであるという力の入れようである。
また1920年代の大学を参考とし、当時の学食のメニューや下宿といったニッチな情報、フラタニティ(学生の社交クラブ)から暗躍するカルト集団まで事細かに記載されており、読み物としても楽しい内容になっている。
また「Miskatonic University」を標榜するファンサイトも存在する。
サイト内では学部紹介の他、オンラインショップを開設しており、ミスカトニック大学の卒業証書や学生証、校章入りマグカップやTシャツを製作・販売している。
関連人物
- ヘンリー・アーミテッジ
作品:ラヴクラフト『ダンウィッチの怪』
ミスカトニック大学図書館長を務める文学修士、プリンストン大学哲学博士、ジョンズ・ホプキンス大学文学博士。
1928年、ダンウィッチ在住のウィルバー・ウェイトリーの訪問を受け、『ネクロノミコン』閲覧を求められたがその邪悪な企みに気づいて拒否。ウィルバーの日記を解読し、2人の協力者と共にダンウィッチで起きた怪事件の解決に当たった。 - ウィリアム・ダイアー
作品:ラヴクラフト『狂気の山脈にて』
ミスカトニック大学地質学教授。1930年の南極探検隊責任者で、助手のダンフォースと共に消息不明のレイク隊の追跡調査に当たった。結果レイク隊の全滅を知るが、それ以上に恐ろしい光景を目撃してしまい、以後の南極探検計画に対して反対の立場を貫き続けた。 - ナサニエル・ウィンゲート・ピースリー
作品:ラヴクラフト『時間からの影』
ミスカトニック大学政治経済学教授、後に心理学教授。1908年に人格の変貌を伴う神経衰弱を発症、5年間の記憶が失われている。
実はイスの大いなる種族の『精神交換』によって、10億年前に地球を支配していた円錐形の生物として過ごしていた。その時の記憶は夢のように曖昧となっているが、ふとした弾みで蘇っては彼を苦しめる。 - ハーバード・ウェスト
作品:ラヴクラフト『死体蘇生者ハーバード・ウェスト』
ミスカトニック大学医学部卒。学生時代から死の克服、永遠の命の探求に明け暮れ、他の学生や教授からは疎んじられていた。
卒業後に外科医となって診療所を開設するが、墓地から死体を盗んでは冒涜的な実験を繰り返す。遂には念願の「死体蘇生薬」を開発するが…… - アルバート・N・ウィルマース
作品:ラヴクラフト『闇に囁くもの』
ミスカトニック大学英文学助教授。民俗学者でもあり、バーモント州で発見された奇怪な生物の死体について調査するうち、とある男性と知遇を得る。しかしこれが原因で「ユゴスからのもの」ことミ=ゴによる奇怪な事件に巻き込まれてしまう。
後に対邪神組織「ウィルマース・ファウンデーション」の設立に携わる。 - ラバン・シュリュズベリイ
作品:ダーレス『永劫の探求』
ミスカトニック大学人類学・哲学教授。クトゥルフ神話における(正気を保った)世界的権威で、多くの魔術に通暁、バイアクヘーの使役や時間旅行を行った。
かつて遭遇した事件で失明して眼球を失っており、黒眼鏡を外す事がない。クトゥルフの復活を阻止する為の戦いに身を投じ、弟子を失うなどの犠牲を払いながらも目的を達成した。
後年の作品を例に挙げると、大十字九郎(斬魔大聖デモンベイン)、サミュエル・ティリングハースト(ARMS)が同大学の関係者という設定があり、オカルト系作品におけるフレーバーとして設定に組み込まれる事もしばしば。
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関連項目
外部リンク
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