記事削除の合意についてとは、大百科における「削除しました」へのリダイレクトを用いた記事削除に関する合意形成のあり方について考察するための記事、すなわち本記事である。
概要
「削除しました」へのリダイレクト(削除リダイレクト)は「自発的な(自治的な)削除」であり、記事の存在自体が不適切あるいは不要であるが、規約抵触で運営によって削除されるようなものではない際にユーザー(編集者)によって行われる。
削除リダイレクトには記事を立てた編集者自身が自発的に行う、他の編集者の判断によって行われる、掲示板での指摘・議論を反映して行なわれるなどの場合がある。こうした処置は基本的に規約抵触とは別の理由によってユーザーの判断によって行われる(規約に抵触するような記事の場合には、削除依頼板にて運営に報告し判断を仰ぐ必要がある)。
その際の削除リダイレクトに関する合意の形成にはしばしば困難な問題を伴う。
消すべきか・残すべきか
まずはニコニコ大百科の記事の削除条件が個々人で異なるという点が問題となる。
削除リダイレクト編集への判断基準としては上記の二つの極端があり、リダイレクト編集を行う各ユーザーは概ねその中間のどこかに位置づけられる。両極端の意見はともに一理あるのだが、前者では党派的なもの・ネタ記事的なもの・悪ノリをすべて削除せざるを得ず、後者では悪意のある編集・立て逃げや大百科記事の私物化などに対処できないという問題が生じる。
関連して、「荒らし目的で立てられた記事」「立て逃げ記事」をどうするべきかという問題もある。荒らし目的の記事あるいは内容の無い立て逃げ記事を作成することに対して対して毅然と対処するべきという立場もあるが、そのような記事であっても可能な限り再利用するべきという立場もある。
後者の場合「もはや荒らし/立て逃げではない」(何をして荒らしとみなすかについては「荒らし」記事に譲る)ことを説得的に示す必要に迫られる場合がある。記事名称そのものに不快感を覚えるユーザーが多くいるような場合は、名称変更が求められることもある。
また、いったん「削除しました」へのリダイレクトされたものを再利用のためにリダイレクト解除する場合、「リダイレクト解除」の行為そのものが荒らし(粘着・編集合戦)とみなされる可能性も存在する。
リダイレクト解除・記事改編後は以前の掲示板(荒らしを糾弾する書き込みがなされていることが多い)を継承することになるため、掲示板での注意喚起も必要である。
どうやって決めるか
もう一つの問題は、いかにして削除リダイレクトについての判断に公正さを持たせるかという点である。
削除リダイレクト提案について掲示板で議論する際、その記事の利用者全てが議論に参加することは実際上不可能である。時間帯や曜日、議論の期間によってはさらに参加者は絞られるし、掲示板を閲覧はしていても書き込みはしないような場合も考えられる。
また、いったん議論の流れ(カスケード)が形成されると掲示板の流れによって反対意見を言い出しづらくなり、暗黙の合意を強要されることもある。こうした場合に反対意見を述べたり、独自の判断に基づく編集を行ったりすると、しばしば<合意>による拘束に従っていないことを理由に荒らしと認定されるようなケースもある。
もっとも簡単な合意形成の方法としては「多数決」があるが、不特定多数の利用者が存在する掲示板では多数決によって公正な合意形成を行うことが困難である。技術的手段、あるいはある程度恣意性を排除するための多数決についての手続き(期間・方法など)設定することで、掲示板において拘束可能な合意を形成できるのではないかと言う見解もある。他方、有害記事が存在することによる不快感を最低限にすべきだとする立場からは、そのような悠長な手間を取らずに速やかに削除リダイレクトを行うべきとされる。
結局長期間削除提案がなされていても合意が形成できない場合も多く、究極的には合意がないまま削除リダイレクトを行わざるを得なくなる可能性も排除できない。
合意は拘束できるか
繰り返しになるが、削除リダイレクト処理はユーザーの自発的な行動であり、何らかの権威や権限が運営あるいは他ユーザーの付託によって与えらているわけではない。編集権限を持つユーザーなら誰でもリダイレクトの復帰が可能である。つまり、「掲示板での合意」なるものに基づいた削除リダイレクト処理は、それに同意しない編集者が一人でもいればいつでも覆されうることに留意しておく必要がある。
このような場合、「リダイレクト→リダイレクト解除→再リダイレクト→解除(以下ループ)」のような編集合戦が起こることがたやすく想像される。そのような編集合戦が起きてしまえば、最終的には編集合戦を報告するか編集権限の停止申請を出すかして運営の判断を仰がざるを得なくなる(そしてしばしば運営は判断を下さない)。
既に述べたとおり、それに従わない編集者を「荒らし」として指弾できるほど「十分に公正な」手続きによって合意を形成するのは困難であり、その実際的な方法についての慣習もニコニコ大百科においては確立しているとは言いがたい。
消したらどうなるか
いったんリダイレクトしてしまうと、リダイレクトを解除しない限りは掲示板が利用できなくなり(閲覧は可能)、リダイレクトの是非を問う議論そのものが不可能になる。これは水掛け論的な不要な論争を避けるという点では有効であるが、同時に自由な議論を封殺される危険性があるとも言える。
この点、記事削除は単なる記事内容の変更以上にデリケートな問題といえ、合意については別段の配慮が必要である。
論点
論点は多岐にわたり、複雑である。以下「合意範囲」と「掲示板上の合意手続き」に分けて列挙する。
合意すべき人の範囲
不要 |
誰もが編集者個人の判断で「削除しました」へのリダイレクトをかける権利・能力がある。よって機能上は合意は不要である。リダイレクト後にこれを解除する動きがなければ黙認されたと考えることもできる。特に記事立てをした編集者本人が削除する場合は問題が生じにくい。 |
先行リビジョンの編集者 |
記事を立てた編集者、最新リビジョンの編集者、および先行リビジョンの編集者の同意があった方が望ましいとする意見。ただし記事掲示板やユーザ記事掲示板だけでは連絡が取れないことも多く、実際上は同意を得ることは難しい。 |
掲示板利用者 |
現在掲示板を利用している人の合意。一定期間意見を募り、特に反対がなければ合意とみなす。 諸問題については次項参照。 |
掲示板利用時の合意に関する論点
- 意見を募る際の「一定期間」とはどれくらいか。
- 合意は将来的な拘束力を持つか?(合意形成時に議論に加わらなかった(新規)編集者がリダイレクトを解除する権利を持つか?)
- 事情変更の判断をどのように行うべきか。(時間経過とともに事情が変わり、あとになって記事の需要が生じる可能性がある。リダイレクト解除にはどのような手続きを取るべきか。)
- 複数アカウントを利用した多数派工作をどのように考えるか。編集者が他人になり済まして掲示板に書き込み、印象操作する行為をどのように考えるか。
- 記事編集者の主張は(単なる掲示板利用者の主張と比較して)より重視されるべきか。重みづけはどのようにすべきか。
- 異論をはさむことは掲示板における「空気を読む」という慣習に矛盾する。これらをどのようにすり合わせていくか。
- 投票を行うことは可能か。どのように行うのが「公正」か(ウィキペディアでは投票は最終決定ではなくその後も議論が継続される→Wikipedia:合意形成)。
- 多数決をどのように定義するか?母集団、有権者、有効投票、閾値(単純多数決・2/3・全会一致など)をどのように設定するか。
- 少数意見はどの程度反映されるべきか。特に少数だが断固たる反対があった場合はどうすべきか。
関連項目
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- ページ番号: 4165120
- リビジョン番号: 2986825
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