関西国際空港とは、大阪府泉佐野市その他にある24時間運用の空港である。
概要
新千歳空港同様に24時間運用が可能な空港として1994年9月4日に開港した。略称は関空。
計画が持ち上がったのは1960年代、公害や騒音等の問題がクローズアップされていた世の中である。
飛行機の大型化やジェット化が進んで、都市の真っ只中にある大阪国際空港(伊丹空港)も騒音や事故のリスク等への危機意識と批判が高まっていた。
また、街中で拡張性もなかったため、大阪湾に国際空港を新設する案が持ち上がる。
当初、関空の最有力候補地は当初は神戸沖であったのだが、上記のように計画立案時は空港建設が全国的にバッシングを受けていた時期で、神戸市もその流れに乗って拒否。他にもあちこち候補を探したものの騒音や漁業の問題などを理由に選定が難航する。
ところが時代が進むに連れて高度経済成長が終わり、経済の活性化が重要視される一方で飛行機の騒音問題も技術の進歩で改善が見られ、今度は逆に神戸沖と泉州沖で激しい誘致合戦が始まるという訳の分からない事態になった。
運輸省は当初の案を拒否した神戸市に怒り心頭で、神戸の担当者を出禁にするなどの大人げない態度を取り、結局1984年に関西の中心から遠く離れた泉州沖の陸地から5キロも離れた地点で最終決定される。
しかし地盤の緩い沖合にゼロから巨大施設を作るという高難度の大事業であり、完成までには更に10年が経っていた。
こうして、実に30年もの年月を経てようやく完成した関空だが、工事の複雑化、長期化や漁業保証に物価の高騰などもあって、最終的な建設費用は一兆円を超えるとも言われ、不便な割に高額な利用料というハンデを背負う原因にもなった。
なお、開港前の工事期間には「ゴジラVSビオランテ」にて登場した事がある。
なお、伊丹空港は廃港になる計画だったが、1990年に国内線のみの空港として存続する事が決まった。
これは、大阪空港周辺の自治体がその経済効果を重視して空港廃止から存続派へ鞍替えしたこと、それに運輸省が関空のみでは将来の旅客需要を賄えないと大阪空港の存続を地元に提案していたこと、更にはドル箱路線の一つとなっていた東京・大阪間の航空路線を有していた日本航空・全日本空輸・日本エアシステムが、東海道新幹線と乗客の獲得競争を繰り広げてはいる関係上、泉州沖の関空へ移転してはその対新幹線の競争力を喪失することになると、大阪空港存続を求めていたためである。
ちなみに、神戸沖を断ってしまい手のひら返しも間に合わなかった神戸市は、自前で神戸空港を建設してしまった。
そして関西圏には3つの空港が乱立する事態となった。
そのような経緯で開港後も元からあった大阪空港(伊丹)が存続したことや、大阪中心部からすら50kmも離れていたこと、上記の理由で高額となった利用料などが重なり、国内線を運行する航空会社も乗客も都市中心部に近くそちらに集中するようになり、関西空港は2000年代深刻な乗客減に陥っていたことがある。
国交省の施策で、騒音問題を理由に伊丹への大型機の着陸を制限して関空への移転を促進したり、新千歳や那覇など長距離の路線を強制的に関空に就航するよう図ったことがあるが、前者は旅客機のトレンドが中小型機中心となっていく中で効果を発揮せず、後者に関しては遠い空港への移動を理由なく乗客に強いるものであり、不評であった。そういった事情もあり、関西と世界各国を結ぶ国際色の強い空港となっている。
2007年にB滑走路が完成し、完全24時間運用が可能になり、日本発の24時間運用空港となった。
現在、B滑走路の北側に横風用のC滑走路(3500m)の建設が計画されている。
2012年、全日本空輸が設立した格安航空会社(LCC)、Peachの拠点空港となる。
最近はそれら格安航空会社の誘致に熱心で、2017年にはLCC用となる国際線の第2ターミナルも完成。
LCCのハブ空港として急激に利用者と存在感を増しつつある。近年ではインバウンド需要で重要な役割を担う空港となりつつある。
2016年に関西空港伊丹空港神戸空港が一体的に関西エアポートに運営権が移管され民営化が行われた。
なお「世界初の海上空港」と勘違いしている人が多いが、世界初は長崎空港である。ただし、長崎空港は大村湾に元からあった島を拡張・造成したものであり、ゼロから海を埋め立てて完全人工島の空港としては確かに関空が世界初である。
空港アクセス
関空へのアクセスには鉄道(JR西日本・南海電鉄)やバス、高速船が利用されている。ただし、風の影響で鉄道や車のアクセスに影響が出る場合もある(※JRの場合は阪和線にてとんでもない影響が出る場合もある→また阪和線か!)。
- 鉄道 - 南海電気鉄道とJR西日本が乗り入れ(関西空港駅)
- バス - 京阪神各地域の他、四国の高松や徳島、中国地方の岡山、東海地方の名古屋から直通する便も存在する
- 航路 - 神戸空港との間に高速船が運行されている
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