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x86とは、Intel開発した命セット・アーキテクチャ、およびそれを採用したCPU集合である。

概要

厳密に言えばx86というアーキテクチャは存在せず、慣習上「8086」、「80286」、「386」という3つのアーキテクチャを総称してx86と呼んでいる。x86は以前のアーキテクチャとの上位互換性を保ちながら、8086→80286→386と発展してきた。[1]

※x86の「86」はこれら3製品の末尾2桁数字に由来する。

セット・アーキテクチャの拡は386で止まり、これ以降はインプメンテーション(マイクロアーキテクチャ)の強化が製品開発眼となった。その後MMX1997年)やSSE(1999年)と呼ばれる命セットの拡が行われた。

後にIntelは自社のプロセッサを64bit化しているが、命セットはx86を64bitしたx64を採用している。

特徴

今回は32ビット時代の話に絞ることにする。また、FPUSIMDの話は省略することにする。

見ればわかる通り、レジスタの数が少ない。また、命長がバラバラなので命の解釈が少し大変である。何より「片方のオペランドは更新される」というのがプログラム上では厄介である。

歴史

もともとIntelは8080の次に市場に投入する製品として「iAPX 432」を開発していた。iAPX 432の開発が遅れることはくから判明していたので、iAPX 432が登場するまでのつなぎとして、初代のx86プロセッサである「8086」が開発された。

8086は8bit CPUの8080(8085)との互換性を最優先に設計されたため、アセンブラレベルであれば非常に高い互換性を発揮したが、1MBメモリ間を64KBごとに区切るというセグメント方式が採用されたため、16MBメモリ間にダイレクトアクセスMC68000較され、開発者からは嫌われていた。

だが、8086の外部データバス8bit化した8088がIBM PCに採用されて大量に製品が出荷され、8086もIBM-PC互換機に採用されたことで大幅に売り上げを伸ばし、さらにIBM-PC/ATIntel 80286が採用されたことで、x86と互換性のないプロセッサはPC市場から駆逐された。そして本命だったiAPX 432は製品として失敗し、膨大な損失を出して生産を終了してしまった。

世間でRISCが流行り始めた際には、危機感を覚えたIntelRISC系をいくつか開発ハイエンドを取りに行くのだがうまくいかず、製品ラインとしては生き残らなかった。

次にIntelは自社のマイクロプロセッサを64bit化するにあたり、x86とは互換性のない「IA-64」命セット開発し、これを採用した「Itanium」プロセッサを投入したが、エミュレーションで実行するx86向けのソフトウェアの実行性が悪かったため普及させることができず、結局はAMD開発した「x86-64」命セット(x86の命体系を維持しながら64bitに拡したもの)を受け入れることになり、またしてもx86と縁を切ることはできなかった。

関連動画

関連商品

関連項目

互換プロセッサメーカー

脚注

  1. *「最新マイクロプロセサ・テクノロジ 増補訂版」 神保進一 1999 日経BP p.82
  2. *雑談2題~X86-Sのメリット、業界標準の上手な作り方exit 2023.6.29
  3. *CyrixにIBMにRiSE、マイナー系x86ベンダー総ざらえexit 2010.8.23

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2 ななしのよっしん
2013/12/04(水) 01:02:47 ID: 33AFrFLp8a
歴史上、一度たりとも「カッコいい」と形容されたことのないアーキテクチャ
生まれた時から「互換路線でダサい」といわれ、16bitでは68000と較され、32bitではRISC較され・・・。

今ではCISCだからダメなんてことはないにしても、デコーダの酷さは弁護のしようがない。
こんなので未だにがんばってるインテル力技っぷりにはシャッポを脱ぐでござるよ。
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3 RERA_X
2015/04/10(金) 02:42:27 ID: CtlRstvnHP
Windows 7搭載パソコンがどんどん64ビット化していったことで、
やっとx86のお役御免が見えてきた。

とはいえ、x64x86の拡であるぶん、取り方によってはまだ
続いているともいえる。
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4 ななしのよっしん
2016/12/19(月) 23:36:45 ID: NinR9uYTga
は逆に、余程のことがない限りx86は残り続けると思う。
32ビットフラットメモリ4GB、およそ均的なプログラムはこれだけのアドレス間があれば足りないということはまずないし、64ビット幅の演算命が使えることでパフォーマンスが大きく向上するようなプログラムもそんなに多くはないと思う。
C言語で「とりあえず適当整数」っていったら、深く考えずに32ビット int で大抵十分よな。

逆に、64ビットモードだとポインタ幅が全部64ビットに膨らんでCPUキャッシュ効率落ちるから、多くの場合で32ビット版よりもパフォーマンス劣化するというね。
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5 ななしのよっしん
2016/12/29(木) 23:28:40 ID: 33AFrFLp8a
x86が当面生き残るという点には異論ないんだけど、その論拠には同意しかねる

* 64bit演算はレジスタ自然にできるというだけであり、必要なければそのまま32bitでいい。実際intは大体どこでも32bitのまま(64bitlonglong longにするから)
* x64の一般的なメリットレジスタ幅が64bitになったことではなく、汎用レジスタが増えたことにある。x86の弱点の一つは簡単なことでしょっちゅうpush/popが発生する非効率さ
* 64bit化でメモリ使用量が増えるという点はその通りなのだが、キャッシュに乗るようなホットなアクセスに関しては上記レジスタ増による向上分で十分相殺されるのでは?
* アドレス間が広がることは個々のアプリケーションというよりOSシステム全体に余裕ができるということを意味する。またアドレス間が広いということにはそれ自体のメリットがある(ASLRが安全に動作するとか)
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6 ななしのよっしん
2017/04/19(水) 23:29:07 ID: Rf2bfCLUlw
SSE2 が必須になってる (x87 を使わなくて済む、SSEを前提としたABI) のも AMD64 の良いところ。

AMD64 のアセンブリで R8-R15 を使おうと思うと REXリフィックス分だけ駄にならないだろうかと考え出しても眠れなくなる異常
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7 ななしのよっしん
2018/09/19(水) 19:26:36 ID: Vf50uIgdqn
ちょっとしたきっかけでx86の先祖の8086のバイナリに触れてみたんだけど、このアーキテクチャほんとひでーわ
バイナリの統一感がまるでない上にフラグが複雑怪奇すぎて心折れる
8086でこれなんだから今のIntelの人が何と格闘してるのかを考えるとゾッとするね
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8 ななしのよっしん
2020/12/01(火) 08:35:04 ID: mbMTxo8SWV
「強いメモリモデル」と「弱いメモリモデル
https://yamasa.hatenablog.jp/entry/2020/11/29/171322exit
>現代のCPUアーキテクチャでは、x86(64bit, 32bitどちらも)が「強いメモリモデル」を採用しており、それ以外のメジャーCPUが「弱いメモリモデル」を採用している。
>「弱いメモリモデル」は「強いメモリモデル」よりも制約が緩い分、CPU内部実装最適化・高速化の面で有利なはずである。しかし何故x86現在もまだ強いメモリモデルを採用しているのかというと、互換性の問題があるからである。
インテルItanium(IA-64)プロセッサでは弱いメモリモデルを採用したのだが、御存知の通りItaniumは終了してしまっている。対抗のx86-64(AMD64)アーキテクチャは既存の32bitコードとの互換性を重視したために以前と同じ強いメモリモデルを採用したので、x86アーキテクチャメモリモデルの切り替えを行う最大のチャンスを逃してしまったということになる。
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9 ななしのよっしん
2022/02/08(火) 21:28:20 ID: sPQ9kjQRs0
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10 ななしのよっしん
2022/02/08(火) 22:16:23 ID: sPQ9kjQRs0
IntelRISC-V Internationalに最高位レベルで加盟
https://mag.osdn.jp/22/02/08/154500exit
IntelによるとIFS(Intel Foundry Services)は有効なRISC-V IPコア提供することを計画しておりIntelプロセステクノロジー向けにIP最適化してRISC-VがIFSシリコンで最高の形で動くようにしていきたいとしている。これには組み込みからハイエンドまでさまざまなコアを想定しているという
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11 ななしのよっしん
2022/11/06(日) 14:53:37 ID: sPQ9kjQRs0
x86プロセッサーへの固執を絶つIntelNVIDIAに全で対抗
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/052501049/exit
Intelが本気でRISC-VコアSoC開発支援、脱IA固執を鮮明に
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/13669/exit
IntelRISC-VコアSoC開発支援プログラムIntel Pathfinder for RISC-V」を始めた。このプログラムではRISC-VコアやそのほかのIPコアに加えて開発環境FPGAボードが用意されておりSoC開発支援だけでなくRISC-Vコアで稼働するソフトウェア移植容易化にも寄与するという

Intel半導体製造、独立化をさらに推進
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1448466.htmlexit
社外の顧客企業Intelの製品ラインに「社内ファウンドリ事業モデル」が適用されInte
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
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