銀河英雄伝説の事件 | |
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ハイネセン動乱 “血と炎の四月一六日”事件 |
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基本情報 | |
時期 | 新帝国暦3年 4月16日深夜 - 17日 |
地点 | 銀河帝国新領土 バーラト星系 惑星ハイネセン |
概要 | ラグプール刑務所における武装暴動、ならびに市街各地で同時発生した放火・爆発事件 |
詳細情報 | |
実行者 | ラグプール刑務所の収監者(総数約5000名)ほか |
鎮圧側指揮者 | 軍務尚書パウル・フォン・オーベルシュタイン元帥 軍務省官房長アントン・フェルナー准将 黒色槍騎兵艦隊副司令官ハルバーシュタット大将 アウグスト・ザムエル・ワーレン上級大将 ナイトハルト・ミュラー上級大将 |
死傷者 | 収監者:死者1084名、重軽傷者3109名 警備兵:死者158名、重軽傷者907名 |
ハイネセン動乱 | |
ハイネセンにおける反国家的暴動 - (第十一次イゼルローン要塞攻防戦) - オーベルシュタインの草刈り - ダウンディング街騒乱事件 - “血と炎の四月一六日”事件 - イゼルローン回廊同盟側出入口における遭遇戦 |
前の戦闘 | 次の戦闘 |
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ダウンディング街騒乱事件 | イゼルローン回廊同盟側出入口における遭遇戦 |
“血と炎の四月一六日”事件とは、「銀河英雄伝説」の事件のひとつである。
新帝国暦3年初頭に発生したハイネセン動乱のなかで、帝国政府により逮捕されラグプール刑務所に収監されていた“政治犯”が引き起こした暴動事件、および呼応してハイネセン市街地の各所で同時発生した放火・爆発事件。
暴動を起こした収監者たちが武装していたこと、折からの帝国軍の内部対立に端を発する鎮圧の不手際などが原因で、多くの収監者・警備兵が死傷する惨事となった。
“政治犯”の多くは、皇帝ラインハルトの全権代理として惑星ハイネセンに赴任した軍務尚書パウル・フォン・オーベルシュタイン元帥によるいわゆる“オーベルシュタインの草刈り”によって収容された旧同盟の政治家・高級軍人などであった。オーベルシュタイン元帥はこれら“政治犯”の身柄を利用してイゼルローン共和政府首脳にハイネセンへの出頭を迫っていたが、暴動発生と収監者多数の死傷により挫折し、両者の交渉は事態収拾後の皇帝ラインハルト自身による呼びかけまで持ち越されることとなる。
新帝国暦3年初頭にハイネセンで多数発生した反国家的暴動ののち、皇帝ラインハルトの全権代理としてハイネセンへと派遣された軍務尚書オーベルシュタイン元帥は、到着翌日の3月21日より、ハイネセンに居住する旧同盟の政治家や高級軍人など重要公職者5000人以上の逮捕・収監を断行する(オーベルシュタインの草刈り)。オーベルシュタイン元帥の目的は、この“政治犯”5000余名の身柄を人質として、イゼルローン共和政府・革命軍の代表者をハイネセンへと出頭させることであった。
しかしイゼルローンへの正式な宣告に先立つ4月1日、オーベルシュタイン元帥の意図を問いただしたフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト上級大将が応酬のすえに激昂して暴力沙汰におよぶ事態が発生し、ハイネセンの帝国軍内部では深刻な対立が生じた。なかでも謹慎・軟禁となったビッテンフェルト上級大将が指揮する“黒色槍騎兵”艦隊の反発は大きく、4月6日には黒色槍騎兵の兵士がオーベルシュタイン元帥指揮下の憲兵隊と衝突するダウンディング街騒乱事件が発生するなど緊張が高まっていた。
事件は、“草刈り”と帝国軍の内部対立について報告を受けた皇帝ラインハルトがハイネセンへと向かうさなかの4月16日に発生することとなる。
4月16日深夜、当時“政治犯”5000名余を収監していたラグプール刑務所において、収監者の大規模な暴動が発生。暴動を起こした収監者は武装しており、翌17日9時40分に至って完全制圧されるまでに、刑務所内では銃撃、爆発、火災、倒壊といった事象が発生した。鎮圧の現場指揮には軍務省官房長アントン・フェルナー准将がかけつけたが、彼自身も警備兵の誤射により負傷する状況であった。
この間、17日朝には市街地の各処で放火や爆発が生じた。これに対してはアウグスト・ザムエル・ワーレン上級大将が出動して騒乱を鎮定し、市民に恐慌が拡がることをふせいだ。行動中、ワーレン上級大将が狙撃される事件(銃弾が逸れたため無傷)も生じている。いっぽう、オーベルシュタイン元帥も騒乱の拡大を阻止するため市街要所の警備を指示し、ナイトハルト・ミュラー上級大将らによって実施された。
刑務所の鎮圧にあたっては、前述した帝国軍の内部対立などの影響で多くの不手際と死傷者が生じた。
暴動発生時、黒色槍騎兵の陸戦部隊が艦隊副司令官ハルバーシュタット大将の指揮下で鎮圧に出動し、ハイネセン中心市街で流れた“黒色槍騎兵、暴発”という誤報を受けた憲兵隊により阻止される事態が発生した。ひと悶着のすえ、あわや実力突破という寸前までいったが、フェルナー准将の的確な判断で武力衝突は避けられ、憲兵隊と黒色槍騎兵陸戦部隊が刑務所まで並走して出動することとなった。
しかし、対立する二部隊が混合して鎮圧にあたったことは、対立相手に鎮圧の不徹底を非難される恐れから収監者を逃亡させないために射殺を選ぶような強圧的対処が取られる原因となり、秩序回復の遅れと犠牲の増大をもたらすこととなった。フェルナー准将の負傷とそれに伴う救助活動の遅延も、この混乱の副産物であるとされる。
ラグプール刑務所での暴動事件の結果、5000余人にのぼる“政治犯”のうち、死者1084名、重軽傷者3109名、他にも逃亡者・行方不明者が発生し、無傷で残留した者は317名にすぎなかった。死者がこれほど増大した原因として、指揮をとったフェルナー准将が負傷したために彼が用意した医療部隊に活動命令がとどかず、3時間にわたり待機を余儀なくされたことで生じた救助・治療の遅れが指摘されている。
前述したように、収監されていた“政治犯”は旧同盟の政治家・高級軍人を中心としており、社会的地位が高い収監者が多くいた。こうした名士たちも多くが死傷し、旧同盟軍第一艦隊司令官パエッタ中将、ハイネセン国立自治大学学長エンリケ・マルチノ・ボルジェス・デ・アランテス・エ・オリベイラ博士などが死亡、旧同盟軍統合作戦本部長シドニー・シトレ元帥(前年のグエン・キム・ホア広場事件以来収監中)、元イゼルローン要塞駐留艦隊参謀長ムライ中将といった人々も負傷している。
いっぽう、鎮圧にあたった警備兵の側でも、フェルナー准将の負傷(左上腕貫通銃創、全治50日)のほかに死者158名、重軽傷者907名という大きな損害を出すこととなった。
秩序の回復とともに、軍務尚書の直属部隊が動かされて事後処理にあたった。
これに先んじてミュラー上級大将は、イゼルローン共和政府に事件の不正確な情報がわたることで皇帝による今後の交渉がさまたげられる可能性を危惧し、越権行為ながら修好を試みるべくイゼルローン要塞関係者の捜索を行っている。しかし、発見されたムライ中将はいまだ意識不明状態であり、病院が軍務尚書の管轄下におかれるまでに有効な処置を行うことはできなかった。
そのイゼルローン共和政府は、すでに出頭命令に応じることを決め、フレデリカ・G・ヤン主席以下の首脳陣が搭乗する小艦隊を送り出していた。しかし彼らは回廊のすぐ外で事件の報を受け、一時帰投を決断。帝国軍警備部隊に発見されて小戦闘を交えたものの、無事に回廊内への後退を果たしている。
ハイネセンへの旅路にあった皇帝ラインハルトは事件前すでに“政治犯”の虐待防止を指示していたが、4月17日にオーベルシュタイン元帥より報告を受け、人質の是非はさておいても殺傷しては意味をなさない、と激怒した。皇帝到着後の5月にはミュラー上級大将を全権としてイゼルローン共和政府との外交交渉が再開され、皇帝ラインハルトは共和政府によるイゼルローン関係者の安否確認要求を受け入れるとともに、5月20日をもってラグプール刑務所の全“政治犯”を解放する布告を行うに至った。
暴動が発生した原因は不明であるが、旧同盟要人からなる収監者の平均年齢が高く暴動の自然発生は考えにくいこと、暴動のために武器が刑務所内にもちこまれていたことから、なんらかの人為的な策謀が働いたものであるとみなされた。これについて帝国軍の高級士官は、重大な兇事が発生した場合の当時の通例として、地球教の関与を疑っている。
原作では「落日篇」第五章「昏迷の惑星」で“血と炎の四月一六日”事件を描く。
掲示板
11 ななしのよっしん
2021/03/04(木) 20:23:04 ID: 6jKmXFcTrx
この事件で死亡が確認されたオリベイラ博士って、帝国軍の治安部隊じゃなくて、刑務所から脱出した後で反帝国レジスタンスに捕まってリンチに合ったんじゃないかな。
12 ななしのよっしん
2021/04/30(金) 21:13:30 ID: 8qLFiKlo2Y
そこまで全ての事象に真相を求めたら、
いかにもうっかり巻き込まれたパエッタ提督が不憫すぎる
13 ななしのよっしん
2021/09/02(木) 09:34:04 ID: OV7A5tleUy
同盟最大の名将であるパエッタを密かに葬るのが目的だからその推測はあながち間違ってない
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最終更新:2024/12/21(土) 22:00
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