だいせん(列車)とは (ダイセンとは) [単語記事]

だいせんとは、伯備線特急「やくも」の基礎を作った大阪と山陰を結んだ快速・急行列車である。

概要

1953年 3月15日に山陽本線岡山駅～山陰本線松江駅間に伯備線経由で設定された快速列車としてデビューした。この時は臨時列車であったが、同年11月に定期化された。この快速「だいせん」が伯備線を走る優等列車の始祖であると同時に、伯備線を陰陽連絡の主要ルートの一つに引き上げた。
なお、この時の伯備線はまだ電化前であり、使用されたのは気動車である。

運転開始から5年後の1958年 10月1日には運転区間が拡大され、東海道本線京都駅～大社線大社駅（現在は廃止）間に変更された。これと同時に快速から急行に昇格し、DF50形も導入された。
当時の関西圏と山陰地方の連絡ルートには主に尼崎から福知山線が使用されていたが、山陽本線・伯備線経由のほうが線形もよくスピードが出せる事もあり、京都発になっても従来通り伯備線経由とされた。
この後には伯備線の優等列車として1960年に岡山駅～出雲市駅間で準急「しんじ」が、岡山駅～新見駅～広島駅間に準急「たいしゃく」が設定されるなどし、急行「だいせん」はこれらの仲間と共に伯備線を支えていく事となった。

しかしながら、急行に昇格してから10年経過した1968年 10月1日に「おき」に改称され、伯備線からは「だいせん」という名称での歴史に幕を下ろす事となった。
ただ、この急行「おき」は1971年 4月26日にキハ181系で特急化されたものの、翌1972年 3月15日の山陽新幹線岡山駅開業に伴いキハ181系特急「やくも」に改称されている。この「やくも」は1982年 7月1日の伯備線電化に伴い381系化され今に至っている。
なお、同僚であった「しんじ」は1966年に急行に昇格すると1968年に急行「たまつくり」を吸収。「やくも」運転開始後も活躍を続けたが、1975年に急行「伯耆」に改称した。この「伯耆」は「やくも」と共に陰陽連絡を担っていたが、伯備線電化に伴い「やくも」に一本化される形で1982年 7月1日に廃止された。

前述の通り「だいせん」は1968年に伯備線からは姿を消したが、同じ時期に大阪駅～松江駅・出雲市駅・大社駅・益田駅間の計4往復を福知山線経由で結ぶ急行「だいせん」として福知山線の既存急行を統合する形で新たに設定されている。後に松江駅発着便を鳥取駅発着に短縮して「いなば」に改称し、1975年に「いでゆ」に再改称したが、1978年 10月に「だいせん」に統合された。
「だいせん」には昼行列車と夜行列車が設定されていたが、昼行列車の方は1986年の福知山線電化に伴い特急「北近畿」に格上げされる形で廃止になっている。

夜行列車の方は1986年に客車列車に改編し存続。この際、一部区間（倉吉以西）を快速列車化した。1999年には米子駅発着に短縮され、使用車両をエーデル仕様のキハ65形に変更。しかし、利用者減で2004年 10月16日に廃止されている。尚、「だいせん」の廃止に伴い福知山線内では特急「北近畿」が増発されたほか、鳥取駅～米子駅間では「だいせん」が担っていた始発・最終列車の役割を引き継ぐため「とっとりライナー」が代替便として増発された。