ふつつかな悪女ではございますがとは、中村颯希によるライトノベルである。イラストはゆき哉が担当している。
概要
『小説家になろう』を経て2020年より一迅社ノベルスで連載されている、誰からも愛されるが病弱な美少女と、皆から無下にされてきた卑屈な悪女の身体が入れ替わったところから始まる中華後宮スポ根ファンタジー。
作者曰く、当初は病弱だが健気で善良なヒロインが逆境に陥りつつも色々な人の力を借りて困難に立ち向かってゆく物語を想定していたのだが、気づけば鋼メンタルの豪傑ヒロインが周囲をブンブン振り回す話になっていた。
既存の悪女ものや入れ替わり系の定型を軽々と飛び越えた、読者の予想を良い意味で裏切る展開とキチンと描写される後宮構成、登場人物の成長と絆が魅力的。
『月刊コミックZERO-SUM』にて尾羊英によるコミカライズ版が2021年2月号から連載されており、「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門では7位を獲得した。
また、アニメ化も発表されている。
あらすじ
100年前の血で血を洗う権力闘争を機に、藍家・金家・玄家・朱家・黄家という、有力な五家からみ妃を受け入れるようになった詠国の後宮。
「殿下の胡蝶」と謳われる黄家の雛女・玲琳は、宮中一の嫌われ者である朱家の雛女・慧月の手にかかり、彼女と体が入れ替わり、しかも自らを襲った罪で処刑を待つ囚人の身となる。
しかし、病弱ゆえ常に死と隣り合わせだった玲琳は健康体を手に入れたことで逆に意気揚々となり逆境にめげず次々と周囲を陥落させてゆく。
主な登場人物
- 黄 玲琳(こう れいりん)
- 主人公。「殿下の胡蝶」と呼ばれる、病弱だが宝石のように整った容姿に優雅な佇まいを持ち知性に溢れた雛女。現皇后陛下の姪御でもある。母親を出生の時に亡くしている。慧月のせいで彼女と身体が入れ替わり、釈明の言葉も言えないまま囚われの身となるも、持ち前の鋼メンタルに健康体を手に入れたことで逆に喜んでしまい、次々と降りかかる事態を対処してゆく。読者からのあだ名は「鋼様」。
- 朱 慧月(しゅ けいげつ)
- もう一人の主人公。他の雛女と比べて無能無才で卑屈なため「鄒宮のどぶネズミ」と呼ばれ疎まれる朱家の雛女。優秀な道術の使い手で、炎を自在に操れる。逆恨みから道術を駆使して玲琳との入れ替わりに成功するも、病弱な身体を掴まされたことで四苦八苦する。当初は玲琳を妬んでいたが彼女と接するうちに変わってゆく。
- 藍 芳春(らん ほうしゅん)
- 背が低く幼い、天真爛漫な藍家の雛女。
- 金 清佳(きん せいか)
- 金家の雛女。美を追求する完璧主義者。玲琳を敬愛している。
- 玄 歌吹(げん かすい)
- 玄家の雛女。武芸に優れた冷静な人物。他の雛女がそれぞれの家の長女なのに対し、歌吹は次女である。
- 詠 尭明(えい ぎょうめい)
- 詠国の皇太子。玲琳を溺愛するあまり彼女のこととなると我を忘れてしまい、慧月と身体が入れ替わった彼女に理不尽な仕打ちを行う。
- 辰宇(しんう)
- 後宮の風紀を取り締まる鷲官長を務める尭明の異母弟。異国の奴隷であった母親譲りの碧眼の持ち主。生い立ちと処刑人としての顔を持つこともあり、冷酷至極でどこか人生を投げ出しているかのように見られがちだが、誰よりも公平な目線を持っている。
- 莉莉(りーりー)
- 慧月の側仕えを務める下級女官。移民の踊り子ある母親譲りの琥珀色の瞳に赤みの強い髪、下町の住人のような話し方が特徴的。以前より慧月から様々な嫌がらせを受けており、さらに彼女への処罰でとばっちりを受け、金家の雅容に唆されたこともあり小刀で襲い掛かるが、玲琳の優しさに触れ絆される。
- 黄 景行(こう けいこう)
- 武官を務める玲琳の長兄。妹を溺愛している。慧月からは脳筋と思われているが結構な切れ者。
- 黄 景彰(こう けいしょう)
- 武官を務める玲琳の次兄。兄と同様に妹を溺愛しているが、慧月にも好意を寄せる。作中屈指の人気キャラクター。
- 黄 冬雪(こう とうせつ)
- 幼いころから玲琳に仕えてきた筆頭女官。玄家を遠縁に持つ拷問のプロ。人間味のない印象を与えるが、玲琳に使えることを至上の喜びとし、周囲を押し切ってまで病人である彼女にスパルタ教育を施す。
- 文昴(ぶんこう)
- 辰宇に使える糸目の宦官。辰宇に対しては結構明け透け。
用語
テレビアニメスタッフ
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関連項目