エンドレスエイトとは涼宮ハルヒシリーズの第5巻「涼宮ハルヒの暴走」所収の短編ストーリーである。
SF作品における、「ループもの」と呼ばれるジャンルを取り扱ったエピソードである。
(ネタバレの可能性があるため反転)
原作は第5巻の短編集「涼宮ハルヒの暴走」に収録されている。ツガノガクによるコミック版では第5巻に収録されている。(少年エース本誌で2007年6・7月号 に掲載され、ほぼ原作どおりに描かれており全2話である。)
2006年版のアニメ化の際には放送されなかった(構成段階では、1話でアニメ化予定だったが憂鬱の尺が延びたためカットしたらしい)が、2009年版にてアニメ化された。
なお、スピンオフ作品のギャグ漫画『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』の漫画では、これを使った話が時折用いられる他、涼宮ハルヒちゃんの憂鬱のスピンオフ作品『長門有希ちゃんの消失』でもエンドレスエイトをモチーフにしたエピソードがある(漫画第5巻収録)。2015年にアニメ化した際は、16話「花火」とOVAの17話「終われない夏休み」にてエンドレスエイトに関連した演出やアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンドレスエイトをパロディとした描写がなされている。
良くも悪くもインパクトがあったため、WOWOWの涼宮ハルヒの憂鬱一挙放送ではエンドレスエイトをモチーフにした、専用ポスターが制作された他、ニコニコ生放送においては2018年に8月17日に88時間一挙生放送が企画された。
KADOKAWAの公式側も原作のプロモーションとして2020年には第12巻『涼宮ハルヒの直観』、2024年には第13巻『涼宮ハルヒの劇場』の発売日発表の解禁日がエンドレスエイトにかこつけて発表された。2024年には原作・コミックの電子書籍88円均一の最大割引率フェアの『エンドレスエイトフェア』が行われている。
夏合宿から帰ってきた後、キョンはしばらくハルヒ他SOS団メンバーと会うこともなく、平和な夏休みを過ごしていた。しかし夏休みも後半に差し掛かった頃、突然ハルヒから集合命令の電話。SOS団のメンバーに「夏休みを全力で遊ぶ!」と宣言。プール、盆踊り、花火大会、バイト、天体観測、バッティング練習、昆虫採取、肝試し…明日以降の超過密スケジュールを発表する。準備を始めるSOS団だったが、キョンはずっと謎の既視感と違和感に悩まされる。そんな中、長門が疲れているように見えたキョンは長門に声をかけたのだが、特に何を言われる訳でもなくそのまま別れる。
そんなある日の深夜、キョンの携帯にみくるから連絡が来る。みくるの隣には古泉がいるようで、さらにみくるは泣きじゃくっていた。自転車を飛ばし、駅前に向かうキョン。そこにはハルヒ以外のSOS団メンバーが集まっていた。みくるや長門がキョンに伝える。
「夏休みが終わらない」
※グレーのゾーンをクリックしてネタバレを表示。ただし、最後の結末は書いていません。
みくるの説明は要領を得ないが、「なぜか過去に戻れなくなった」と訴える。古泉は「時間がループしている」と説明する。どうやら8月31日の24時になると勝手に8月17日早朝に戻り、しかも長門以外はその間の記憶はなくなるという。そして長門によると、今回が15498回目のループだと語る。長門が疲れていたのもそのためであった。
ループの原因は、「ハルヒが深層意識で『夏休みにやり残したことがある』と思っている」と推測。それのせいで、8月31日になるとハルヒが無意識に時間を巻き戻しているという。だがその肝心のやり残したことが何なのかがわからず、実際過去のループでも様々なことを数千回に渡って試したものの、結局ループを抜け出せなかったとのこと。
今回のループでもハルヒが思い残すことがないように、全力でハードスケジュールをこなすSOS団メンバー。そして夏休み最終日を迎えるが、それでもやはりハルヒは不満そうな表情を見せる。ハルヒはメンバーに解散を伝えて帰り始めるが、このままでは次もループに入るのは確実。迷いに迷った末に、キョンは言葉を絞り出す。
※ここから先はストーリーのネタバレが含まれる可能性がありますので自己責任で閲覧してください。
先述のように2009年版でアニメ化されたが、当初の視聴者の予想は原作の長さなどから1~2話程度で終わるというものだった。しかしこの予想は大幅に覆されることとなる。
1話目放送の翌週に、ほぼ同様の内容の2話目が放送されたのである。その翌週に、ほぼ同様の内容の3話目が放送された。しかしそれでも話が完結することなく、4話目、5話目と続けてほぼ同様の内容のストーリーを展開。
そして最終的に、「エンドレスエイト」のストーリー完結までに要した話数は8話。要するに、8話連続ほぼ同様のストーリーが繰り返されたのである。
厳密には構成を分析すると、ループに気づかないまま終わる第1話目(アニメオリジナル展開)、ループにハルヒ以外のSOS団メンバーは気づくが何もできないまま終わる第2~7話目(アニメオリジナル展開)、ループに気づき、ループを脱出する原作どおりの第8話目の全3パターンがある。
なおストーリーこそほぼ同一であるが、決して使い回しではない。各話ごとに構図などが異なるため絵はほぼ全て書き直されており、アフレコもキャストのインタビューから各話ごとに収録が行われている。(録音台本はエンドレスエイト全体で3本とのこと。)また脚本や演出も細かく異なっており、言わば放送された全てが「新作」とも言うべきものである。「エンドレスはもうこりごりだ!」という人も、作画監督などによって異なる各話ごとの微妙な違いを探してみると意外な発見があるかもしれない。
このかなり特殊な演出に、アニメ放送時期にはインターネット上では賛否を含めた様々な議論が勃発した。
京アニ・角川への不満を爆発させる人、ループを全て記憶している長門有希の気分を視聴者が体験できるようにする斬新なアイディアだと賞賛する人など、人によって様々な意見が展開されている。また一部からは「このようにネットで議論されて、話題を呼ぶ事こそ製作サイドの狙いでは?」との意見もある。
涼宮ハルヒの憂鬱の2009年度版は、4月から5月を描いている第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』から消失の前段階を描いている『サムデイインザレイン』までであり、消失はテレビではなく劇場版とされているため、エンドレスエイトは消失を劇場でやりたいための穴埋めと考える人もいる。(がそれなら、エンドレスエイトのために新作14話中8話をエンドレスエイトに費やすのは無駄ではという意見も)また、タイトル名がエイトであるため、それと合わせて8回やりたかったのではという意見も出ている。
放送中はこの無限ループを支持する層からも、エンドレスエイトが長引くと言う事は必然的にそれより後の話が削られるということになりうるため、「この後に続く『溜息編』『消失編』がアニメ化されないのではないか?」という懸念から、残念がるファンも少なくなかった。第二巻のDVDのナンバリングの小数点以下にダイヤル数が使われていることや、事前に上がってきたDVDリリーススケジュールなどから、下手すれば12、3話続く可能性があるのではないかともみなされていた。
か実際はエンドレスエイトは8話で完結し、涼宮ハルヒの溜息は全5話としてエンドレスエイトの後に放送され、涼宮ハルヒの消失は劇場版としてアニメ化されることになった。が、消失をテレビで見たかったという者はくすぶっている。
2018年にはアニメの『エンドレスエイト』に焦点を当て分析哲学から批評した評論書籍『エンドレスエイトの驚愕』が刊行されている。
団長代理 石原立也監督:『エンドレスエイトは、涼宮ハルヒの消失にリンクしており、改めての放送は消失へのカタパルト的な役割を持っています。』
団長補佐 武本康弘監督:ハルヒたちと一緒に夏休みを満喫したような気分になりました。
キャラクターデザイン 池田晶子:とにかく長かったの一言。
総作画監督 西屋太志:8本同時進行で動いてたので混乱しました。制作終盤はデジャヴ感じまくりでしたが長門の表情には力いれました。
プロデューサー 伊藤敦:できる限り長門有希の気持ちに共感できるように展開試みました。
一方、キャスト側の反応としては、キョン役の杉田智和が事前に8回分全てのアドリブを予め考えていたなど、他のキャストが細かな違いを意識していたが、ハルヒ役の平野綾は、逆に全く同じ演技をすることを意識したことが明かされている。
なお2023年8月30日にNHKラジオ第一放送で午後8時から放送された番組『アニメステラー』内で涼宮ハルヒの憂鬱が特集された。視聴者からのメールで『エンドレスエイト』について後の世までインパクトが残る結果となったと肯定的に捉えつつ企画経緯について尋ねる質問が届いた。
その回ではゲストとしてアニメのプロデューサーの伊藤敦が出演していた。質問に答え、新作が14回という放送回が決まっており、エンドレスエイト2,3回で終わる案はあったが普通過ぎてハルヒのコンセプト(普通じゃつまらない)に合わないためボツになったと明かしている。また8回になった意味は8月や∞など複数の意味があったとしている。
2009年7月18日、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の一期作品に関わっていた山本寛が謝罪する動画がYouTubeにアップロードされた。この動画はアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモアで行なわれたアニメイベント「ボルチモア・アニメエキスポ09」の内容の一部である。
2007年6月に山本寛はアニメーションDo(京都アニメーション)を退社してフリーになっている。今回の涼宮ハルヒの憂鬱(2009年度版)の制作には2007年6月にアニメーションDoを退社するまでの、今回の企画の当初の会議に関わった以外は退社してしまったため関わっていない。
山本「えーっと、…まあ事実をまず申し上げますと、僕はもうかなり1年以上前からこうなることを知っていました。」
記者「何故、小説の話をやり続けるのではなく、小説の30ページの分を6話にして作ってるんですか?」
山本「えー、えっとね、これもネットにあげないでくださいよ。(笑)えっと、自己弁護するわけでありませんが、僕が京都アニメーションに居たとき既にこのアイディアはありました。で僕は反対をしました。2話が限度だろうと…。(場内拍手喝采)」
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山本「ただし僕は自分の意思で京都アニメーションを出てしまったわけですから、ある意味いまのハルヒのこの展開について、んー責任を感じています。まあですから、もう言ってしまいましょう、覚悟はしていたので言っておきます。製作委員会SOS団を代表して、この場でお詫びしたいと思います。申し訳ない。(場内拍手喝采)」
゚+。(o'д'ノノ゙☆パチパチパチ。+゚ (o´ェ`ノノ゙☆パチパチパチパチ
山本「絶対ヒミツですよコレ。」
撮影されていたため残念ながらYouTubeにアップロードされてしまいニコニコ動画にも転載された。
「責任を感じるのも分かる。社交辞令的に謝ったのかも知れないがヤマカンが謝ることではない。」
「ハルヒ2期つまらないというブラックな本音を謝罪で表現したかったのでは?」
「辞めた人間が代表して謝罪って意味がわからない。」
「山本監督、自分を責めないで下さい。」
「今回のハルヒ2期については静観を決め込んで欲しかった。」
「ハルヒの監督はヤマカン以外には考えられない。」
「オフレコってことでの、単なるリップサービスなのに騒ぎすぎだ。」
など様々な意見をみることができる。なお、製作委員会を代表としてという言葉は後に山本寛本人のブログにて「当時関わったスタッフとして」という文言に訂正されている。
なお、京都アニメーションはこれを受けて「当社とは一切関係ない人の話です」とのコメントを出している。
このような騒動を経てDVDの売り上げはどうだったかと言うと・・・(当時はまだDVDが主流だったようでBDはBOXのみ発売で単品での販売はない)
涼宮ハルヒの憂鬱(2006) | ||||
巻数 | 初動 | 二週計 | 累計 | 補足 |
00巻 | 28,729 | 33,892 | 35,176 | |
01巻 | 30,927 | 34,529 | 36,095 | |
03巻 | 32,017 | 39,169 | 41,260 | |
04巻 | 34,205 | 38,789 | 40,343 | |
05巻 | 33,618 | 37,392 | 38,457 | |
06巻 | 31,859 | **,*** | 43,079 | |
07巻 | 38,728 | 43,360 | 44,899 | |
涼宮ハルヒの憂鬱(新アニメーション) | ||||
01巻 | 21,812 | 25,397 | 39,408 | |
02巻 | 14,104 | 17,739 | 19,145 | エンドレスエイト収録 |
03巻 | 12,708 | 15,682 | 16,216 | エンドレスエイト収録 |
04巻 | 12,278 | 14,743 | 15,438 | エンドレスエイト収録 |
05巻 | 11,965 | **,*** | 15,673 | エンドレスエイト収録 |
06巻 | 12,778 | 14,735 | 15,648 | |
07巻 | 12,320 | 14,500 | 14,991 | |
08巻 | 12,563 | 14,765 | 15,269 |
と、平均で4万枚以上を売り上げていたシリーズであるにも関わらずエンドレスエイト収録の巻から半分以下に落ち込む結果となってしまっている。
但し、エンドレスエイト終了後によって販売数も回復したわけではなく、Amazonのレビューを見ると2006年度版と新版(2009年度版)では評価が明らかに違う(2006年度版の方がかなり高評価)ので一概にエンドレスエイトで同じ話を繰り返したからとは言えない。
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最終更新:2024/11/25(月) 08:00
最終更新:2024/11/25(月) 07:00
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