オンライン安全法 単語

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オンライン安全法(おんらいんあんぜんほう / 英:Online Safety Act)とは、以下のことである。

  1. 英国2023年に制定された法律Online Safety Act 2023)。
  2. オーストラリア2021年に制定された法律Online Safety Act 2021)。
  3. スリランカ2024年に制定された法律

本記事では1.の英国で制定された法律について記述する

概要

2023年10月26日国王の勅許を得て可決され、2025年3月17日から本格的な施行が開始された。「性的虐待暴力」「自殺・自傷行為の助長」など、特に児童に対し有コンテンツ特定・軽減・管理させ、安全なオンライン環境を構築することを的としている。

この法律はあらゆるオンラインラットフォーム(ソーシャルメディア検索エンジンメッセージアプリなど)に対し、 有と判断されたコンテンツに対して措置を講じることを義務付けられている。 執行英国情報通信庁(The Office of Communications, 以下「Ofcom」とする)が担当する。

適用範囲

本法が適用される範囲は幅広く、条件は以下の通り。

また、これは英国以外の企業サイトや、英国以外にサーバーが設置されているサイトも対となり、更に規模や営利・非営利かも問わない。

主な業務

Ofcomは規制となるオンラインサービスを規模・力・リスクに基づいてカテゴリーに分類し評価、それぞれ異なる義務を課している。

カテゴリー1
大規模なユーザー生成コンテンツやその共有を可とするサービスが対で、拡散リスクが高く「重大な危リスク」と判断されている。X(Twitter)YouTubeなど、どのSNSや共有プラットフォームはこれに該当している可性が高い。Wikipediaもこのカテゴリーに属するとされている。
カテゴリー2A
英国提供される検索エンジンが対とされており、違法コンテンツや有コンテンツへのアクセスを容易にする可性が懸念されている。GoogleDuckDuckGoなど。
カテゴリー2B
カテゴリー1に該当しないユーザー生成コンテンツサービス全般。違法コンテンツ拡散リスクが低い、またはプラットフォームの構造上、危が限定される。LFGSSなどの小規模なフォーラム趣味コミュニティサイトブログなど。

2025年7月25日には、すべての対ラットフォームで厳格な年齢確認が法的に義務化された。これは未成年センシティブなコンテンツを表示させることを極力防ぐことができる一方で、顔認や身分明書の提出などの年齢確認を行わないと、センシティブなコンテンツの閲覧すら出来なくなってしまった。また個人情報保護の点などで様々な問題が摘されている(後述する問題点を参照)。

罰則

違反した場合、最大1,800ポンド(約33億円)、又は全世界売上の10のいずれか高い方の罰金を科される可性がある。

制定に至った背景

以前から英国は「オンライン防備な状態に置かれている」いうことが問題視されていた。Ofcomの調によれば、英国の8歳から14歳子供たちのうち8%が、過去1ヶ間にポルノサイトアプリを訪れていたと報告している。またEUデジタルサービス法(DSA)など、グロバルオンライン規制の動きに呼応し英国も独自の規制を整備する必要があった。

2017年に起きた14歳少女「モーリーラッセル」の自殺事件(彼女は生前Instagram自殺に関する投稿を閲覧していたことが発覚、父親は「Instagramの死を助した」と訴えている[1])など、実際に起きた事件も多少なりしているとされる。

問題点

この法律には制定される前から今日まで、様々な問題点が摘されている。

暗号化の弱体化、プライバシーの懸念
本法にはエンド・ツー・エンド暗号化されたメッセージスキャン事実上強制する条項が含まれており、例えば内部告発者やDV被害者など、暗号化に依存する人々の安全が脅かされると批判されている。WhatsAppSignalといった暗号化を底したメッセージアプリ運営は、英国からの撤退を示唆している。Wikipedia運営するウィキメディア財団は、ボランティア編集者のプライバシーや安全が脅かされるとして、法的異議を申し立てている[2]
小規模事業者への過度な負担
本法は小規模のサイトも対としそれらにもフィルター年齢確認機を要請しているため、サイト運営者は技術的な課題を抱えることとなった。サイクリスト向けコミュニティサイトLFGSS」の運営者は、コストと労力の負担からサイト閉鎖を決めたと述べている[3]
個人情報管理の問題
2025年7月センシティブなコンテンツを閲覧する際に年齢確認を行うことが義務化されたが、英国紳士淑女らからはこれに抵抗するが相次いだ。中にはVPNを利用して制限を回避しようと試みる者も存在し、スイスIT企業であるProton AGは自社のサービスProton VPN」の登録者数が1,400以上急増したことを報告した[4]どのアダルトサイト広告収入で運営されており、その広告には詐欺まがいのものも多い。その広告を扱うようなサイトに、個人情報を管理できるとは思えない・信用できない、というのが本音である。
表現・言論の自由の侵に関する懸念
違法または有とされるコンテンツ削除や非開をめる一方で、「有」の定義が曖昧であるため、過剰な検閲言論の自由の制限につながる恐れがあるとしている。電子フロンティア財団(EFF)はこの法律インターネット全体の検閲を強化し、ユーザーとプラットフォーム双方に不明確な要を課すと非難している。
も巻き込まれることに対する不満
先述した通り本法は条件を満たせば英国以外の企業サイトや、英国以外にサーバーが設置されているサイトも遵守しなければならない。特にGAFAなど大企業を抱える米国からの不満のは多い。

関連動画

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *「インスタグラムが14歳の娘の自殺を幇助した」父親が死のアルゴリズム撤廃を訴え(木村正人) - エキスパート - Yahoo!ニュースexit
  2. *英国「オンライン安全法」をウィキペディアが提訴、「編集者を危険にさらす」と反発 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)exit
  3. *LFGSS and Microcosm shutting down 16th March 2025 (the day before the Online Safety Act is enforced) | LFGSSexit
  4. *イギリスでもネットサービスのユーザー年齢確認義務がスタートしVPNサービス登録者数が1400%に増加 - GIGAZINEexit
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