ギニア共和国とは (ギニアキョウワコクとは) [単語記事]

基礎データ
正式名称	ギニア共和国 Répu bl ique de Guinée
国旗
国歌	Liberté（自由）
公用語	フランス語
首都	コナクリ（Conakry）
面積	245,857 km²（世界第75位）
人口（’18）	約1241万人
通貨	ギニア・フラン（GNF）

ギニア（Guinée）とはアフリカ大陸の西の端っこにある国。

概要

正式名称は「ギニア共和国」で、単に「ギニア」では周辺地域全体を指すこともあり、周辺には他にもギニアビサウ、赤道ギニアとギニアの名前を冠する国が2つある。

北東にはマリ、北にはセネガル、北西にはギニアビサウ、南西にシエラレオネ、南にリベリア、南東にコートジボワールと国境を接し、西は大西洋に面している。面積は日本の本州とだいたい同じぐらい。

アフリカの貧しい発展途上国のひとつ。かつてはフランスの植民地で「フランス領西アフリカ」と呼ばれていた。そのため現在もフランス語が公用語。国民の大半はイスラム教徒。

鉱物資源が豊富な国であり、特にボーキサイトは世界の1/3の埋蔵量を誇る。金も豊富で、この2つの輸出がギニア経済の柱。しかしインフラ整備の遅れや政治的な不安定さで経済開発が遅れており、その一方でこの50年で人口が4倍近くまで増えているため（1963年：335万人→2018年：1241万人）、貧困層が多い。土壌も肥沃で人口の8割が農業に従事しているのだが、主要農産物であるはずの米の輸入が多いなど食糧自給ができていない状態にある。2014年からはエボラ出血熱が流行し経済的にも打撃を蒙ったりしている（2015年に終息宣言）。

政治的にも大統領選挙の結果を巡って暴動が起きたり、大統領の私邸にロケット砲が撃ちこまれたりしており、安定しているとは言い難い。暴動やクーデターは起こるものの大きな内戦は一度も起きておらず、現在も国境付近以外の治安はそこまで悪くはないようだが、にも関わらず脆弱国家ランキングのベスト20常連（2019年は11位）というあたり、ギニアの抱える問題の根は深い。脆弱国家ランキングの採点を見ると、やはり国内政治に関する部分の採点が特に際だって悪いようだ。まあ大統領が死ぬたびにクーデターが起こる国だし……。

日本では『笑っていいとも！』などに出演していたタレント、オスマン・サンコンが最も馴染み深いギニア人であろう。在留邦人は非常に少ないが（というか在留外国人自体が少ないらしい）、東部のニンバ山では京都大学霊長類研究所が30年以上にわたってチンパンジーの共同研究をしている。

歴史

1958年にセク・トゥーレ初代大統領いわく「隷属の下での豊かさよりも、自由のもとでの貧困を選ぶ」として、「ギニア共和国」としてフランスから独立。しかしフランスがこれに対して植民地政府の職員や技術者を全部引き上げてしまったため行政機能が麻痺してしまう。これによりフランスとの関係は悪化して断交状態になった（1975年に国交回復）。トゥーレ大統領は旧ソ連ら社会主義諸国に接近し、社会主義体制で独裁政治を敷いたが、暴政や経済的混乱で国民の4割が難民として国を脱出したとかなんとか。1978年には「ギニア人民革命共和国」に国名を変更した。

1984年にトゥーレの死去に伴って無血クーデターが起き、ランサナ・コンテ大佐が大統領に就任、国名を「ギニア共和国」に戻す。コンテは社会主義体制を改めて自由主義への移行を進めた。複数政党制の導入、大統領選挙の実施など民主化も進めたが、事実上はコンテ率いる統一進歩党の一党独裁であり、コンテは2008年に死去するまで24年に渡って大統領を務めた。

2006年頃から政治腐敗や経済の悪化でゼネストが決行されるなど本格的に政情不安定となり、2008年にコンテ大統領が死去すると、ムーサ・ダディ・カマラ大尉がクーデターを起こして暫定軍事政権が樹立。暫定大統領となったカマラ大尉は前政権の腐敗の一掃を目指し、2010年に大統領選挙を実施すると宣言、自身の出馬を表明していたが、2009年 9月、この軍事政権に抗議する野党のデモに軍が発砲、150人を超える死者を出す。12月にはカマラ暗殺未遂事件が起き、カマラは頭を撃たれて重傷を負い事実上亡命した格好になる。

それでも大統領選挙は2010年 6月にちゃんと実施され、カマラの軍事政権に批判的だった野党指導者のアルファ・コンデと、コンテ政権で首相を務めていたセル・ダーレン・ディアロの決戦投票の結果、コンデが僅差で当選して（ディアロ派の暴動なども起こりつつ）第4代大統領に就任。2013年には議会選挙が行われ、コンデ大統領が党首のギニア人民連合が与党、ディアロが党首のギニア民主勢力連合が野党第一党となった。コンデ大統領は2015年の大統領選で再選されている。