ストライカー(Stryker)とは、アメリカ陸軍の装輪装甲車ファミリーである。
スイス・モワグ社の装輪装甲車ピラーニャのカナダ向けモデル(LAV-III)をベースに開発され、後述する様に多数の派生型がある。
なお、名称の『ストライカー』は戦死後に議会名誉勲章を受章した2名の米兵の名字から採られている。
基本型で乗員2名+歩兵9名を搭乗させる。武装としてRWS(遠隔操作式銃座)が備えられ、12.7㎜重機関銃M2、40㎜MK.19グレネードランチャー、7.62㎜汎用機関銃M240のいずれかを選択できる。
防御力は鋼板+セラミック系の複合装甲を使用するが重機関銃弾or砲弾片に耐えられる程度。
但し追加装甲の装着も可能ではあるが空輸時の装着は不可。
偵察車仕様でTVカメラ+赤外線センサー+レーザー測定器を纏めた『LRAS3』複合センサーを備えている。これと引き換えに歩兵の搭乗数は5名に減らされ、銃座も有人式になっている。
突撃砲仕様。後部キャビンに105ミリ低反動ライフル砲を装備しており、2007年より実戦配備が開始されている。車体装甲は兵員輸送型と同様なので、重機関銃弾の直撃を防ぐ程度である。重量が20トンを超えるので、C-130に搭載する場合は装備の一部を外して別便で送ることになる。[1]
搭載している105ミリ砲や機関銃(12.7ミリと7.62ミリを装備)で、ストライカーから下車して戦闘する歩兵を射撃支援するのが主目的で、対戦車戦闘は想定していない。[2]
ところが運用実績が芳しくなかった事からアメリカ軍は本型を2023年に退役させることを決定している。
自走迫撃砲仕様で車内に120㎜迫撃砲を搭載。試作型では車外に迫撃砲を出さなければ射撃ができなかったがイスラエル製の反動軽減機能付迫撃砲システムの採用で車内射撃が可能になった。
なお、必要に応じて81㎜、60㎜迫撃砲を車外牽引で輸送することもある。
歩兵戦闘車仕様で大型RWS式30㎜機関砲を装備。砲塔内に照準機や弾薬類を纏めた結果、M1126と同数の搭乗歩兵を確保した。
MSLは純粋な自走式地対空ミサイル発射機で兵員室部分を荷台化し、その部分に8連装発射機を装備している。この発射機はAIM-9、FIM-92といった近距離対空ミサイルに加え、AGM-114対戦車ミサイルにも対応している=防空+対地戦闘の双方に対応できる。
IM-SHORADは車体構造を改造せずRWS方式を採用しFIM-92発射機(4連装)+30㎜機関砲&7.62㎜同軸機関銃+AGM-114発射機(2連装)とミサイルを削減するのと引き換えにMSLより多用途性を持たされている。
この型が開発されたのは無人航空機の軍事利用が進んだことにより地対空戦闘の需要が高まったことが大きい。
1990年代、アメリカ陸軍は湾岸戦争以後、ソマリア内乱(モガディシュの戦い)など数々の地域紛争を経験することになる。そこで求められたのは従来の緊急展開部隊(軽歩兵)より重装甲・重火力で、かつ、従来の機甲部隊より戦場への展開能力に優れた部隊だった。
1999年アメリカ陸軍が発表した再編成(トランスフォーメーション)の一環として、エリック・シンセキ将軍が提唱したのがストライカー旅団戦闘団(SBCT)構想であり、C-130などで空輸可能なサイズの装輪装甲車をベースとし各種バリエーションによる車両を備え、従来の緊急展開部隊(軽歩兵)に対して装甲・火力・そしてRMAの一環としてC4Iなどのネットワーク能力を付与することが構想の中核だった。
その構想に基づき開発されたのがストライカー装甲車ファミリーである。
鳴り物入りで導入されたストライカー旅団(SBCT)だったが、エリック・シンセキ将軍が唱えた構想からは幾分外れてイラク戦争に投入される破目になる。
シンセキ将軍の当初の意図は、当時アメリカ陸軍に足りなかった機動力と装甲を兼ね備え、かつネットワークで統合した諸兵科連合(コンバインド・アームズ)化された部隊(戦闘団)という柔軟性のある部隊を持つことで、従来の機甲部隊・歩兵部隊を補完することが目的であって従来の兵力を置き換えるためではなかった。
ところが、時の国防長官ラムズフェルドがこの運用を勘違いし、高度なネットワークによるRMA化された部隊としてストライカー旅団を考えたふしがある。RMA、つまりネットワーク技術で敵兵力に対して兵力を集中できるなら、その持ちうる兵力はきわめて限られた少数精鋭でよい…とでも考えていたのだろうか。
結論から言うと、イラク戦争以後のストライカー旅団は苦戦しているといってもいい。
理由は簡単で、C-130に積めるという条件のためか装甲は薄い装輪装甲車であることには代わりが無く、現地のゲリラ組織が使うようなRPG-7や、IED(即席爆発装置)に耐えられるだけの装甲ではないため、スラット装甲と呼ばれる鳥かご網のようなシロモノや追加装甲を付け加える必要が生じる。
また駆動装置がタイヤ式であるため、その使い勝手は良いが、道路が整備されていない地域では地形によって路肩外走行に制限が加わる可能性がある。各車両間を結ぶネットワーク技術があっても、対テロ・対ゲリラに対しては決して有効的ではないことが現地での戦いぶりからも明らかになっている。
当初、カナダ軍もSBCT構想を踏まえて自国の戦車を撤廃、ストライカーMGSに代替する計画もあったがイラク戦争以後の戦訓を踏まえてこれを撤回。レオパルド2を導入しているケースもある。
ただしこれはSBCT構想の限界というわけではなく、投入された戦場が向いていなかったというだけで、本来は紛争地域などにすばやく兵力を展開することが目的であり、そこで腰をすえて戦うような部隊ではないのだ。当の構想者であるシンセキ将軍は、ラムズフェルド国防長官のイラク戦争に伴う少数の部隊のみの投入に反対していたことも触れておきたい。(結果的に占領以後の混乱をみていると十分な兵力投入を唱えたシンセキ将軍の見識が正しかったといえるだろう)
掲示板
48 ななしのよっしん
2024/12/26(木) 10:26:50 ID: wYd9ix7JGN
兵員輸送車の方はもとより特に問題無いというかピラーニャだしなあれ
49 ななしのよっしん
2024/12/28(土) 21:21:44 ID: gyLVxSDw8n
ストライカーMGSは16式とかチェンタウロと違って、本質的にはタイヤの付いた自走砲だからな
ストライカーシリーズと車体共通化せずにしっかり装甲化してたら普通にまだ使われてたと思うよ(もはやストライカーじゃないしC-130で運べないって突っ込みは無しで)
50 ななしのよっしん
2025/03/08(土) 22:20:47 ID: x0+5MikG6S
この種の頭上砲や無人砲塔は、前方投影面積の少なさよりも、使いにくさの方がやっぱり勝るってことか
砲弾を入れ替えたり、砲周りのトラブル排除でいちいち生身を晒さなきゃならんのはキツい
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最終更新:2025/04/26(土) 23:00
最終更新:2025/04/26(土) 23:00
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