スペクトル型とは、恒星が放つスペクトルによって分類したものである。アルファベット(及び数字)で表され、大ざっぱに言えば色の目安となる。覚え方が非常にセクハラであることで有名。
夜空に輝く恒星は様々な色をしているが、その光をプリズムに通すと、太陽(こいつも恒星である)の光と同じように虹色に分かれる。しかしその虹色に分かれた光(スペクトル)を良く見ると、肉眼で見える色を反映して赤が強かったり、青が強かったり、特定の色が見えなかったりする。
このスペクトルで恒星を分類することを「スペクトル分類」と言って、分類された個々のタイプを大文字のアルファベットで表したものが「スペクトル型」と呼ばれる。なお星が発する色はその表面温度に依存するので、スペクトル型は温度の目安にもなる。ちなみに青い星ほど高温で、赤い星は(比較的)低温。
現在使われている主なスペクトル型は以下のとおり。表では温度を絶対温度のK(読み方はケルビン、摂氏℃に約273.15を加えるとKの値になる)で表している。
スペクトル型 | O | B | A | F | G | K | M | L | T | Y |
色 | 青 | 青白 | 白 | 黄白 | 黄 | 橙 | 赤 | 赤黒 | 赤外 | 赤外 |
温度上限 (K) | 5万 | 3万 | 1万 | 7500 | 6000 | 5200 | 3700 | 2500 | 1300 | 600 |
OBAFGKMまでは主系列星(普通に核融合反応で輝いている恒星)であり長年使われてきた。残りは後から導入されたスペクトル型で、Lは質量が小さくてとても暗い主系列星の「赤色矮星」、TYはそれより小さいため核融合が途中で止まってしまい、余熱でくすぶってる「褐色矮星」である。
この他、特殊なスペクトルを示すタイプとしてCやSなどが存在する。
それぞれのスペクトル型は0(高温)から9(低温)まで細分されている。参考までに、太陽はG2、シリウスはA1、リゲルはB8、ベテルギウスはM2。
また、ローマ数字+小文字アルファベット(Ia, Ib, II, ... V など)を添えることで恒星の絶対的な明るさを分類する光度階級というものがあり、スペクトル型と光度階級を組み合わせた表記をMK分類という。太陽はG2V(スペクトル型がG2で光度階級はV=普通の主系列星)となる。
最初にアルファベットを付けたのはハーバード大学のエドワード・ピッカリングという天文学者。この人は計算とデータ整理のために女性ばかりを80人以上雇っていてハーレム状態(←マジでこう呼ばれた)だったことで有名。
ピッカリングたちは1880年代から色々な恒星のスペクトルを撮影して分類を試みたのが、このときにスペクトルの形をとにかく細かく分けることにこだわって、AからQまでのスペクトル型を設けた。
しかし女性天文学者の一人アニー・キャノンは分類をもっと扱いやすくするために最低限必要な型だけを取りだし、順番も見直した結果OBAFGKMの順番が1912年ごろに完成したのである。
成立の経緯を反映してなのかどうかは分からないが、成立後まもなく次のような覚え方が考案された。
頭文字を読めばちゃんとOBAFGKMになっている。ド定番の語呂合わせとして瞬く間に広まった。
さすがにこれではあんまりなので、色々な代替案が提唱されている。が、そこまで定着していない。
Oh, Be A Fine Guy, Kiss Me!
おお、いい漢でいてくれ、キスしてちょうだい!
Only Boys Accepting Feminism Get Kissed Meaningfully.
フェミニズムを受け入れる男子だけが意味あるキスをもらえる。
Only Boring Astronomers Find Gratification Knowing Mnemonics.
つまらん天文学者だけだよ、語呂合わせを知って満足するのは。
OBA FuGu KaMu(叔母 河豚 噛む)を提案した人がいる。別の意味で危ない。
LTYが使われるようになったのが比較的新しいので、あまり定番と言える覚え方は存在しない。だがKM系列の特殊な型としてRとNというスペクトルがかつて使われており(現在では統合されてNとなっている)、こちらはばっちり取り込まれていた。
Oh, Be A Fine Girl, Kiss Me Right Now!
おお、いい娘でいてくれ、今すぐキスしてちょうだい!
セクハラが加速してしまう。
さらに、特殊なスペクトル型としてSというのが存在する。これも組み込まれた。
Oh, Be A Fine Girl, Kiss Me Right Now, Smack!
おお、いい娘でいてくれ、今すぐキスしてちょうだい……
やったッ!! さすが天文学者!
おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!
そこにシビれる!あこがれるゥ!
掲示板
2 ななしのよっしん
2019/08/31(土) 08:37:45 ID: SQCG21g699
所謂宇宙人が来ない理由を太陽のスペクトル型の低さが原因の一つという風には考えられない?
どうしても地球がハビタブルゾーンなんだからそこに目を付ける宇宙人は多い筈という推測しがちだが、
G2V型というのは恒星としては発するエネルギーが割かし少なめで太陽の大きさ的にもフラックスは小さい
ステファンボルツマン則ではE∝σT^4で輻射エネルギーは温度の四乗に比例している
つまり表面温度の高くスケールも大きい恒星の方が一般にエネルギー放射量は高い。
恒星間航行能力を有した航宙船舶などはその駆動エネルギー充填の為によりエネルギー質の高い恒星目掛けて移動を繰り返しているのではないかと予想される訳で、
そうすると青色巨星ような恒星がそれに適した環境であると思われるから、太陽のような恒星の輻射エネルギーを利用する為に接近するとは中々考えにくい
後進文明の侵略を目的とするならば話は別かも知れないが少なくとも物理エネルギー的な旨味は銀河系では相対的に考えても太陽系には乏しいと考えるしかない
3 ななしのよっしん
2021/09/15(水) 13:58:11 ID: aNbeV8LFLi
叔母フグ噛むは覚えやすくていいな、まさに探してたんだ(ダイソンスフィア組み立てながら)
4 ななしのよっしん
2022/12/13(火) 18:01:31 ID: uXxcPjSzu4
Elite dangerousというゲームで恒星から給油する装置があるのだが、立ち寄った恒星が給油可能かどうかを判別するのにこの語呂合わせを覚えたのを思い出した。運悪く主系列星以外に連続でワープしてしまうと燃料が補給できず、燃料切れしてしまうので地味に重要なのだ。
急上昇ワード改
最終更新:2025/02/11(火) 18:00
最終更新:2025/02/11(火) 18:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。