トリケラトプスとは、白亜紀に生息していた恐竜の一種である。
名前の意味は「三本角の顔」。
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目 | 鳥盤目 |
亜目 | 周飾頭亜目 |
下目 | 角竜下目 |
科 | ケラトプス科 |
亜科 | カスモサウルス亜科 |
属 | トリケラトプス属 Triceratops |
種 | T.ホリドゥス T. horridus T.プロルスス(?) T. prorsus(?) |
同時代・同地域から見つかる植物食恐竜はほとんどトリケラトプスばかりである。全長は約9m、推定体重は約5~9tでアフリカゾウと同じくらい。
肉食恐竜の代表的存在がティラノサウルス(ティラノサウルスは恐竜そのものの代表的存在としても扱われるが)なら、植物食恐竜のそれはトリケラトプスだと言われるくらい有名で人気の高い恐竜である。
「ジュラシック・パーク」の登場人物が言う「子供の頃から、一番好きだった恐竜だ」というセリフを覚えている方も多いのではないだろうか。
1887年に目の上の角が発見されたが、化石を任されたオスニエル・チャールズ・マーシュは当初これをもっと新しい時代の巨大なバイソンと考えビソン・アルティコルニスとして記載した。その後1889年に、改めてトリケラトプスとして記載し直された。
その後も主に頑丈な頭骨の化石が多く発見されたが、胴体が全身残った化石は非常にまれで近年まで完全に揃うことはなかった。
右半身が完全に関節したまま保存された化石がノースダコタ州で発見され、「レイモンド」という愛称が付けられた。現在レイモンドは国立科学博物館に展示されている。国内では他に東海大学自然史博物館や豊橋市自然史博物館などで復元骨格が見られる。
大型角竜としては標準的な、大きな頭部と丸みを帯びた胴体をしている。
最も目を引くのは2.5mにもなる頭部の、大きなフリルと角である。
角の基部は太くて頭骨の他の部分と滑らかにつながっていた。目の上の2本は大きいものでは長さ1.8mに達していた。生前は角質により骨の芯よりさらに大きくなっていただろう。鼻の上の角は小さい。刺し貫く時にかかるような軸方向の力よりは横に曲げるような力に強く、横に振り回したり同種の角と突き合せて使うことが多かったかもしれない。実際、2頭が角をからませたときに角が当たるような位置に多く傷跡が見つかっている。
ただし角の形は円錐形で突き上げる・突き刺す攻撃方法にも向いており、実際この角で貫かれたティラノサウルスの肋骨や脚の骨の化石が見付かっている。
幼いうちは角はごく短く、上向きに反って伸びていくが、さらに成長すると角が前に倒れていき、ごくゆるく波打った形状で成長完了となった。
古い恐竜本ではこの角でもって「肉食恐竜に向かって突進攻撃をした」「衝撃は強靭な顎と首の筋肉が保護した」という記述が割とあるが、近年では「トリケラトプスが全速力でそんな事をしたら間違いなく首や顎の骨がバラバラに折れる」という計算がなされ、低速移動での戦いが主だったとされる。ちなみに推定走行スピードは時速24km~40km程度であるとされる。
フリルは大型角竜としては体の割にあまり大きくなく、丸い形をしていて穴は開いていなかった。他の角竜のフリルの骨に一対の穴が開いており、特にトリケラトプスの近縁種のフリルが大きな穴の開いた縦長なものだったことを考えると例外的な形態である。ティラノサウルスの歯型がついたフリルも見つかっており、なんらかの闘争の痕跡かもしれない。
近年、トリケラトプスとよく似ているが穴が開いた縦長のフリルが特徴であるとされていたトロサウルスが、トリケラトプスの老成したものであるとする研究結果が発表された。トリケラトプスのほうも成長するにしたがってフリルの穴にあたる部分が薄くなることが分かっている。
このことから「トリケラトプスという名前はトロサウルスの子供として消されることになる」という報道が一部で見られたがこれは誤りであり、実際にトロサウルスとトリケラトプスが同じ属だったとしても国際命名規約により2年先に名付けられたトリケラトプスの名前が残る。またフリルの縁の棘などの違い、トリケラトプスとトロサウルスの中間が見つかっていないことによりやはり両者は別属ではないかという意見が優勢となってきた。
フリルと角のどちらにも太い血管の痕跡が見つかっている。表面を覆う角質に栄養を送って分厚く成長させたり、フリルに風や日光を当てて体温調節をするためのものと考えられる。
また頭骨全体が非常に個体差・年齢差が激しく、かつてはその違いが種による違いと考えられていたため、十数種にまで細分されていた。現在ではホリドゥス種1種、またはプロルスス種を加えて2種にまとめられている。幼体では角だけでなくフリルも小さかった。
口は先端が歯のない曲がったクチバシになっていて、大量の奥歯(ほとんどは予備)はすり潰すというより切り刻むのに適した形態だった。また咬筋もとても発達しており、かなり硬いものでも噛み千切ることができた。
四肢はしっかりとしたものだったが太短いわけではなく、ある程度走行にも適していた。爪は蹄である。
前肢は後肢の半分ほどの長さで、口を低く保っていた。もし手の甲を他の動物のように前に向けていたとすると、関節の構造は肘を左右に張り出して這いつくばった姿勢に沿っているのだが、足跡化石を見ると左右の手の間隔は胴体の幅と変わらず、脚を真っ直ぐ下に降ろす姿勢に沿っている。
この矛盾により前肢がどのような姿勢か議論されていたのだが、上で紹介した「レイモンド」により、生前は「小さく前にならえ」のような姿勢で肘を胴体にひきつけ、手の甲を外に向けていたことが判明した。この姿勢でも前肢のうち発達していた第1~第3指は前を向いていて歩くのに不都合はなかった。また上半身を左右に方向転換するのにも向いている。
骨盤は幅広く、後半身全体を覆っていた。尾は恐竜としては短い。
ごく近縁な角竜では同一種の化石ばかりが大量に密集したいわゆる「ボーンベッド」が見つかっているが、トリケラトプスでは亜成体3体分がまとまった例一つしかない。
化石に含まれる酸素同位体の存在比率は、植物食動物よりは雑食動物に近い。
ボーンベッドが見つかっている近縁種は現在のウシ科の草食獣やトナカイ、ヘラジカのように、群れを成して生活していたと考えられるが、ボーンベッドの少ないトリケラトプスは群れを成す習性はそこまで強くなかったかもしれない。しかし1例だけとはいえまとまって見つかった例はあるので、群れを成さなかったとは言いづらい。
角やフリルは個体を見分けたり、性成熟していることや同種内で優位であることのアピール、順位や配偶者獲得権をめぐる闘争、捕食者の撃退に用いられただろう。生前は派手な模様があった可能性もある。
主食は高いところにある木の葉ではなく地表の植物だった。他の植物食恐竜と比べ硬いものを食べることができたと考えられる。また植物だけでなくときには恐竜の死体なども食べた雑食性恐竜であったかもしれない。
分類:基盤的角竜類 全長:1.2m 時代:ジュラ紀後期 地域:中国 意味:「隠された龍」
非常に原始的な角竜で、小さな頭などは原始的な鳥脚類に似ているが、とがったクチバシや強力な咬筋など角竜特有の特徴を頭骨に備えていた。二足歩行と考えられることが多いが、短い尾ではバランスが取れず、すでに四足歩行だったかもしれない。
分類:プシッタコサウルス科 全長:1~2m 時代:白亜紀後期 地域:モンゴル 意味:「オウムトカゲ」
初期の角竜から二足歩行のまま独自の路線を辿ったグループ。過去にはこの恐竜がより派生的な角竜の祖先とされていたが、前肢の第四・第五指がないなどの特徴から否定された。
強力なクチバシや左右に張り出した頬骨などは他の角竜と共通。頭骨全体が丸みを帯びている。尾に長い剛毛状の羽毛らしきものの痕跡が残った化石や、腹部に胃石が残った化石、34体以上もの幼体を守った状態の化石などが見つかっている。
分類:ネオケラトプシア アーケオケラトプス科 全長:1m 時代:白亜紀前期 地域:中国 意味:「古代の角のある顔」
体形はインロンやプシッタコサウルスと似ているがごく小さなフリルがあり、前肢はやや長かった。クチバシの部分にも歯が残っている。
分類:ネオケラトプシア コロノサウリア プロトケラトプス科 全長:2m 時代:白亜紀後期 地域:モンゴル 意味:「初期の角のある顔」
ケラトプス科の祖先と分岐して小型恐竜として繁栄したもの。四足歩行で、角はないがフリルは発達していた。群れで生活していたと考えられる。また尾が縦に平たく、これを尾鰭にして泳ぐ半水性だったという説もあるが、むしろ乾燥した地域だった地層から発掘される。
非常に多く化石が見付かるため、「モンゴルの羊」等と呼ばれたりしていた。
分類:ケラトプス上科ケラトプス科セントロサウルス亜科 全長:6m 時代:白亜紀後期 地域:北米 意味:「トゲのあるトカゲ」
トリケラトプスと違い鼻の上の一本角が発達したセントロサウルス亜科の角竜。フリルの縁からも3対の長い角が放射状に伸びて、非常に派手で独特な外見になっている。鼻孔が丸く大きいのも特徴。
分類:ケラトプス上科ケラトプス科セントロサウルス亜科 全長:6m 時代:白亜紀後期 地域:北米 意味:「太い鼻のトカゲ」
セントロサウルス亜科は鼻の上の角が次第に前向きに曲がり、さらに一部はこのパキリノサウルスのように角が分厚い骨のこぶに変わるという進化を辿った。個体差が大きいが額から3本の角、フリルからツインテールのような角が生えており個体や種によってはとても派手だった。
分類:ケラトプス上科ケラトプス科カスモサウルス亜科 全長:5~6m 時代:白亜紀後期 地域:北米 意味:「裂けたトカゲ」
トリケラトプスの近縁種だが、フリルは長方形の非常に縦長なもので骨の開口部が大きかった。
よく似た近縁種のアンキケラトプスやペンタケラトプスはトリケラトプス同様目の上の角が長かったが、カスモサウルスは目の上の角も鼻の上の角と同じように短かった。
映画「ジュラシックパーク」の1シーンから。非常に有名な恐竜なのでメディアへの露出も多い。
二足歩行を保ったプシッタコサウルス。尾に剛毛の痕跡のある化石が見つかった。これは原羽毛と呼ばれる単純な羽毛かもしれず、確定すればどのグループの恐竜にも羽毛があった可能性が出てくる。
知名度と親しみやすいフォルムにより、精巧な骨格模型から日用品のようなものまでたくさんのグッズが出ている。
掲示板
49 ななしのよっしん
2022/03/12(土) 18:28:13 ID: Oaw+Q2KnI8
>>47
初めて聞いた時は何故トリケラトプスなんだよ思ったわw
現生鳥類はみんな竜盤目(獣脚類)の末裔だけど、トリケラトプスは鳥盤目(全て絶滅済み)で最も進化した最後の種って扱いなのか?
50 ななしのよっしん
2023/12/29(金) 02:46:57 ID: b466FB7bOk
最新の研究では、皮膚の化石が発見され
背 中 に 複 数 の 小 さ い ト ゲ が 生 え て い た
説が出てきてるらしい(これがマジなら全身フル武装)
突進と頭骨の粉砕云々に関しても
・他の人たちの仰るように、肉や関節がクッション
・相手が壁ではなくティラノ
・フルスピードではなく、ドシドシ踏み鳴らしながら威嚇で進む系の突進でも十分戦える
ただ同時に「三半規管が弱く、それゆえ機敏な動きはできない」というデバフも発見されたらしいが
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
51 ななしのよっしん
2024/12/01(日) 11:41:40 ID: yARPK51A+6
機敏に動けなくても、どっしり構えつつ頭を振り回すだけでも十分威嚇や牽制になりそうだからね
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/22(土) 23:00
最終更新:2025/03/22(土) 23:00
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