グルーヴ(GROOV)とは、ヨメガが販売するヨーヨーの名である。
みなさん、ハイパーヨーヨーってかっこよかったですね?
ファイヤーボール、ハイパーブレイン、ステルスレイダー。ヨメガ機は最高でしたね?
そして、かのヨメガが、2年以上の開発期間を経て、満を持して金属製機種を出したのです!
おまけストリング5本(もちろん本体にも1本つき)、ベアリングを外すカギ、新感覚エクストリームプレイ用カウンターウェイトに、よりレベルアップしたプレイのための特別製ベアリングまで付属!
それで、お値段! たったの! 3000円! ハイパーレイダーより2000円も安い超特価!
カラーは2色のみですが、インクを飛び散らせたような、流行のスプラッシュカラー。「スプラトゥーン」みたいでかっこいいでしょ?
かの「ハイパーヨーヨー」から、20年の時を越え進化したヨーヨーを、お手頃価格でお求めになりたいなら! 「グルーヴ」がおすすめです!
…なんて、「いかがでしたか?」系ステマサイトのような宣伝をされたら、逆にうさんくさいと思うかもしれない。
しかし、「グルーヴ」の売り文句は(多少大げさながら)上記の通りなので、これで欲しいと思った人はポチる準備を始めるべきである。しかし、ヨーヨーを多少なりとも知っている人からは、以下のことを言われるだろうから、本当にポチるのは最後まで読んでからでも遅くはないだろう。
現在はヨーヨー専門店というものがあり、本当の意味で最新のヨーヨーを取り扱っているが、そこで本機は扱われていない。それどころか、「ヨメガの金属ヨーヨーありますか?」と訊いても、「いや、ヨメガは今ストリング機それほどでもなくて(婉曲表現)、それよりもこっちがおすすめですよ!」と言われて出されるのは、おそらく
こんなやつである。「いや、金属のが欲しいんですけど」と言っても、「いやー、金属のは特殊な技が必要な上級者向けのやつでして、まああえておすすめするのは…」と言いつつ
こんなんを出してくる(ちなみに右なら「特殊な技」は必要ない)。
なんだよヨーヨーファクトリーって! スピンギアってベイブレードのパーツじゃねえか!
こんな得体の知れないメーカーより、ヨメガの方がいいに決まってる!
…とか言い出したら立派な老害である。店員さんのおすすめの方が正しいので、よっぽどのこだわりがない限り初心者もしくはハイパーヨーヨーのみの経験者は従った方がよい(詳細はAmazon当該ページか、下記の「関連機種」から飛べる個別記事へ)。
しかし、「よっぽどのこだわり」があれば、話は別である。
ヨメガはかっこいい。最近のヨーヨーはメタルでかっこいい。
ヨメガのメタルはダブルでかっこいいに決まっている。
おすすめを無視して自分の思い込みでモノを買うのも、また消費者の権利である。
しかしながらその前に、ヨメガストリング機の歴史をおさらいしよう。
ヨメガのストリングトリック機は、この20年迷走と爆死の歴史であり、ニコニコ大百科のみならずVIPヨーヨーWikiを見ても、アニヲタWikiを見ても、やる夫スレを見てすら、「ヨメガは買うな!」の大合唱を見ることができる。
実は、20年前に一世を風靡した「ステルスレイダー」も、(後付けの知識では)ストリングヨーヨーとしては失敗作だった。それを払拭すべく奮闘したのだが、新作を出すたびに奇をてらっては、「余計なことすんな!」とユーザーに怒られ、それでも主要3機種(「ヨメガ・ファイヤーボール」「ヨメガ・ブレイン」「ヨメガ・レイダー」)はコンスタントに売れ続けたので、つぶれはせずに今日までやってきた。
2000年代のヨメガは、新ギミックを搭載した機種を多数用意したが、すべてそっぽを向かれた。
2010年代のヨメガは、主要顧客が子どもであるという原点に立ち返り、「ファイヤーボール」「レイダー」以外トーナメント機種を切り捨てて遊び心ある機種を開発したが、これはという売れ筋が作れずにいた。
2020年代のヨメガは、(一部パーツを除き)ヨーヨーショップに卸すのをやめて在庫限りとし、Amazon専売となった。その上で、かつてのヨメガを知っている人がAmazonを見たら欲しくなるヨーヨーを模索し始めていた。
ラインナップは最小限に絞り、主要3機種と既存の中では売れている一部機種。新作は「ヨメガ・マグネター」(日本未発売)のみ。これを見た一般ユーザーは、ヨメガは業務を縮小するつもりであると考え、ページに「プロレベル」と称して名前だけ載っている「グルーヴ」と「グライドXP」は企画倒れで終わってもおかしくないと思われていた。よしんば発売されたとしても、「マグネター」と同じく日本には来ないだろうとも。
しかし、2020年11月、何の奇跡かこの2機種は販売にこぎ着けることができた。しかも、2021年春頃からは日本でも無事販売されたのである。
ヨメガのストリング機は、重すぎたり軽すぎたり、謎の新ギミックを搭載したり、特異なサイズのベアリングを使ったりしてことごとく爆死していった。
「グルーヴ」は、余計なことをしていない。ちょっと重めだが、80g近い腕破壊ヨーヨーを作っていた頃とは比べるべくもないし、軸周りもレスポンスも一般的なメタルヨーヨーと同じで、変なギミックもない。
小さめの直径と、リムが丸いせいで有効幅が稼げていない形状に時代遅れ感はあるが、きちんとローエッジ構造になっており、懐かしさはありながらも操作性に関わる部分は最新の理論に則っている。
この手の引き戻しメタルは他メーカーからも販売されているものの(ヨーヨーファクトリー・コンフュージョンなど)、懐古趣味を兼ねて、ストリングがボディに当たりやすい「ハイエッジ」という構造を持っているものが多い。上級者は懐かしさとチャレンジ精神をかき立てられるが、本機の想定しているユーザーは「ハイパーヨーヨーだったヨメガが進化した姿」が見たいのである。ローエッジ構造は必然といえた。
つまりは、持ちやすい。安定して投げられる。スリープロスしにくい。手に当たっても痛くない。メタルヨーヨー初心者にうれしい機能がそつなく揃っている優等生モデルである。
前述の通り、ヨメガからは同時に「グライドXP」が販売されているが、こちらは2010年代のトレンドをそつなく集めたモデルである。競技性としてはこちらに分があるが、ハイパーヨーヨーから一足飛びに現代ヨーヨーに移行するプレイヤーには、妙に幅が広かったり、段があったりして不安なこともある。その場合は本機を選択すれば安心である。
今でこそメタルが3000円は珍しくないが、米国メーカーでこの価格はヨメガが先陣を切っている。また、他メーカーなら1000円ほどプラスされるスプラッシュカラーも、通常価格で用意されており、若干のお得感がある。ヨメガ最大の特徴である、サイバーでかっこいい見た目が健在なだけでも、ヨメガが今日まで生き延びてきた価値があるのかもしれない。
以下は「グライドXP」でも同じである。
Amazon専売となったことで、ヨメガ機のパッケージは(倉庫に積みやすい)四角い箱となったが、他機種が紙箱なのに対し、両機はブリキ缶である(クッキー缶のような)。3000円のヨーヨーでちょっとだけ高級感を持たせる仕組みであるが、ヨーヨー本体を見せる構造にしなくてよいネット通販ならではのパッケージングでもある。
ヨーヨー本体の他、カギのような形のベアリングリムーバーが同梱されている。太い部分をベアリングの内側に差し込み、こじ開けて取るのに使う。細い方の使い道は特に示されていないが、絡まったストリングをほどいたり、「ハイパーミラージュ」のLEDを消すのに使える。「ヨーヨーファクトリー・調整キー」のように六角レンチにはなっていない。
予備のストリングは5本。ハイパーヨーヨーを知っている人には大盤振る舞いに見えるが、割とすぐ使い切るので、100本2000円程度のストリングを専門店で注文した方がよい(これに限ってはAmazon非推奨)。
穴の開いた正二十面体の物体が同梱されているが、これは「カウンターウェイト」と呼ばれる専用のおもりである。詳しくは「5A(ヨーヨー)」の記事を参照。ダンカンの特許満了により、2020年から他社も同梱が可能になった。ダンカンは六面ダイスと生首、ヨーヨーファクトリーは球とバリエーション豊かな形状をしているが、正二十面体はヨメガ独自のもの。コレクションとしてもうれしい。
ボールベアリングも同梱されているが、これは予備ではなく、ヨーヨーを引いても戻らない「バインド仕様」にするためのもの。凹型ベアリングという特殊構造をしているため、なくしたりせず、バインドに挑戦するときまで大切に保管しよう。
店員さんにこれをおすすめされたら、よほどのヨメガマニアでない限りこっちが無難です。
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最終更新:2025/12/06(土) 05:00
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