協同組合とは、組合員による組合員のための協同運営組織である。
一言で言うと(個人法人問わず)複数名がお金などを共同で出し合って、参加者である組合員全員が可能な限り廉価に物を購買するなどの有益を得られるように組合員自らがサービス提供する組織のことである。
生協(生活協同組合)や農協(農業協同組合)等は協同組合の一種であり、共済は協同組合が保険に代わる機能を提供するものである。
1491年スコットランドのアバディーンに誕生したShore Porters Societyが最初とされる。直訳すればわかるが物流、引越、保管をメインとする団体であり現在の共同組合とは完全に別の組織であった。
世界で初の農業協同組合としては1838年に大原幽学が指導し1842年(天保13)下総香取郡長部村に定着した先祖株組合が最初とされる。冠婚葬祭の相互扶助に共同購入や農地の交換分合、農地の再配置にまで手を出し門弟含めて関係者は4000人まで膨らんだ。参加者の収益性は改善しとても喜ばれたが、結果として幕府の警戒を招き、危険思想の運動と判断され最終的には大原幽学は自決、関係者は霧散した。日本の協同組合はこの大原幽学の先祖株に大きく影響を受けている。
江戸期においては小売店購買は原則掛売り、つまり何を買っても借金扱いとなって、月末や盆暮れあるいは収入発生時などにまとめて支払うという、現代で言うところのクレジットカードによる翌月一括払いやボーナス一括払いに近い内容だったことは有名である。そうなった理由は数多あるのだが、結果として個人が店に対して多額の借金を重ねることが基本となる為、販売側も債務回収不能分を見込んで初めから高い販売代価をつけていた。
この状況は実のところイギリスでも変わらず何を買うにしても高い代金を要求されるために貧乏人ほど何も物が買えなくなるという状況が基本であった。
これを憂いたイギリスの社会主義者、ロバート・オウエンは協同組合(Co-operative)という活動を始めた…のだが空想的社会主義者とも呼ばれた彼の提唱によって作られた理想の協同組合は全て失敗した。
わかりやすい事例としてよく引用されるのがロッチデール友愛生産共同組合。失業労働者を救うために織物製品と生活必需品の売買を目的として1833年に作ったは良いものの経営破綻し1842年に解散する羽目となる。
その失敗を教訓にオウエンの空想的部分を除去して成功を収めた世界最初の協同組合がイギリスで1844年に発生したロッチデール先駆者協同組合である。始まりは小麦粉、オートミール、バター、砂糖の四品だけから手堅く初め、やがて品目を増やしても安定的に経営をまわすことが可能となった。
オウエンの空想は大きくグレードダウンはしたものの実在のものとなったのである。
日本では1898年頃から活動し成功を収めていた二宮尊徳の教えを実践する報徳社にあわせ、ドイツで農村部に普及していた金融の仕組み、信用組合を制度輸入した。結果、日本においてアジアで始めての協同組合の基盤法となる産業組合法が1900年(明治33年)に制定された。1948年に消費生活協同組合法の施行に伴い廃止されるまでこの産業組合法が協同組合を法の面から支えてきたのである。
なお、報徳社の教えは日本全国に展開されており小学校の校庭の片隅などに二宮金治郎(のちの二宮尊徳)の像が配置されたのも、政府として報徳社の教えを展開するにあたり関連する偉人像として設立していった為といわれる。
21世紀現在、日本の社会の様々な地域や職業に対応する協同組合が存在する。
なお、協同組合という組織の原理構造上、共産主義国には(少なくともロッチデール式の協同組合は)発生しない。正確にはできない。基本となる組合員の出資ができないためである。イスラム圏におけるイスラム銀行のように、とんちを捻れば構築は可能ではあるがそこまでするかも不明である。
略超はICA。1895年に設立された協同組合の国際組織であり、現在、国際連合のグレードAのオブザーバーとなっている。組合員総数は10億人を超えており、日本の主要な協同組合は各種組合の代表組織が登録する形でほぼ参加している。
協同組合を運営するにあたっての原則となるのが「協同組合原則」である。元となったのは上述のロッチデール先駆者協同組合の運営方針(ロッチデール原則)であり、それをICAが整理し1937年に採択したのが協同組合原則の最初である。それ以降数度の改定を経て、1995年に確定された以下の7原則が最新である。
上記の7原則は学術的に組み上げられたものではなく、長年の協同組合運営の結果、経験則による知見として確立したものである。
協同組合は、共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、
共通の経済的・社会的・文化的ニーズと願いを満たすために、
自発的に手を結んだ人々の自治的な組織である。
協同組合は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、そして連帯の価値を基礎とする。
それぞれの創設者の伝統を受け継ぎ、協同組合の組合員は、正直、公開、社会的責任、
そして他人への配慮という倫理的価値を信条とする。
上記も同じくICAが定める協同組合の価値である。
下記は例である。それ以外にも様々な組合が存在する。
掲示板
1 ななしのよっしん
2015/06/04(木) 10:47:59 ID: 3Ce2/eofDF
全世界の協同組合組織の国際組織である国際協同組合同盟(ICA)が掲げる旗のデザインは"色んな人種や業種の人が共に協力する"というコンセプトで「7色の虹の旗」を採用してた。
…んだけど、このデザイン同性愛者達のシンボルフラッグ(6色の虹の旗)とパッと見、違いが解らなくて、1995年の世界大会ではこの旗を町中に掲げてたらLGBTの大会と間違われた…っていう悲喜劇が発生したとか。
「自分の財の余力部分を同じ仲間(組合員)の生活向上の為に役立てる」っていう協同組合の"幸せのおすそ分け"みたいな考え方は、資本主義と共産主義のいいとこ取りみたいな感じで好感が持てる
だけど、人間ってのは必ず「自分だけいいところを頂いてしまおう!他の人なんて知ったこっちゃねぇ!」って協同組合の理念と真っ向から反する考えの人はいる訳で、そこらへんオウエンはキリスト教らしい人間性善説・博愛主義で組合を作っちゃったから失敗するというね…
2 ななしのよっしん
2022/09/16(金) 18:55:31 ID: Esg/7AeQDX
JA、全労災、生協の「非営利」という建前はもう形骸化しているぞ
ローン、保険みたいな銀行、保険会社まがいの事しかもうしてないじゃん
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最終更新:2024/11/09(土) 09:00
最終更新:2024/11/09(土) 08:00
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