将棋電王戦とは、プロ棋士vsコンピュータの将棋棋戦である。
第2回電王戦 第2局にて、コンピュータが現役プロ棋士に公の場で初めて勝った事で知られる。
2011年10月06日にニコニコ生放送にて記者会見が行われ棋戦内容が発表された。第1回電王戦の主催は公益社団法人日本将棋連盟、株式会社ドワンゴ、株式会社中央公論新社による。
対局者としては、コンピュータ側は毎年行われている世界コンピュータ将棋選手権の成績優秀プログラムが選出される。第3回以降は、ドワンゴが主催する将棋電王トーナメントの成績上位プログラムが出場権を得る。人間側は棋士による立候補や、将棋連盟からの打診を引き受けることによって選出されていた。第5回にあたる第1期電王戦からは、ドワンゴ主催の公式棋戦である叡王戦の優勝者が出場する形式となった。
当初の予定では1年に1戦ずつ5年間で計5回戦行われるとのことだったが、2012年1月14日に行われた第1回戦米長邦雄永世棋聖 VS ボンクラーズ終了後の記者会見で、急遽その話は白紙となり、2013年はプロ棋士5人VSコンピュータ5ソフトの一斉対局が行われることになった…が、2012年12月15日に再びの形式変更がアナウンスされる。詳細は「第2回電王戦」を参照されたい。
2015年を以て、団体の対抗戦形式が終了し、翌年からは準タイトル戦として新設された叡王戦の優勝者と、電王トーナメントの優勝ソフトによる2番勝負となった。なお非公式棋戦であることに変わりはない。
これより、電王戦は回数から期による表記に改められた。
2017年2月22日、「人間とコンピュータが同じルールで真剣勝負をするという歴史的役割は終わった」として、第2期を以て電王戦は終了した。
「電王戦」の読み方については「デンオウセン」と「デンノウセン」とで揺れた経緯がある。
棋戦名のローマ字表記は、PV中では「DENOUSEN」、Twitterの公式ハッシュタグは「#denousen」、公式チャンネルのURLは「denousen」と、「denousen」で統一されている。公式会見の場で主催者等が「デンオウセン」と発音しているし、PV中でも「デンオウセン」と呼ばれている。一方で「電脳」との掛詞から「デンノウセン」が推されもする。将棋共同記者発表会による棋戦名発表時には日本将棋連盟会長・米長邦雄永世棋聖は「デンノウセン」と発音 していたが、そのすぐ後に同放送内でアナウンサーが「デンオウセンとなります」と発音
しており、視聴者もどちらなのか戸惑っていることがコメントでわかる。
これについて第1回戦終了後の記者会見中にどちらが正しいのか問われたのだが、米長会長は「将棋連盟というところは“どっちでもええやないか”という団体でございます(笑)」と回答した。・・・ということで、「じゃあでんのうせんで」と、その場では「デンノウセン」を用いた。
翌年に作られた第2回電王戦のPVや記者会見の場では「デンオウセン」と発音されており、今後公式では「デンオウセン」で通す事が見て取れる。
第1回は、2012年1月14日、米長邦雄永世棋聖とボンクラーズによって行われた。
詳細は『第1回電王戦』を参照。
第2回は、2013年3月23日から5週にわたって、プロ棋士5人とコンピュータ5ソフトによる団体戦が行われた。対局は以下のとおり。
局 | 対局日 | プロ棋士名 | ソフト名 / 開発者名 |
---|---|---|---|
第1局 | 2013年3月23日 | 阿部光瑠四段(▲先手) | 習甦 / 竹内章 |
第2局 | 2013年3月30日 | 佐藤慎一四段 | ponanza / 山本一成(▲先手) |
第3局 | 2013年4月6日 | 船江恒平五段(▲先手) | ツツカナ / 一丸貴則 |
第4局 | 2013年4月13日 | 塚田泰明九段 | Puella α / 伊藤英紀(▲先手) |
第5局 | 2013年4月20日 | 三浦弘行八段(▲先手) | GPS将棋 / 田中哲朗・森脇大悟 |
詳細は『第2回電王戦』を参照。
第3回は、2014年3月15日5週にわたって、プロ棋士5人とコンピュータ5ソフトによる団体戦が行われた。対局は以下のとおり。
局(日時) | 出場棋士 | 出場プログラム/開発者 | 対局会場 |
---|---|---|---|
第1局(2014年3月15日) | (先)菅井竜也五段 | 電王トーナメント5位:習甦/竹内章 | 東京・有明コロシアム |
第2局(2014年3月22日) | 佐藤紳哉六段 | 同4位:(先)やねうら王/磯崎元洋、岩本慎 | 東京・両国国技館 |
第3局(2014年3月29日) | (先)豊島将之七段 | 同3位:YSS/山下宏 | 大阪・あべのハルカス |
第4局(2014年4月5日) | 森下卓九段 | 同2位:(先)ツツカナ/一丸貴則 | 神奈川・小田原城 |
第5局(2014年4月12日) | (先)屋敷伸之九段 | 同優勝:ponanza(電王)/山本一成、下山晃 | 東京・将棋会館 |
詳細は『第3回電王戦』を参照。
第4回は、2015年3月14日から5週にわたって、プロ棋士5人とコンピュータ5ソフトによる団体戦が行われた。対局は以下のとおり。
局(日時) | 出場棋士 | 出場プログラム/開発者 | 対局会場 |
第1局 (2015年3月14日) |
(先)斎藤慎太郎五段 | 第2回電王トーナメント5位: Apery/平岡拓也、杉田歩、山本修平 |
二条城 (京都) |
第2局 (2015年3月21日) |
永瀬拓矢六段 | 同4位: (先)Selene/西海枝昌彦 |
高知城 (高知) |
第3局 (2015年3月28日) |
(先)稲葉陽七段 | 同3位: やねうら王/磯崎元洋、岩本慎 |
函館・五稜郭 (北海道) |
第4局 (2015年4月4日) |
村山慈明七段 | 同2位: (先)ponanza/山本一成、下山晃 |
薬師寺 (奈良) |
第5局 (2015年4月11日) |
(先)阿久津主税八段 | 同優勝: AWAKE(電王)/巨瀬亮一 |
千駄ヶ谷・将棋会館 (東京) |
詳細は『電王戦FINAL』を参照。
第5回は、2016年4月と5月に、山崎隆之叡王とPONANZAによる二番勝負が行われた。対局は以下のとおり。
局(日時) | 出場棋士 | 出場プログラム/開発者 | 対局会場 |
第1局 (2016年4月9日、10日) |
山崎隆之叡王 | 第3回電王トーナメント優勝: (先)PONANZA/山本一成、下山晃 |
関山・中尊寺 (岩手) |
第2局 (2016年5月21日、22日) |
(先)山崎隆之叡王 | PONANZA/山本一成、下山晃 | 比叡山・延暦寺 (滋賀) |
第6回は、2017年4月と5月に、佐藤天彦名人・叡王とPONANZAによる二番勝負が行われた。対局は以下のとおり。
局(日時) | 出場棋士 | 出場プログラム/開発者 | 対局会場 |
第1局 (2017年4月1日) |
佐藤天彦名人・叡王 | 第4回電王トーナメント優勝: (先)PONANZA/山本一成、下山晃 |
日光東照宮 (栃木) |
第2局 (2017年5月20日) |
(先)佐藤天彦名人・叡王 | PONANZA/山本一成、下山晃 | 姫路城 (兵庫) |
電王戦は、回によって対局レギュレーションが異なる。
特に第2回から第3回にかけては大人の事情により大きくルールが変更された。
詳しくは『第3回電王戦』やルール詳細を参照。
対局形式 | 持ち時間 | 合計休憩時間 | 事前貸出 | |
---|---|---|---|---|
第1回将棋電王戦 | 一番勝負 | 各3時間(ストップウォッチ) | 1時間 | 任意 |
第2回将棋電王戦 | 団体戦五番勝負 | 各4時間(ストップウォッチ) | 1時間 | 任意 |
第3回将棋電王戦 | 団体戦五番勝負 | 各5時間(チェスクロック) | 1時間半 | 強制 |
第4回電王戦FINAL | 団体戦五番勝負 | 各5時間(チェスクロック) | 1時間半 | 強制 |
第5回第1期電王戦 | 二番勝負 | 各8時間(チェスクロック) | 18時間半(二日制) | 強制 |
第6回第2期電王戦 | 二番勝負 | 各5時間(チェスクロック) | 1時間半 | 強制 |
※第2回第5局のGPS将棋は、トラブルに備えた復旧の時間を確保するため、持ち時間を自主的に30分短く設定していた
第5回では二日制が採用された。封じ手は必ず棋士側が行う。封じ手から翌日10時の対局再開までは、コンピュータの思考は停止させられる。
第3回以降は、株式会社デンソーが開発したロボットアーム『電王手くん(さん)』が代打ちを行う。
電王手が着手動作をしている間は双方の持ち時間は消費されない。
第5回以降は、電王手動作中はソフトの思考が停止されるようになった。
第1回、第2回ではプログラムを事前に貸し出すかどうかは開発者に委ねられていた。
第3回以降は事前貸出が義務としてルールに規定され、本番と同一環境で事前研究を行えるようになった。
本番で使用するバイナリを数ヶ月前に提出するルールのため、棋士は単にソフトと練習対局が行えるだけではなく、様々な局面における当日のソフトの読み筋や評価値を見ることができる。
電王戦FINALではソフトに一つの局面を100回考えさせるなど、徹底的に事前研究が行われた。
事前研究に携わった棋士によると、対策が立てやすい条件が揃っている場合、50数手くらいの予想の展開まで実際に進行したケースがあるらしい。このようななぞり将棋を回避するため、第3回以降に出場したソフトの多くは評価関数に乱数を入れるなどして対策を講じている。そのため、相対的に棋力が多少低くなっている。
第1回電王戦ルール詳細
第2回電王戦ルール詳細
第3回電王戦ルール詳細
電王戦FINALルール詳細
第1期電王戦ルール詳細
第2期電王戦ルール詳細
CPU(クロック,物理コア数) | 合計台数 | 総コア数 | メモリ | 事前貸出 | |
---|---|---|---|---|---|
第1回 ボンクラーズ |
Xeon-X5680(3.33GHz 6コア)×2 | 6台 | 72 | 24GB×6 | あり |
第2回 習甦 |
XeonE5-2687W(3.10GHz 8コア)×2 | 1台 | 16 | 16GB | あり |
第2回 ponanza |
Corei7-990X(3.46GHz 6コア) Corei7-3770K(3.50GHz 4コア) 他Xeon8台(2.60GHz程度,計64コア) |
10台 | 74 | - | なし |
第2回 ツツカナ |
Corei7-3970X(3.50GHz 6コア) | 1台 | 6 | 32GB | あり |
第2回 puella α |
Corei7-3960X(3.30GHz 6コア) Corei7-3930K(3.20GHz 6コア) Corei7-2600K(3.40GHz 4コア) |
3台 | 16 | - | なし |
第2回 GPS将棋 |
Corei5-2400S(2.5GHz 4コア)666台 他13台(2.30~3.47GHz 計154コア) |
679台 | 2818 | - | あり |
第3回 統一PC |
Corei7-4960X(3.60GHz 6コア) | 1台 | 6 | 64GB | あり(本番環境) |
第4回 統一PC |
Corei7-5960X(3.00GHz 8コア) | 1台 | 8 | 64GB | あり(本番環境) |
第5回 統一PC |
Corei7-6700K(4.00GHz 4コア) | 1台 | 4 | 32GB | あり(本番環境) |
第6回 統一PC |
Corei7-6700(3.40GHz 4コア) | 1台 | 4 | 32GB | あり(本番環境) |
第1回、第2回においては、開発者が自前で用意したハードウェアで対局が行われた。
ツツカナはもともとCorei7-3930Kを使用する予定であったが、宅配便で輸送中にPCが故障するトラブルが発生。急遽、前日のイベントで使用されたパソコンを借りて対局することになった。
第3回以降は株式会社サードウェーブデジノスから提供されたパソコンを統一PCとして使用している。第3回、第4回に使用されたPCについては「電王戦モデル」として発売されていた。第5回以降のPCについては電王戦モデルとして発売せず、反対に一般向けPCにメモリを増設したものを電王トーナメント・電王戦用として流用している。
掲示板
419 ななしのよっしん
2021/12/04(土) 13:30:24 ID: SpydHd27Nl
AI如きが人間を圧倒できるようになるにはあと1000年はかかるよw
機械を相手にしてて人間と関われない人間は機械を過大評価するから困る
420 ななしのよっしん
2021/12/04(土) 13:30:31 ID: uTlFgDxYXm
家庭用PCで十分だしそこにスパコン持ち込んだらヤバい事に
初回がクラスタマシン認めてたのにハンデ付けて
持ち込みPCから最後は統一マシンに
421 ななしのよっしん
2022/02/12(土) 10:49:10 ID: Cfy6raAAxS
今の将棋界ではプロ棋士がAI(ソフト)を使い研究して
試合に臨むのが当たり前になったみたいだし
そうゆう意味では電王戦は
大きな意味があったんじゃないかなと・・・
急上昇ワード改
最終更新:2025/02/10(月) 00:00
最終更新:2025/02/10(月) 00:00
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