新潟州構想 単語

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新潟州構想とは、新潟県新潟市を合併し、「県と政令市の合併による自治の拡大をす」構想である。
平成23(2011)年1月田裕新潟県知事、篠田新潟市長、両名の記者会見により発表された。

当初、平成24(2012)年をメドとして新潟州構想を具体化するために、「新潟州構想検討委員会」が設置され、その作業を進めていた。

その後計画は前倒しされ、平成24年5月1日に第6回新潟州構想検討委員会が開催され、ここで最終的な報告書が田知事、篠田市長に提出された↓

http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/gyoseiunei/fuzokukikan/sonota/chiiki/kosokento/kenntoukai06.files/kenntoukai06-houkokusyo.pdfexit

現在は、新潟州構想検討連絡調整会議が発足し、新潟県新潟市の実務者同士で協議を続けている。

新潟州構想。その構想提案の背景・趣旨

第2回新潟州構想検討委員会(以後「2回の話」と省略)の配布資料に、第1回新潟州構想検討委員会(以後「1回の話」)の意見整理という項があり、新潟県知事・篠田新潟市長による、構想提案の背景・趣旨が記述されている。

背景
◆制度上の課題
からの大きな権限移譲を伴わない単なる府県合併は、自己決定権が遠くなり地方分権に逆行
現在の大都市制度は、地域の実情が考慮されないほか、権限・財とも不十分であり、自立度が低い。広域自治体と基礎自治体の役割分担を根底から考えていくことが必要
◆政策形成のあり方
の全の政策でなく、多くの人の知恵と工夫が政策に反映できるよう、柔軟に地方が自己変革していくことができる仕組みが必要
【趣旨】
◆検討
からの地方分権でなく、現場に最も近い新潟市新潟県から新しい地域権のあり方を提案
◆新たな自治体のあり方
・地域の実情を反映した意思決定ができる仕組み、県民も市民メリットを得られるような仕組みを州構想を検討していく中で実現
都道府県合併という選択肢だけでなく、より住民の気持ちに寄り添った形での行政体の受け皿として、広域自治体政令市の合併という選択肢も認めるべき
地方分権、地域権の受け皿となる自治体をつくることが大事。からの権限移譲について問題意識を持つことが必要
すべき方向性
ターゲットの一つは地方自治法の正。地方議会の中で自分たちの地域に合わせて法律を運用できる体制を構築。

新潟州構想のメリット

新潟州構想検討委員会の最終報告書を読むと、現在把握している問題点について、新潟州構想により解決する事メリットして挙げている。

1 広域・専門行政の一元化によるメリット

 ◆ 新型インフルエンザ対策など、広範囲に渡ってが生じるおそれがある事案が発生した場合 
  ・ 保健所を有する新潟県新潟市で双方の対応方針が異なる場合も考えられるのではないか 

 ◆ 新潟県新潟市の双方で統一的な対応を行う場合 
  ・ 対応までの時間をできる限り短縮することが必要ではないか

 これらの問題点を、広域自治体への機・権限の一元化を行うことにより。

 ●県民が「迷うことなく」「すばやく」「統一的」な対応ができ、
 ●新潟県全域における安全、安心度が向上する

政令指定都市化までの流れ

新潟県新潟州になるにあたっての変化をあげると。

新潟県新潟市が合併する。その際、新潟県新潟市は消滅する。
そのイメージは、「基本的に東京都の制度を下敷きにして組み立てていくことになるのだろう」とのこと(田知事)

新潟市は、いくつかの「特別区」に分割される。
その際、特別区の区長は選挙で選ぶことを想定しているようだ。

新潟市の職員は、新潟州の職員として「出向」するのが基本となる。
県との二重行政解消も、新潟州構想の「キー」となっているわけで、業務が重複するのならば、当然その業務に携わっている職員も重複しそうなもの。
しかし、リストラなどの発表は、いまのところない。

ここで少し新潟市歴史を振り返ってみると、政令指定都市としての新潟市歴史は非常に浅い。

政令指定都市新潟が誕生するまでの、周辺自治体との合併等の動きは、下記のページに詳しい。
新潟市と近隣12市町村の合併協議について  合併までの経緯」
http://www.city.niigata.jp/info/kikaku/gappei/13gaiyou/pdf/13nenpyou.htmexit

話の発端となる平成13(2001)年11月は、長谷川新潟市長の時代であり、篠田氏が始めたものではないかもしれないが、合併し政令指定都市新潟市が誕生する工程で、篠田氏が積極的に動いたことは否定できないだろう。

平成14(2002)年11月新潟市長となった篠田昭氏は、合併協議を推し進め政令指定都市す。
平成17(2005)年3月。周辺自治体と合併。
平成19(2007)年4月政令指定都市新潟市が誕生。

それから。
平成23(2011)年1月篠田氏は、唐突に新潟市分割を宣言。合併してから6年、政令指定都市となってから4年を経過せず、この大きな方針転換である。

検討委員会構成内容

新潟州構想検討委員会のメンバーには、田知事、篠田新潟市長は含まれて居ない。

自分たちで「新潟州」をつくるんだ、っと宣言しつつ細かいところは他人任せである。

委員会のメンバーの選考基準はあいまいであり、住民が選挙で選んだということでもない。
平成23(2011)年7月9日の第1回新潟州構想検討委員会の際、座長の北川正恭氏が、田知事の「お友達」であるようなニュアンス紹介される一幕も。

新潟州構想検討委員会のシステムは、新潟州構想検討委員会が論点を整理し、新潟市新潟県の当該事務局が報告するというもの。
http://www.city.niigata.jp/info/kikaku/niigata-shuu/kenntoukai/kenntoukai01/kenntoukai01-shiryou2-taisei.pdfexit

以下の三名は、より重要な立場で参加している。

財団法人新潟経済社会リサチセンター理事長 内山 節夫 氏
社会法人新潟いのちの電話後援会事務局長 渡辺 子 氏
新潟県B級グルメ評論家 兼 新潟大学法学部副学部長 田村 秀 氏

この三名が、当該事務局に「助言」を行い、事務局は三名に「相談」する事になっている。
その後、第6回新潟州構想検討会が開催される直前、田村秀氏が委員を辞任。

なお、これと似たような組織が大阪に存在する。

大阪の「府自治制度研究会」という組織であり、橋下徹大阪府知事が、新しい大阪の可性を「いろいろな視点で」探るべく設置。
しかし、いろいろな視点研究したところ「橋下知事の考える構想は、導入が難しいみたいですヨン」との最終とりまとめを、橋下知事に報告。
橋下知事は最終とりまとめを無視し、大阪都構想の実現に邁進。今では研究会の座長を敵視する有様。

ハイパーレスキュー隊の全県的運用

新潟州構想の玉である「ハイパーレスキュー隊」の全県的運用。
新潟州構想の話を聞くと、現在の仕組みでは「新潟市以外でどんな災害が起きても、新潟市ハイパーレスキュー隊は応援に来れない」印を受ける。
実際に新潟市消防局に電話で問い合わせてみると「新潟県内の消防署同士の協定で、ハイパーレスキュー隊を含む普通消防隊も、県内に応援に行くことになっている」との事。

篠田市長は、新潟市消防局を最上位から統括する立場から、むしろ「新潟市消防局は現在新潟県全域の防災活動においても、大きな責務を果たしている」っと、鼓舞すべきだとおもうのだが。
平成23(2011)年7月。稀に見るで大きな被害をこうむった新潟市を去り愛知県へ移動。
同年7月31日橋下大阪府知事などと州構想、都構想について話し合った会議で「東アジアと共に生きていく日本になる」っと発言した模様。
翌日の市長日記では、この日のことが書かれているが、愛知県に行ったことは機密事項のようで、描かれてい。
http://www.city.niigata.jp/info/hisyo/sicho/hp_hikokigumo/230801.htmlexit

田知事も出席予定だった会議であるが、知事はかろうじて新潟県にとどまり、対策の揮を執った。

それに。
新潟市新潟県における位置、新潟県の長さを考えてほしい。
消防の装備というのは、基本的に陸上を移動する。
新潟市ハイパーレスキュー隊を、有事に新潟県内に展開する場合、たとえば糸魚川市に到着するのは何十分、何時間後だろう?
それよりも、基礎自治体消防署の装備を充実させる事のほうが、緊急時には役に立つのではないだろうか?
訓練の際に、新潟市ハイパーレスキュー隊の助言などがあっても良いと思うが、新潟市ハイパーレスキュー隊を全県的に運用するよりも、新潟市ハイパーレスキュー隊のノウハウを、全県の消防署に普及させることが、より「新潟県の防災」に効果的ではいだろうか?

新潟州による変化

新潟州が実現すると、新潟州知事という新しいリーダーが生まれる。
そして州知事は、新潟特別区(旧新潟市)のリーダーでもある。
広域自治体の首長 兼 基礎自治体の首長。

これで何が変化するだろう?

新潟州(新潟県新潟市)の資産を、より多く新潟市(基礎自治体)側に投入するということになると、旧新潟県資産、人員が旧新潟市独り占めされてしまうという可性もある。
新潟州への移行により、新潟県新潟市も同じ自治体になってしまうわけだから、新潟州知事の「さじ加減」しだい。

実はもう一つ、可性がある。
新潟市の発展、利益を強調すると、新潟州知事として当選するのが難しくなるのかもしれない。

新潟県選挙人名簿登録者数によると↓(注意!!xls形式のファイルです)
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Top2/453/626/teiji.xlsexit
新潟市の有権者数は66万人。
新潟県内で、かつ新潟市外の有権者が130万人。
新潟市外の有権者は、新潟市内の有権者の、ほぼ倍である。

「今まで(県内においては)発展してきた旧新潟市よりも、全県的な発展をする」とする補者が、新潟市外の有権者の支持を得て州知事となれば、逆に新潟市の発展は鈍化する。

新潟県新潟市資産を、より多く新潟県(広域自治体)側に投入するということになるだろうから。

そうなれば、県政(州政治)において、旧新潟市は「仲間はずれ」に近くなる。

新潟州構想の目指すもの

提唱者のお二人が、新潟州構想検討委員会に丸投げしている新潟州構想。
役所の担当者も「新潟州構想検討委員会で、検討している」っと答えざるを得ない。
役所の担当者だけじゃない。
提唱者すら議会での答弁で、「今後の課題等は、委員会で検討してもらう」っと答える状況。
その検討委員会で、会議導しているのは、新潟州構想反対B級グルメ評論家である。

では、新潟州構想は何をしているのだろう?

新潟市議会の議事録によると、篠田氏の発言は非常に分かりにくい。
周辺自治体と合併してきたことと、新潟市分割するという新潟州構想の矛盾点を突かれると、「民主党政権の革の一丁目一番地地方分権が進んでいない~」っと、明確には答弁していない。
現在新潟市そのものにも、と区の役割分担が不明瞭で「二重行政」となっている場所があるとの質問には、華麗にスルーである。

単なる府県合併では、役所や意思決定機関が住民から遠ざかるといいつつ。
新潟県内の他の市町村は20万人から40万人が望ましいとし、さらなる合併を促進するという話も。
何が本音で?何が建前か?

しかし、はっきりしている事がある。新潟州構想は「東アジアの拠点」になるということである。
篠田市長は、議会新潟州について質問されると、ほぼ50%近い確率で「東アジア」という言葉を用いて返答している。
新潟市市民章の最後に、以下の文言がある。

のむこうは、友となるぐに。
わたしたちは、世界平和のかけとなる。

篠田市長は、これを実践しようとしているのかもしれない。

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