沈黙の日曜日とは (チンモクノニチヨウビとは) [単語記事]

沈黙の日曜日とは、1998年 11月1日東京競馬場第11レースで発生した故障事故である。

概要

武豊はレース前の取材で「堂々とオーバーペースで逃げます」と宣言。サイレンススズカの競馬スタイルは大逃げというスタイルであり、この年6連勝を飾っていたことから各競馬紙、TVはアクシデントさえなければ大丈夫と見ていた。

また厩舎スタッフも「過去最高のデキ」と自信を持っており、さらに得意の左回り、サイレンススズカの適正距離とされていた2000mということで、単勝1.2倍の圧倒的1番人気に支持された。また枠は抽選の結果絶好の最内1番枠。『平成10年 11月1日東京11レース1枠1番1番人気』の“1並び”であり、レース後に
もう一つ”1”が並ぶことを疑う人は誰もいなかった

サイレンススズカは抜群のスタートで快調に飛ばし、2ハロン目から急に加速して後続を突き放すと、前走を上回る 1000 m57秒4の超ハイペースで大逃げをうった。だが、それは彼の普段のレーススタイルであり、ファンも不安など全く感じずに大声援を送っていた。

しかし、3コーナーの辺りを過ぎたところで突然の失速。左前脚の手根骨粉砕骨折を発症したため、競走を中止した。結局予後不良と診断され安楽死の処置がとられた。

競馬中継の実況（フジテレビ・塩原恒夫）にて「沈黙の日曜日」と発言があり、今もなお競馬ファンの中での語り草となっている。

このレースの勝ち鞍はオフサイドトラップ。3度の屈腱炎を乗り越え旧8歳にして悲願のG1 勝利だったが、その味はとても苦いものだった。そしてステイゴールドは、天皇賞(春)・宝塚記念に続いて、G13回連続の2着となった。

その晩、相棒を失った武豊騎手の悲しみは尋常なものではなく、大量にワインを呷って泣き崩れる程であった。それを見た福永祐一騎手も、「あんなに落ち込んだ豊さんを見たことが無い」と語っている。それでも次週の菊花賞ではノリに翻弄されながらも2着を勝ち取るあたり、流石はトップジョッキーといったところか。この一方で、その前日のアドマイヤベガの新馬戦では1位に入線するも、斜行があったとして4位に降着、6日間の騎乗停止処分となってジャパンカップでスペシャルウィークは岡部幸雄騎手に乗り替わりの上3着敗退と、この年の武豊に暗い影を落とし続けた。そして、翌年の第120 回天皇賞では、スペシャルウィークが逆襲のランで秋天を制覇。武豊は「ゴールの瞬間、まるでサイレンススズカが後押ししてくれた」とコメントした。