K1とは、韓国陸軍が運用している戦車である。ここでは改造型であるK1A1も扱う。世代としては第2.5~3世代に当たる。
一時期「88戦車」とも呼ばれていたが、1988年に開催されたソウルオリンピックに絡めたもので、別に1988年に制式化されたわけではない。
韓国独自の主力戦車構想は1970年代に始まり、1980年にアメリカのクライスラー・ディフェンス社(クライスラー社は1982年に防衛事業を切り離してジェネラル・ダイナミックス社に売却、ジェネラル・ダイナミックス・ランド・システムズとなった)と開発契約を結んだ。試作車XK1は1983年にアメリカで完成してテストを受け、1984年中に生産開始の決定を受けて量産1号車は1985年に完成している。韓国では専用工場を新設して生産を行った。
M1 エイブラムスを設計した会社による設計なので外見は似ているが、全体の寸法はM1より一回り小さくなっており、戦闘重量はM1の55.7tに対して51.1tとなっている。
装甲防御については推測するしかないが、車体と砲塔の正面には複合装甲が用いられているものの、側面は中空装甲であるとも言われている。アメリカ側がM1と同水準の複合装甲を提供したかどうかも不明。
動力は在来型の水冷ディーゼルエンジンで、ドイツMTU社の1200馬力のエンジンが使用されている。油気圧式懸架装置(ハイドロニューマティック・サスペンション)も使用されており、片側転輪6つのうち前2つと一番後ろの合計3輪がハイドロニューマティック、中央3輪が在来型のトーションバースプリング方式になっている。これによって車体を前後に傾斜させられる。左右傾斜には対応していない。
主砲はM1と同じ口径105mmのM68A1ライフル砲を搭載している。北朝鮮の主力はT-62やT-55といった古い世代の戦車であり、有効射程、貫徹力いずれにおいてもT-62の115mm砲を上回ると判断された。
1996年に試作1号車が完成した改良型K1A1では120mm滑腔砲の採用に踏み切った。戦闘重量は53.2tに増大している。エンジンや主砲は外国の設計ではあるものの、K1A1自体の開発は基本的に韓国内で行われたはずである。
ベトナム戦争半ばの1969年に発表された「ニクソン・ドクトリン」は、それまでアメリカが直接米軍を派兵して同盟国の防衛を行っていたものを軍事技術や情報、資金面での支援のみに切り替え、同盟国自身に自国防衛を担わせアメリカの負担を軽減するという宣言だった。これを受けて在韓米軍も1971年までに約2万人が引き上げられ、代わりに韓国軍が韓国の防衛を一挙に担う事となった。また、このような状況は同時にそれまで米軍から貸与・供与された兵器ばかりだった韓国に独自の兵器開発の必要性を求める事となった。これに合わせて政府は1975年に国土防衛に必要な財源を確保することを目的とした「防衛税」を新設し、軍戦力増強計画である「栗谷事業」がスタート、各種国産武器・兵器の研究開発がスタートした。
K1戦車もこのような経緯から開始された。
1970年代初頭、当時劣悪であった韓国軍と比して、北朝鮮は既に独自の戦車生産能力を備えただけではなく、T-55、T-62などの戦後第1世代戦車も1600台以上保有していると見積もられていた。朝鮮戦争において北朝鮮軍のT-34/85に「戦車ショック」と呼ばれるほどの恐怖と衝撃を与えられていた韓国軍は、この状況を打開するためすぐさま新型戦車関連事業をスタートさせた。
1976年12月、韓国国防部内に新型戦車開発を担当する戦車事業事業団が設置された。しかし、当時の韓国は戦車の開発はおろか、ライセンス生産すらしたことがなく、新型戦車の独自開発など夢のまた夢であった。
新型戦車開発が遅延することを予測した韓国軍は北朝鮮機甲戦力への暫定的な対応策として、既存のM48に105mmライフル砲、新型FCS、ディーゼルエンジンなどを装備す性能改良事業を計画。これはM48A3K及びA5Kとして実行・配備される事となる。このM48改良事業は、国防部戦車事業管理団が管理し、国防科学研究所の支援の下、現代精工(現 現代ロテム)が主導した。この改良事業自体は新型戦車と直接的な関連は無かったものの、新型戦車の生産に必要な技術の蓄積という大きな役割を果たした。
また、このM48改良事業と並行してアメリカ政府にM60戦車の供与及びライセンス生産の要請がなされたが、「北朝鮮の現実的な脅威が低い」という理由で拒否されてしまった。アメリカにライセンス生産を拒否された韓国は、ドイツから技術援助を受けて開発を進めようと考えていた丁度その頃、ドイツ連邦軍で西側初の戦後第3世代であるレオパルト2の開発・配備されることとなった。韓国としてもレオパルト2は非常に魅力的であったが、NATO諸国以外への輸出が可能なのか不透明な状況であったため、「もうレオパルト1の改良型でも開発・生産してお茶を濁そうや…」という半ば諦めムードの中、韓国新型戦車の開発路線は決定した。
ドイツとの契約締結直前、これに驚いたアメリカが突如として新型戦車に名乗りを上げ「韓国の防衛は私たちが責任を負う(ドヤァ」と言い放ち、「ROKIT(Republic Of Korea Indigenous Tank=韓国次期戦車)」を提案した。結果的に、M60の輸出を拒否された事が巡り巡って新型戦車開発に繋がった訳である。まさに塞翁が馬。そして
これがいわゆる韓国軍釣り伝説の1つである。
いろいろ問題ありげ。主にK1A1。
とまぁこんな有様である。なお、いろいろこき下ろしてはいるが元々のK1は機動性を重視した戦車として攻守のバランスも悪くはない、当時の韓国陸軍を支えた重要な戦力である。
問題は、車体のキャパシティを無視した改造と後継車の開発遅延による陳腐化であるといっていい。北朝鮮と隣接しているのだから、アジアのパワーバランスのためにもXK-2の開発も含めもうちょっと国防に気を使ってもらいたいものである。
掲示板
115 ななしのよっしん
2023/04/25(火) 19:36:23 ID: 4pFPt+7pLV
>>106
北朝鮮の予算の少なさを考えれば、湾岸戦争で欠陥が露呈したT-72の輸出用モデルぐらいしか輸入できず、105mm砲でも十分だと判断がついたはずなんだけどな
116 ななしのよっしん
2023/05/30(火) 20:58:03 ID: 7eTA6VHbIZ
>>115
うーん
北朝鮮への軍事支援を制限する韓露防衛産業協力協定が結ばれたのが1996年で、それ以前の頃はロシアが政治的判断すれば北朝鮮に無償軍事支援を実施できた状況だから警戒は当然じゃないかな
117 ななしのよっしん
2023/09/22(金) 13:37:49 ID: EiYVnyD+HX
戦闘工兵車K600、ウクライナに2両支援へ
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動物のサイを意味する「コップルソ」の愛称を持つ戦闘工兵車「K600」2両がウクライナに提供される。K600はK1A1戦車の車体に地雷除去用の鋤(すき)や掘削アームを搭載したもので地雷を含めさまざまな障害物を除去し通路を確保する際に使用される。車体前面の鋤で地面を掘り返して埋設された地雷を探し出し磁気を発して除去する装備で5メートル先の地雷を突き止めることもできる
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最終更新:2025/07/29(火) 11:00
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