黄金夜明単語

オウゴンノヨアケ

4.8千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

黄金(黄金夜明)とは、ライトノベルとある魔術の禁書目録』に登場する魔術結社である。

モデル近代西洋を代表するイギリス魔術結社The Hermetic Order of the Golden Dawn」。日本では「黄金の夜明け」「黄金」と訳される。略称は「GD」「黄金」。

1900年に起こった内乱「ブライスロードの戦い」が引き金となり、「Stella Matutina(SMステラテューティナ)」「Alpha et Omega(AOアルファオメガ)」「Isis-Urania Temple(イシスウニアテンプル、後のH.O.G.D.)」に分裂する。

概要

19世紀~20世紀にかけて活躍した、近代西洋魔術の礎を作った偉大な魔術結社

初出:第1巻

新約禁書の概要

イギリス魔術結社〈黄金夜明〉。
ウィリアム=ウィン=ウェストコット、サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースexit名前が出ていないもう一人の天才魔術師(史実でいうウッドマン)により創設された魔術結社。

結社設立の際、ウェストコットがアンナ=シュプレンゲルexitという名の究極の高次元存在〈秘密の首領〉の窓口とされる令嬢に結社設立許可を賜った。シュプレンゲルは薔薇十字系exitドイツ魔術結社の達人であり、彼女ウェストコットとの文通は〈シュプレンゲル書簡〉と呼ばれた。
だが研究エリック=ハウの説により、後世ではこの文書がウェストコットの創作扱いされ、実際この設立背景は当時の団の歴史に深くを落としている。

かくして栄えあるドイツ薔薇十字系01と02に続いて、ロンドンにNo.3「イシス・ウラニア・テンプル」が誕生したのである(後にを跨いで複数拠点が設立された)。

中心教義であるカバ薔薇十字団(ローゼンクロイツ)やヘルメス学など幾つもの遺伝子を統合し、黄金系という近代西洋魔術雛形を構築。創始者のメイザースやウェストコットのほかベネット、リガルディ、ウェイト、クロウリーなどアクの強い天才が集まり、魔術業界に数々の功績を打ち立てている。

個々のメンバーがそれぞれ伝説を作り、良くも悪くも傑物ばかり。その実は、魔神を術式に組み込んでしまえる程。
流麗かつ整った儀式魔術は「舞台演劇」に例えられ(現実でが〈仮面舞踏会とも揶揄される)、東旗・西旗、白黒の柱、武器、シジルなどの魔術的意味を持った小具をまるで舞台演劇のように配置し、決められた配役で演出する。

表の世界では検視官や女優薬剤師天才作家(史実ではノーベル文学賞を受賞したイエイツ)など地位の高い者もいるが、魔術業界的には「20世紀最高の魔術師」を排出した事が最大の功罪といえる。この魔術師の台頭により当時壊れかけていた〈黄金〉は全に崩壊してしまった。

事実上の崩壊〈ブライスロードの戦い〉以降も〈黄金〉系を名乗る結社が幾つか現れたが、いずれも再に失敗している。ミナ=メイザースく「かつての面を失い、秩序に生しながらだらだらと存続している」とのこと。

位階

作中では8=3や0=0など特に説明されない意味不明数字が出てくるが、これは〈位階〉というメンバーの身分を示すシステムカバラの〈セフィロト〉に擬えたもので、下位セフィラから上位セフィラに昇っていき、自身の意識をより高次へと高めるの上昇志向と同一である。

史実の〈黄金の夜明け団〉は三つの団で構成されている。

  1. 黄金の夜明け団〉
    初級修練者が所属する第一団(ファーストオーダー)。
    0=0位階~4=7位階からなる下位のグループ(外)。
  2. ルビー薔薇黄金十字架
    RRetAC省略される内。第二団(セカンドオーダー)。 薔薇十字(ローゼンクロイツ)の開祖クリスチャンローゼンクロイツ(CRC)の墓所を辿るという伝統的儀礼に肖った。ここが実質的な最高到達点とされる。
  3. 秘密の首領〉
    第三団(サードオーダー)は〈秘密の首領〉が属する不可視の領域とされる。下位の8=3以上ですら体に囚われた存在では到達不可能のため、本作でもダイアン=フォーチュンexitがお飾りの位階と表現した。
    史実のアレイスター=クロウリーはこの領域に到達したと言われている(禁書では不明瞭だが新約22巻あらすじ後のストーリーで確実に越えたと見るべきか?)。
    禁書でも魔神クリファパズル545exitの協を得た状態の一方通行などがこの領域に至っている。

また、第一団と第二団の間にも予備門があり、スフィアという内部の秘密結社も存在する。

旧約禁書の概要

本格的な描写は新約以降だが、旧約時点でも断片的な情報のみが明かされていた。

第1巻・・・インデックスを狙っている可性がある魔術師集団の一例として。
「何だろうね?薔薇十字(ローゼンクロイツ)か黄金夜明(S)か。その手の集団だとは思うんだけど、名前までは分からないかも」
ルビは「GD」ではなく「SM」。SMStella Matutinaだろうか。

第2巻・・・『天使(テレズマ)』が黄金夜明による命名と判明。また、創始者が仏教を好んで取り入れていると地の文にある。創始者といえば…。

第4巻・・・『御使堕し(エンゼルフォール)』の的に関する話で、土御門元春が「カバラ業界は騒然だぜい。黄金夜明(SM)なんざ大慌てだ」と発言。ついでに位階システムも示唆。

第13巻・・・禁書でもアレイスター=クロウリーが所属していた事が確定。

番外編(SPに収録)・・・「明け色の陽射し」など黄金系の魔術結社が初登場。

第20巻・・・右方のフィアンマ天才集団と評価していたが、「個」が強い近代魔術師である以上、やはり人間関係が原因の内部分裂は避けられなかったらしい。

判明している所属メンバー

フォーチュンやリガルディなど分裂以降も含まれる。

近代西洋魔術

黄金夜明が構築した魔術魔術規格とも。

四大元素」「武器」「シジル」「タロット」「天使」を使う召喚儀式などは他の神話宗教と組み合わせても幅広く応用できる為、多くの魔術師が好んでこの魔術規格を使う。

まあこういう言い方は何ですけど……だから私は天草式に限らず、魔術師とか、ああいう人間があんまり好きじゃねえんです。特に二〇世紀初頭に登場してきやがった近代西洋魔術結社なんざ、ほとんど十字教の屍理屈や裏技的な術式を並べた連中ですから

ほら、『の如き者』やら『』なんつー大天使名前を借りた魔法陣なんざ典的じゃねえですか。二〇世紀から離れたにしても、例えば魔女狩り時代に王侯貴族契約してた錬金術師なんかは堂々と『これは十字教の義だから魔女術には当たらない。あくまで私は敬虔なる子の一人だ』なんて言してましたし

ヤツらは聖書を上から下までぴっちり読み直して、神様の言葉を一つ一つ吟味して、そこから矛盾や抜けを捜して甘い蜜をすする。これが『対十字教魔術』───恐るべき『外敵ならぬ、忌むべき『内敵』の正体です。魔術師ってのは法の抜けをつついてを腐らせる政治家みてえなもんなんですよ。

…って旧約7巻でアニェーゼさんが言ってました。

しかし、現代に残った近代西洋魔術は、クロウリーが都合の良いように編纂した黄金の秘技が広まっており、大半が彼の功績として残っている。しかもクロウリーは自身が広めた「近代西洋魔術法則」に干渉できるため、近代西洋魔術を使う魔術師は彼に勝つことは出来ない。

ブライスロードの戦い

「黄金夜明」の崩壊の原因となった内乱。1900年4月ハマースミスブライスロード36番地にて「メイザースアレイスター=クロウリーが「黄金」の本拠地を占拠。これによりウェストコットメイザースの対立が勃発する。

実はクロウリーはこのときメイザースと袂を分かっており、直前にメイザースに正面切って戦闘を挑み、彼の「血液」を手に入れて命書を偽造していた。
内乱が始まるとクロウリーメイザースウェストコットをそれぞれ殺して互いの敵対勢の仕業と偽装したり、内乱に乗じて魔術組織をロンドンに引き入れさらなる混乱を招いた。

内乱が本格化すると、クロウリーは「ブライスロードの秘宝」と呼ばれる霊装を持ち出してウェストコットを始末。矢によってメイザースに傷を負わせたが破壊されてしまう。その後クロウリーは「霊的蹴たぐり」を用いてメイザースを始末することに成功する。

導者を失った「黄金」は、クロウリー呪いにより落の一途を辿った。

ホロス事件exit

史実の〈黄金の夜明け団〉は、〈ブライスロードの戦い〉とは別に〈ホロス事件exit〉と呼ばれる詐欺被害風評被害で崩壊しかけた事がある。史実ではこの件を最後に第一団が〈〉=〈ステラ・マテューティナ〉に名を変えている。

本作でも実際に起こった事件として扱われているが、詳細は明かされていない。

ブライスロードの秘宝

ハマースミスブライスロード36番地に保管されていた「秘宝」と呼ばれる何か。

突き刺さっていたのはたった一本の矢であった。
ただし素材でも木でもない。濁った色のワックスを固めたような何か。先端がな五つ又に分かれた、何かを掴もうとするのような……。
『鏃は、矢羽は革、本体の矢柄は蝋……それもまた、血が蝋と化した屍蝋
つまり。
それこそが。

幻想殺し。とある者の右手素材に製造された究極の追儺霊装。元は召喚失敗の際に退却せぬ者を魔法陣の向こうへ追い返すために用意されていた秘中の秘となる兵器です』

新約とある魔術の禁書目録18巻 ミナ=メイザース上条当麻シーンより

その正体は、矢の形をした「先代の幻想殺し」。

この時代の幻想殺しは召喚失敗の際に退却せぬモノを魔法陣の向こう側へ送り返したり、魔術を使用するだけで生じる「」(人の運命)のを避ける為に黄金が保管していた。ミナ=メイザースく「とある者の右手」を素材に製造された追儺の為の霊装らしい。

ブライスロードの戦いで破壊され、次に「神浄の討魔」の名を持つ者、つまり事の中心たる「何か」を持つ少年上条当麻に吸い寄せられるように彼の右手に宿った。
この事を予期していたクロウリーは、幻想殺しの持ちを探して誘致する為だけに、かつてアクシデントで失われた「テレマ僧院」の思想を色濃く残す科学研究機関学園都市」を作った。

関連動画

関連商品

関連項目

外部記事リンク

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

急上昇ワード改

    ほめられた記事

    最終更新:2024/03/29(金) 21:00

    ウォッチリストに追加しました!

    すでにウォッチリストに
    入っています。

    OK

    追加に失敗しました。

    OK

    追加にはログインが必要です。

               

    ほめた!

    すでにほめています。

    すでにほめています。

    ほめるを取消しました。

    OK

    ほめるに失敗しました。

    OK

    ほめるの取消しに失敗しました。

    OK

    ほめるにはログインが必要です。

    タグ編集にはログインが必要です。

    タグ編集には利用規約の同意が必要です。

    TOP