オーリム / フトゥーとは『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット (以下、ポケモンSV)』に登場するキャラクターである。
バージョンによって登場する人物が違うが大まかな役回りが同じであるため、同一記事内にて解説を行うものとする。
ポケモンSVに登場する、パルデア地方のポケモン研究者。俗に言う『ポケモン博士』というものであり、『スカーレット』ではオーリム、『バイオレット』ではフトゥーが登場する。ただし歴代の『ポケモン博士』が基本的には作中において主人公と幾度か顔を合わせることが多く、ウツギ博士やマグノリア博士といった主人公との交流が少なめの博士であってもポケモン図鑑の評価など基本的なシステムに関与する傾向が強かったのに対して、本作におけるその立場であるはずのオーリム / フトゥーはそうではなく、ポケモン図鑑の評価などは主人公の担任兼生物学担当の教師ジニアが担当している[1] 。
そもそも最初に主人公と顔を合わせるのも対面ではなく、校長室におけるモニターでのビデオ通話である。そこで主人公に彼が出会ったコライドン / ミライドンの世話を主人公に依頼してくる。曰く、ペパーが主人公に譲渡した「コライドン / ミライドンのモンスターボール」はもともとは彼のボールであったらしい。その後、主人公がペパーとヌシポケモンを倒し、コライドン / ミライドンが能力を再獲得するたびにスマホロトムに電話をかけてきてその能力を解説する。
パルデアの大穴にある自身の研究施設・ゼロラボに籠もって、その内部の秘境「エリアゼロ」とそこに棲息するポケモンの研究を行っている。このエリアでテラスタル現象の発生源である結晶を発見し、人為的にポケモンをテラスタルできるようにするためのテラスタルオーブを開発したことで名声を得た。研究を続けており、かつてはメディアにも露出していたが主人公がパルデアに引っ越してきた時期にはあまり姿を見せなくなっている。
発売前は明かされていなかったが、本作における主人公の友人の一人、ペパーはオーリム / フトゥーの息子である[2]。ただしひとり親であるにも関わらずオーリム / フトゥーは研究に没頭しており、ペパーはひとりで過ごすことが多かったため料理スキルが磨かれた。最後の能力の再獲得時にオーリム / フトゥーが電話をかけてきたタイミングでペパーがちょうど居合わせたこともあり、久々の親子の会話となるかと思われたが、オーリム / フトゥーは非常に事務的な会話のみを行っている。そして主人公とペパーを自身の研究所に呼ぶと、やはりビデオ通話でパルデアの大穴にある自身の研究施設・ゼロラボに来るように伝えてくる。
最初の3ルートクリア後に開始する4ルート目『ザ・ホームウェイ』では主人公とその友人一行を度々通信でガイドしながらゼロラボに誘導するのだが、この通信内の博士の台詞にまるで機械の不調かのようなノイズや言い回しが混じるようになる。この不審な通信に、実の息子であるペパーは疑念を募らせていく。
主人公が友人の力を借りて一足先にゼロラボに進入すると、主人公のコライドン / ミライドンに襲いかかる、もう一体のコライドン / ミライドンを宥め、オーリム / フトゥーが現れるのだが――
キミたちに 謝罪しなければ
いけないことが あるワタシは
本物の オーリム博士では ない
『ポケットモンスター スカーレット』より
ボクは 博士が 自身の知識と
記憶をもとに 作った 人工知能
……AIで 動く ロボットなのだ
『ポケットモンスター バイオレット』より
実は主人公と最初に校長室でビデオ通話したとき、そして以後連絡を取っていたときのオーリム / フトゥーは本人ではなく、AIで動くロボットであったのである。オーリムAI / フトゥーAI曰く、本物のオーリム / フトゥーは主人公の相棒となったコライドン / ミライドンを守ろうとした結果の第4観測ユニットで起きた事故 (おそらく、オーリムAI / フトゥーAIが使役しているもう一体のコライドン / ミライドンに殺害された) によって生命活動を維持できなくなった、という。つまり物語開始時点で本人は既にこの世の人ではなかったことになる。本物のオーリム / フトゥーは同僚や「あの人」がゼロラボから撤退したことで人手不足に陥り、自身の意識をコピーしたオーリムAI / フトゥーAIを制作したのであった。これはエリアゼロのテラスタル結晶の力によって実現したものであり、オーリムAI / フトゥーAIはこれ故にゼロラボの外に出て活動できない。
オーリム / フトゥーが夢見たのは古代 / 未来のポケモンが現代のポケモンと共に暮らす理想郷であった。しかしオーリム / フトゥーがタイムマシンを完成させてまで実際に実現したのは理想郷には程遠い、強力な力を有する古代 / 未来のポケモンが現代のポケモンを脅かす光景であった。しかし、それをみてなおオーリム / フトゥーは「これもまた自然の形」と受け入れ、研究を続行しようとした。オーリムAI / フトゥーAIはこのような狂気を止めようとしていたが、オーリム / フトゥーが先述の事故に倒れ、タイムマシンを止めるものがおらず、オーリムAI / フトゥーAI自身は自身がそのシステムの一部として飲み込まれてしまう運命にあった。パルデアの大穴には一応それらパラドックスポケモンを外界に出さないためのバリアこそあったが、主人公が土震のヌシとして出会ったイダイナキバ / テツノワダチのように、バリアの外に出てしまうポケモンたちもいた。そこでオーリムAI / フトゥーAIは本物の博士のふりをして自分を止めてくれる優秀なポケモントレーナーを自身のもとに招いたのである。
そして主人公にペパーの持っていたスカーレットブック / バイオレットブックがタイムマシンを止めるための鍵そのものであること、これをセットすると自分が主人公に襲いかかってしまうことをつげ、自分を倒してくれと依頼してくる。
オーリムAI |
フトゥーAI |
彼らを倒すとオーリムAI / フトゥーAIはもとに戻り、主人公に追いついてきたペパーに謝罪をしようとする……のだが、
コれは……!? 博士は ドウしテも
タイむマシんヲ 止メタく なイノか!?
なんと生前のオーリム / フトゥーが残していた『楽園防衛プログラム』が起動し、『楽園の守護竜』コライドン / ミライドンを繰り出した上、オーリム / フトゥー以外のボールIDをロックして主人公たちのモンスターボールを使えなくしてしまう。しかし、ここで多くのプレイヤーは気付くはずである。
相棒のコライドン / ミライドンのボールは、もともとはオーリム / フトゥーのものだったはず。
主人公がコライドン / ミライドンを繰り出すと、コライドン / ミライドンは主人公に報いるため、恐怖心を乗り越えてかつて敗北したもう一体のコライドン / ミライドンに挑む。そして主人公と息を合わせどうにかリベンジに成功すると、ようやくオーリムAI / フトゥーAIは元のプログラムに回帰し、ペパーに本人ではないこと、本人はペパーを愛していたことを告げると、タイムマシンを止めるためには自分を他の時代に送らないといけない (自分自身がタイムマシンを復旧するためのシステムの一部になってしまっている) ことを告げると、主人公たちの冒険、夢、そして宝探しに羨望の念を抱いていたことを告げ、自分も夢のために古代 / 未来に旅立つことを告げると、主人公たちに「ボン・ボヤージュ!」と叫び、消えていった――。
ペパーは目の前のオーリム / フトゥーが本人でないことを理解しつつも、最終的にはオーリムAI / フトゥーAIこそを「母ちゃん / 父ちゃん」と呼び、自身の親として別れを惜しんでいた。
オーリム / フトゥーは、過去作を見てもポケモン博士枠に類がない性質をしている。このオーリム / フトゥーは自身の研究が生態系を乱すことを知りながら、それをなお敢行しようとしている。この行動は自身が作ったAIからさえも「合理的ではない」と切り捨てられ、自身の研究に多くの同僚や配偶者さえ愛想を尽かし出ていってしまっている。自身は既に故人であるが、死してなおそのシステムが止まらないように二重三重の備えを行い、古代 / 未来のポケモンを現代に絶えず送り込み続けている。
自身の死のきっかけとなったコライドン / ミライドンでさえ、AIを通じて支配下に置き、自身の楽園を守らせようとしており、主人公がオーリム / フトゥーのボールをたまたま持っていなければ主人公は問題を解決できなかったはずである。そうまでして守ろうとした「楽園」がパルデアの生態系を破壊する代物であったことも考えても歴代作品のポケモン博士と比較すると狂気としか映りようがない。
オーリム / フトゥーはペパーを愛していた、とAIは話しているが、実際にそのようなことであれば子供を一人きりにしてご飯すら用意せず放置していたというのも理解しがたい。AIが優しい嘘をついたと考えられなくもないし、むしろそうでなければ愛情よりも好奇心が上回っていたのかもしれない。他作品ではAIが暴走してそれを止める、といったストーリーが多いが、本作はむしろAIが人間の果てなき野望を止めるため主人公たちに協力を要請するという点でも異色であろう。
なお、ここで述べる話ではないが、『スカーレット』におけるオーリムの夫、『バイオレット』におけるフトゥーの妻も子供のペパーを置いて失踪しており、ペパーは幼少期の時点で両親からまともに愛を受けていたとはいい難い点も言及しておく。ペパーが主人公によき兄貴分、よき友人として親身になってくれるのは両親を反面教師にしたゆえであろうか?
ただ、クラベルはペパーが「思い立ったら一直線」である気質を指してオーリム / フトゥーとそっくりであることを指摘しており、クリア後のペパーシナリオでペパーがオーリム / フトゥーについて受け入れていることを含め、親として何もしていなかったというよりは、「夢があるとほかが見えなくなる」という性質と見たほうが良さそうである。また、研究者たちや配偶者が続々と自分のもとを離れてから狂気に陥ったところがあるので、意見してくれる人間が身近にいたらもっと普通の感性を持っていたのかもしれない。
掲示板
248 ななしのよっしん
2024/01/17(水) 05:28:16 ID: A6Dhs9SR4v
「池の付近にて出会った子供から白い本を」のメモは
「白い本を受け取り損ねた」って解釈すれば辻褄があうのか
ようやく合点がいった
>>237には感謝する
249 ななしのよっしん
2024/01/20(土) 04:08:29 ID: LvzO9PAhc6
主流の考察じゃあ無いけど、オリジナル博士を殺ったのは主人公がゲットした奴とは別個体のテラパゴスだと思ってる
殺害現場には大量のテラス結晶があるし、白い本を受け取り損ねたせいで暴走した時のテラパゴスの危険性を知らなかったのではないか
そして、テラパゴス戦でアギャスがスグリを守ったのは、かつて博士に守られた時の事を思い出しての行動なのではないかと
250 ななしのよっしん
2024/03/10(日) 14:28:19 ID: lTAr6xB42S
人間でもポケモンでもない存在
UB?あれは並行世界のポケモンだから…
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最終更新:2024/04/20(土) 13:00
最終更新:2024/04/20(土) 13:00
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