エミュレータ 単語

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エミュレータ

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エミュレータ(emulator)とは、機械装置やコンピュータハードウェアPCゲーム機など)の構造を、別の装置やソフトウェアで模倣することで実現させたもの。

概要

エミュとも略される。のエミュレートemulate)は英語で「真似る」という意味。エミュレートすることをエミュレーションemulation)ともいう。

もっと簡潔に言い換えると「機械の仕組みを真似た、装置やソフト」。装置としてのエミュレータは ICE (イン・サーキット・エミュレータ)exit などがあるが、一般人にはほとんど縁がないので、ちまたで言われているエミュレータとは、一般的にソフトのほうをす。

エミュレータの種類

具体的には、以下のようなものがソフトウェアのエミュレータとして挙げられる。

  1. ゲーム機(たとえばファミコン)のソフトウェアを、PC上などで動作できるようにしたソフトウェア
  2. 昔のパソコン(たとえばPC-9801)のOSソフトウェアを、PC上などで動作できるようにしたソフトウェア
  3. PC上に仮想的なPCを作り、その中でPC用のOSソフトウェアを動かせるようにしたソフトウェア。仮想PCともいう(例えば、Windows上でLinuxや別のWindowsを動かすことができる。Mac OS上でWindowsを動作させるものもある)。
  4. そもそも、1~3 のエミュレータに含まれる、CPUサウンドグラフィック部分などのチップ再現したものも、それぞれがエミュレータである。すなわち、ゲーム機パソコンなどのハードウェア再現したエミュレータは、実機がパーツの集まりでできているように、そのパーツ再現したいくつかのエミュレータの集まりで構成されている。

※ 「オンラインゲームサーバの動作を真似し、ゲームクライアントから本物のサーバと同じように接続できるようにしたソフトウェア」はエミュ鯖といいますが、ここでは説明しません。「エミュ鯖」の項があるのでそっちを見てください。

エミュレータのあれこれ

技術としてはパソコン明期以前 (数十年前) からあったものだが、パソコンの急な普及や高性化により1990年代後半頃からゲーム機のエミュレータが開発・配布されるようになったのに伴い、一般のパソコンユーザーにもよく知られた技術となった。

しかし、詳しくは後述するが、エミュレータ (特にゲーム機再現するもの) はその仕組み上、ソフトウェアの不正コピー (もちろん著作権法違反なのでやってはいけない) が容易にできてしまうという問題点もはらんでいる。

このために「エミュレータ自体が違法だろ」と言われることもあるが、エミュレータ自体に違法性はまったくない。特許などのおそれも考えられるが、エミュレータの開発または使用が原因で裁判になり敗訴になった判例や、違法と判断された事例は現時点では存在しないので、不正コピーさえやらなければ問題はない。

また、エミュレータは手作り開発されているものなので、実機の複雑な仕様全に満たしきれていない場合も少なくない。つまり、ソフトによっては実機とは違う挙動を起こす、まったく動かないなどの不具合が出る場合もある。すなわち、エミュレータは決して万ではないということである。

 

ゲーム機のエミュレータ

ニコニコ動画でエミュという言葉が出てきた場合、多くはこれのことである。

古いゲームを新しいゲームハードで遊べるようになるサービスである、バーチャルコンソールゲームアーカイブスプロジェクトEGG、および 2000年ぐらい以降に発売された「昔のゲームをベタ移植した復刻ものゲームソフトファミコンミニタイトーメモリアルほか)」の多くは、エミュレータ によって実現されている。つまり事実上の公式エミュレータのようなものである。

以降ではPCで動作するエミュレータを前提に書くが、携帯電話スマートフォンiPhoneなどさまざまなハードで動作するものが開発されている。

PC上で動作するエミュレータ本体の多くは個人が趣味で作成したものであり、大半がフリーソフトウェアとして償で配布されている。これらの本体は、モノにもよるが、較的に簡単に手に入れることができる。本体があれば、あとはソフトウェア」「本体内のBIOSイメージ(不要な場合もあり)」の2点を用意することで、PC上でエミュレータを動作させることができる。

ソフトウェアの扱い・準備

PC上でゲーム機ソフトを動かそうと思った場合、もちろんPC上で読める状態になっていないといけない。プレイステーションのようなCD-ROMであれば、PCドライブに手持ちのソフトを突っ込むだけで解決なのだが、カセットカートリッジ)式のゲーム機の場合、カセットを挿す場所なんかPCのどこにもないので、いきなり困り果ててしまう。

この場合、カセットの中身をパソコンに吸い出すための「吸い出し機」を用意する必要がある。詳しくはググるとわかるが、秋葉原とかを回って買った部品で自作するか、製作代行や販売してくれる店や人を探して売ってもらうかのどちらかとなる。カセットの中身を吸い出すと、「イメージファイル」「ROMイメージ」と呼ばれている1個のファイルになる。これをエミュレータに読ませればいいというわけである。

BIOSイメージ」は、本体内にROMチップとして入っているため、大抵は吸い出し機では対処できない。「BIOSを外に書き出すソフト」を作り(またはかが作ったのを拝借して)どうにかして動かすなど、いろいろ工夫して外に書き出すことでイメージファイル化する手段が多い。ただし、もともとBIOSが存在しない、BIOSの仕組みもエミュレーションで補っているので不要、イチから作った権利的に問題のない代替BIOSが付属している、などの場合もある。

これらの準備は非常に面倒くさいが、一度イメージファイル化してしまえば、あとはそれを本体に読ませればいいだけなので、非常に楽である。

著作権的な問題点

ここで一番の問題となるのが、「ROMイメージファイルは、ただのファイルであること」「ただのファイルなのでコピーし放題、ネットにも簡単に流せてしまうこと」という点である。つまり、実機やソフトを持っていなくても、人からもらったり、どこかからダウンロードしたりしたものがいとも簡単にエミュレータで動かせてしまう状況ができてしまう。この一点がエミュレータをグレーイメージとなっている最大の理由である。

「おまえら本当に吸い出してやってるのかよ」と聞いてみても、多くの人がそうではないと思われる。吸い出し機というものの存在が、微妙に敷居が高い(ように思われている)からである。

当然、ソフトイメージファイルを人からもらったり、ネットからダウンロードしたりする行為は不正コピーであり、著作権法違反にあたるからやってはいけない

実機を所有しているソフトであっても、吸い出し以外の手段によるイメージの入手は著作権法違反となる。吸い出したあとに実機のソフトを売却するのも当然ダメである(ただし例外として、火事で焼けた、故障した、紛失したなど、吸い出した後に「滅失」にあたる事由で手元から失った場合は違反にはならない)。

そんな問題点を抱えたエミュレータであるが、後述の利点に魅を感じてエミュレータを使っている人も多いと思う。しかし、残念ながらエミュレータを「タダでゲームができる具」としか見ていない人は少なくないのが現状である(そういう人は「エミュなどと呼ばれ一部から忌み嫌われている)。

エミュレータをタダゲーの具として使ってはいけない。また、「エミュレータ紹介ブック」だとか「禁断のエミュレータ解説」だとかと題して、エミュレータをさもタダゲーの具であるかのように紹介している書籍もあるが、決して手を出しては(そういう出版社に利益を与えては)いけない。どうせググって出てくる情報以下のことしか書いてないし、そんなお金があるなら中古ソフトを買いに出かけましょう。

誤解されやすい点

ちなみに、ハードウェアに関しては実機を所有していなくても、エミュレータで再現させることに問題はない。つまり、周辺機器や「BIOSを持たないハードの本体」は、所有していなかったとしてもエミュレータの使用は違法にはならない。

また、よく吸い出し行為が違法だと思い込んでいる人もいるが、法的には「コピーガードまたはコピープロテクトの解除」を伴わなければ違法にはならず、著作権の効が及ばない「私的使用のための複製行為」の範囲となる。

たとえば、カセット式のゲーム機のほとんどは、エミュレータを想定していないので「カセットの複製自体が物理的に困難であること」「偽造カセットが動かないよう本体側で細工する」などが実質的なコピー対策となっている。そのため、カセットに含まれるデータ自体にはコピーガードコピープロテクトが施されていない、つまり吸い出し行為は法的に見て違法ではないケースがほとんどである。CD-ROMから仮想CDを作るのと同じような状況と認識すればよい。

利点

エミュレータの利点は決してタダゲーなんかではない。こういった、実機にはない利点が生じる。

ニコニコ動画と相性の良い利点も多いので、エミュレータを使って作られたプレイ動画を見かける機会はなにかと多い。

 

昔のパソコンのエミュレータ

昔のパソコン(「パソコン」の項の「ニコニコ動画におけるパソコン種別」を参照)のエミュレータも多く存在する。

これらは、ソフトウェアカセットテープフロッピーディスクCD-ROMといった吸い出しに特殊な機材を必要としないメディアであったり、自作ソフト開発と実行の環境が整っていてBIOSの取り込みが較容易であったりという理由から、実行環境の準備はゲーム機のエミュレータよりも敷居が低い。タタゲー狙いの人が興味を持たないこともあり、実機から環境を吸い出している人の割合はゲーム機のエミュレータよりもずっと多いと思われる。

X68000のように、メーカーが直々にエミュレータ向けのBIOSイメージファイルOSが入ったフロッピーディスクイメージファイル開しているケースや、MSXのように、公式エミュレータが存在するケースもある。

昔のパソコン用のエミュレータも、以下のような利点があるため用者は多い。もちろん、ニコニコ動画にもエミュレータを使った動画が多数投稿されている。

 

今時のPCのエミュレータ(仮想PC)

Windowsの中で、WindowsLinuxが動くエミュレータもある。エミュレータとは言わずに仮想PCと呼ばれることが多い。VMWareexitMicrosoft Virtual PCexitSun xVM VirtualBoxexitがそれである。

企業開発したものが流なので、商品として数万円で販売されているものが多いが、最近では償版が配布されているので敷居は非常に低い。また、BIOSは専用に作られたものが付属しており、ほかにイメージ化の必要がないため、著作権的などの問題とは縁(実機のPCとまったく同じ条件)である。

HDDはひとつのイメージファイルとして作成されるので新しくパーティションを切る必要がないうえに、メモリHDDの容量を増減させることも簡単である。

パソコンの中でパソコンが動いて何が楽しいの? ばかなの?」と思う人もいるだろう。以下のような活用例がある。

Windows 7の上位エディションでは、「究極の互換モード」として、Windows XPインストールされたVirtual PCが標準で付属している。

また、Parallels DesktopexitVMWare Fusionexitなど、Mac OS上で動作する仮想PCも存在する。Windowsなんかメインで使いたくないというマカーの人でもかなり安心である。その他、Classic環境止されたIntel Macおよび、Mac OS X Leopard以降では、Basilisk IIexitSheepShaverexitなどの、旧Mac OSエミュレータを利用することでクラシックアプリケーションを利用することができる。

 

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