有栖川有栖

有栖川有栖（ありすがわ ありす）とは、日本の推理小説家。評論も手がける。

概要

大学生である有栖川有栖が活躍する「学生アリスシリーズ」、しがない作家である有栖川有栖が活躍する「作家アリスシリーズ」が有名。この両者は別人であり、さらに細かい設定では一方のシリーズはもう一方のシリーズの登場人物が書いた小説、という入れ子構造になっている。

デビュー作は学生アリスシリーズ1作目『月光ゲーム』だが、学生アリスシリーズは推理小説として手堅く長編なのに比べて作家アリスシリーズは一発ネタも含めた短編が多い、という性質上、作家アリスシリーズばかりが刊行されていた。一方の学生アリスシリーズはデビュー作に続く『孤島パズル』『双頭の悪魔』で長いこと刊行が止まっていたが、2007年になんと15年ぶりにシリーズ4作目となる『女王国の城』を出版、ファンを喜ばせた。

また、どちらのシリーズも探偵とワトソン役が男なため、腐女子がネタにすることが多い。ラノベではない一般小説で同人にされた数では、きっと島田荘司の「御手洗潔と石岡君」くらい多いだろう。妄想は控えめに。

エラリィ・クイーンの影響を非常に強く受けており、デビュー作『月光ゲーム』はクイーンの代表作から副題に「Yの悲劇'88」を冠し、作家アリスシリーズではクイーンの国名シリーズに倣って国名の入るシリーズを刊行している。また、長編では「読者への挑戦状」が作中に挿入されることが多い。

2003年、『マレー鉄道の謎』で日本推理作家協会賞受賞。2008年、『女王国の城』で本格ミステリ大賞受賞。

近年は少女小説レーベルの角川ビーンズ文庫からも作家アリスシリーズが刊行されている。

作品リスト

◆は学生アリスシリーズ、◇は作家アリスシリーズ、☆は探偵ソラシリーズ。

1. 月光ゲーム Yの悲劇'88 （1989年、東京創元社→1994年、創元推理文庫） ◆
2. 孤島パズル （1989年、東京創元社→1996年、創元推理文庫） ◆
3. マジックミラー （1990年、講談社ノベルス→1993年、講談社文庫→2008年、講談社文庫（新装版））
4. 双頭の悪魔 （1992年、東京創元社→1999年、創元推理文庫） ◆
5. 46番目の密室 （1992年、講談社ノベルス→1995年、講談社文庫→2009年、講談社文庫（新装版）→2012年、角川ビーンズ文庫） ◇
6. ダリの繭 （1993年、角川文庫→1999年、角川書店（新版）→2013年、角川ビーンズ文庫（上下巻）） ◇
7. ロシア紅茶の謎 （1994年、講談社ノベルス→1997年、講談社文庫→2012年、角川ビーンズ文庫） ◇
8. 海のある奈良に死す （1995年、双葉社→1998年、角川文庫→2000年、双葉文庫） ◇
9. スウェーデン館の謎 （1995年、講談社ノベルス→1998年、講談社文庫→2014年、角川ビーンズ文庫） ◇
10. 山伏地蔵坊の放浪 （1996年、東京創元社→2002年、創元推理文庫）
11. 幻想運河 （1996年、実業之日本社→1999年、講談社ノベルス→2001年、講談社文庫）
12. ブラジル蝶の謎 （1996年、講談社ノベルス→1999年、講談社文庫） ◇
13. 英国庭園の謎 （1997年、講談社ノベルス→2000年、講談社文庫） ◇
14. 朱色の研究 （1997年、角川書店→2000年、角川文庫） ◇
15. ジュリエットの悲鳴 （1998年、実業之日本社→2000年、ジョイ・ノベルス→2001年、角川文庫）
16. ペルシャ猫の謎 （1999年、講談社ノベルス→2002年、講談社文庫） ◇
17. 幽霊刑事 （2000年、講談社→2002年、講談社ノベルス→2003年、講談社文庫）
18. 暗い宿 （2001年、角川書店→2003年、角川文庫） ◇
19. 作家小説 （2001年、幻冬舎→2003年、幻冬舎ノベルス→2004年、幻冬舎文庫）
20. 絶叫城殺人事件 （2001年、新潮社→2004年、新潮文庫） ◇
21. マレー鉄道の謎 （2002年、講談社ノベルス→2005年、講談社文庫） ◇
22. まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る （2002年、祥伝社文庫）
23. スイス時計の謎 （2003年、講談社ノベルス→2006年、講談社文庫） ◇
24. 虹果て村の秘密 （2003年、講談社ミステリーランド→2012年、講談社ノベルス）
25. 白い兎が逃げる （2003年、カッパ・ノベルス→2007年、光文社文庫） ◇
26. モロッコ水晶の謎 （2005年、講談社ノベルス→2008年、講談社文庫） ◇
27. 乱鴉の島 （2006年、新潮社→2008年、講談社ノベルス→2010年、新潮文庫） ◇
28. 女王国の城 （2007年、東京創元社→2011年、創元推理文庫（上下巻）） ◆
29. 壁抜け男の謎 （2008年、角川書店→2011年、角川文庫）
30. 妃は船を沈める （2008年、光文社→2010年、カッパ・ノベルス→2012年、光文社文庫） ◇
31. 火村英生に捧げる犯罪 （2008年、文藝春秋→2011年、文春文庫） ◇
32. 赤い月、廃駅の上に （2009年、メディアファクトリー→2012年、角川文庫）
33. 闇の喇叭 （2010年、理論社→2011年、講談社→2013年、講談社ノベルス→2014年、講談社文庫） ☆
34. 長い廊下がある家 （2010年、光文社→2012年、カッパ・ノベルス） ◇
35. 真夜中の探偵 （2011年、講談社→2013年、講談社ノベルス→2014年、講談社文庫） ☆
36. 高原のフーダニット （2012年、徳間書店→2014年、徳間文庫） ◇
37. 江神二郎の洞察 （2012年、東京創元社） ◆
38. 論理爆弾 （2012年、講談社→2014年、講談社ノベルス） ☆
39. 幻坂 （2013年、メディアファクトリー）
40. 菩提樹荘の殺人 （2013年、文藝春秋） ◇
41. 怪しい店 （2014年、角川書店）

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関連項目

• 小説家の一覧
• 新本格